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大企業の新規事業に取り組む現状とポイント

2021.08.18

新規事業

時代の移り変わりによって、ユーザーの求める趣味嗜好も日々変わっていきます。昨今では、このスピードが非常に早くなり、流行の期間は1年も持たずに廃れてしまうこともしばしばあります。インターネットやスマートフォンの普及によって、最新の流行に関する情報はすぐに知ることができるようにもなり、いかに流行をふまえてユーザーに合った商品やサービスを提供できるかという点が重要になってきています。
このような流行をふまえた新規事業の開発は、大企業でも取り組むようになってきていますが、なかなか上手くいかずに失敗で終わってしまう傾向も少なくありません。大企業であれば、予算だけでなく人材も潤沢にあるため、新規事業においても造作なく出来るようなイメージを持つかもしれませんが、そこには大企業ならではの難しさもあります。今回は、そんな大企業の新規事業に取り組む現状と成功につなげる上でのポイントについて紹介していきます。

大企業における新規事業の位置づけとは?

大企業においても、新規事業への取り組みを重要視する動きは伺えています。どんなに普遍的な商材やサービスを提供していたとしても、時代の流れの影響を受けないものはありません。そのため、常に新しいマーケットや顧客を求め、新規事業を考えていくことは欠かせません。商品やサービスをアップデートし続けたとしても限界がありますので、大企業にとっても新規事業を開発していくことは重要になります。この新規事業の開発において、人材リソースの確保は非常に重要です。ただ、この点において大企業では潤沢なリソースがありますので、新規事業開発の専門部署を用意することは比較的容易に行うことができます。中小企業ですと、担当者が通常業務と掛け持ちで実施していたり、社長が先陣を切って行ったりすることがありますが、どうしても専門家ではないため後手に回ってしまう傾向にあります。一方で大企業であれば、人材面では営業部や企画部以外にも、事業統括室やクリエイティブ室などもあり、優秀な人材が豊富に集まっています。資金面でも中小企業に比べれば潤沢にありますので、新規事業用の人材を採用することも可能です。また、既存事業で培った顧客や取引先などのネットワークを活用できる点も、新規事業を開発していく上では有利に働くでしょう。こうした背景から、大企業において新規事業は開発しやすい環境にあると言えます。

大企業による新規事業の捉え方

ただ一方で、これだけ新規事業を開発しやすい条件が整っているにも関わらず、大企業での新規開設は上手くいかないケースも多くあります。上手くいかないというよりも、新規事業に手が出しにくくなっているともいえます。これは、大企業特有のブランド意識に影響しています。新規事業に参入し大きな成功につながれば問題ありませんが、もし仮に失敗してしまうと、本業の既存事業に大きな影響を与えてしまう可能性もあります。ブランド価値が下がれば、大企業としてのメンツにも関わり、変に新規事業に参入できないというプライドがあるのです。大企業としてのプライドのもとに、絶対に成功させなければならないというプレッシャーがかかるため、新規事業に手が出しにくくなっている傾向もあります。

なぜ失敗するのか?

このようなプライドによって新規事業に参入できない側面もある大企業ですが、一般的には先ほどふれたような有利な側面が多々ありますので、新規事業の開発においては成功しやすい条件は整っています。とはいえ、意外と大企業であっても新規事業に失敗するケースも少なくありません。ではどういった理由で大企業なのに失敗するのでしょうか?これにはいくつかの要因が挙げられます。


まず挙げられる要因は、人材面です。大企業には先ほどもふれたように潤沢な人材がいますが、これはみな既存事業を遂行するために集まった人材になり、新規事業の開発という点においては経験したことがない人材がほとんどです。既存事業のブラッシュアップと新規事業の開発は、似ているようで大きく異なります。事前の分析から企画、実行から効果検証に至るまで、いくつもの工程を社内調整しながら進めていかなければなりません。これらの遂行に、十分な知識やノウハウ、経験を持ち合わせた人材は、大企業といえども少ないのが現状です。また、大企業で働く社員は、比較的安定志向の方が多い傾向にあります。新規事業の開発は、安定とは真逆で忙しさが増したり、覚えなければいけない知識や技術も多く、進んで担当したいと思う人材は意外と少ないのも現状です。


また、大企業特有の縦割り構成の組織体制も、新規事業が上手くいかない要因の一つです。大企業では、各部署が縦割り構成になっており、それぞれの部署が独自で力を持つことも少なくありません。新規事業の開発においては、様々な部署からの了承が必要になります。企業全体で同じ方向を向いていればスムーズに進みますが、新規事業に好意的でない部署があれば、そこで頓挫してしまい、実行しないまま尻すぼみ終了してしまうこともあります。新規事業においては、いかに周りを巻き込んで社内全体で実施できるかが重要になりますが、企業母体が大きければ大きいほど、この横連携が難しくなる側面もあります。


最後に、プライドの部分でも少々ふれましたが、リスクを考えて自重傾向にあり上手く進まないという点も、大企業の新規事業における失敗要因として挙げられます。既存事業が上手くいっている時ほど、新規事業に着手することは重要です。ただ、これが非常に難しく、大企業であればそれがより顕著に現れる傾向にあります。わざわざリスクを取る必要がないとして、新規事業の開発よりも既存事業に注力してしまうため、新規事業の開発が出来ずに終わってしまうのです。

大企業が新規事業で成功するには?

このように、大企業では新規事業に参入しにくい傾向にありますが、その反面、しっかりと新規事業を成功させている大企業も多くあります。人材や環境の面においては、中小企業に比べて優れていますので、先ほどふれたような阻害要因をクリアさえすれば、新規事業を成功に導く可能性は非常に高まります。

なぜそもそも大企業で新規事業が必要なのか

そもそも新規事業は、時代の流れやユーザーニーズの変化によって既存事業が頓挫したとしても売り上げを担保できるようリスク分散の観点で実施する傾向にあります。どんなに売り上げを稼ぐ商品やサービスであったとしても、それが10年後にも同様の利益を生むかは分かりません。しかも昨今ではこのスパンは短くなる傾向にもありますので、5年後や3年後を見据えた戦略を考える上では、1つの商品やサービスに依存するのではなく、複数の商材やサービスを生み続けていく必要があります。そのためにも、先を見据えた新規事業の開発は必要不可欠です。

押さえておくべきポイント

大企業に限らず、新規事業を成功させるには押さえておくべきポイントがあります。それが新規事業を担当する人材です。プロジェクトとして立ち上げるのであれば、その中心となる人材選びが非常に重要です。新規事業における知識や経験も重要ですが、大企業であれば先ほどふれた縦割り体制に対しても、各部署と万遍なく対応が出来る能力の方が重要でもあります。若手の担当者では部署間の調整は難しくなりますし、ベテラン過ぎると新規のアイディアに対して懐疑的な側面も出てきます。上手くバランスが取れた柔軟で信頼された人材を中心にすることが新規事業の成功においては欠かせません。
また、大企業であれば所属する社員は非常に多く、1,000人から10,000人以上の規模も少なくありません。このような会社において、新規事業の開発というと消極的な印象を持つ社員ももちろん出てきます。「忙しくなりそう」、「専門外だから」、「あまり興味はない」など、その理由は様々ですが、新規事業の開発にはこのような社員の協力が必要になる可能性もあります。新規事業の開発は会社全体で同じ方向を向いて行うことが重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
大企業であれば、新規事業の開発は簡単にできるだろうと思われがちですが、意外と大企業ならではの問題もあり、中小企業よりも上手くいかないケースも多々あります。ただ、既存事業に依存しすぎると、予期せぬタイミングでマイナスにつながる可能性もあります。リスクを分散しつつ、新たなビジネスモデルを確立させ売り上げを伸ばしていくためにも、新規事業は欠かせません。大企業であっても、このあたりを考慮して、新規事業の開発を進めることが求められています。

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