行政書士試験は、毎年多くの人が受験する国家資格・試験の1つです。行政書士試験とは、どんな内容の試験なのでしょうか。行政書士試験の概要や効率的な勉強法を解説します。
行政書士試験とは?
行政書士試験とは、法律系の国家資格の中では比較的難易度が低いため、「登竜門」のような位置づけにあります。また、行政書士試験は受験資格がないことから、毎年多くの人が受験をする国家資格です。行政書士試験に合格をすれば、独立開業が可能であるために、非常に人気があります。しかし、行政書士試験は難易度が低いとはいえ、それは法律系の国家資格の中においての話です。
行政書士試験を試験単体として見た場合には、合格率は毎年8〜10%前後とかなり低い数字であり、難易度の高い試験であると言えます。そのため、行政書士試験に合格するためには、通常およそ600時間もの勉強時間が必要であると言われています。このようなことから、行政書士試験は受験するハードルは他の国家資格よりも低いものの、合格するためにはそれなりの勉強時間を要する試験であると言えるでしょう。
行政書士試験の概要
行政書士試験は、毎年11月の第2日曜日に行われ、試験時間は午後1時〜午後4時の3時間です。行政書士試験の集合時間は、「午後0時20分」厳守とされており、その時間までに試験会場の指定座席に着席をしていなければいけません。また、午後0時30分からは、試験官による受験の注意事項などの説明が開始されます。そのため、行政書士試験の会場には、余裕を持って到着するようにしましょう。
行政書士試験は、途中休憩はなく、3時間通しで行われます。行政書士試験の試験科目は、「行政書士の業務に関し必要な法令等(出題数46問)・憲法6問・行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法など)22問・民法11問・商法5問・基礎法学2問」「行政書士の業務に関連する一般知識等(出題数14問)・政治、経済、社会7問・情報通信、個人情報保護4問・文章理解3問」となっており、出題形式は「択一式問題」及び「記述式問題」です。
行政書士試験の出題形式の「択一式問題」とは、5肢または多肢(1〜20)の中から、答えを選ぶ「マークシート式」の問題です。また、「記述式問題」とは、解答を「40字程度の文章」として記述する問題です。行政書士試験の記述式問題は、問題数は少ないものの、1問の配点が高い設定になっています。そのため、行政書士試験に合格するためには、記述式問題を攻略することは必須であると言えます。
行政書士試験の申し込み期日は、毎年7月末〜8月末までとなり、その期間中に受験申し込みを完了させる必要があります。行政書士試験の申し込み方法は、「郵送」と「インターネット」の2種類があり、郵送で申し込みをする場合には「受検願書」が必要です。行政書士試験の受験願書および試験案内は、指定の窓口(市役所や行政書士会など)もしくは一部の書店にて入手することが可能です。行政書士試験をインターネットにて申し込む場合は、一般財団法人行政書士研究センターのホームページ上にて完了させることができます。
行政書士試験の受験手数料は7,000円で、郵送で申し込む場合には必ず「郵便窓口」にて払込をしなければいけません。なぜなら、ATMでの払込みは、「振替払込受付証明書(お客さま用)」が発行されないため、禁止となっているからです。行政書士試験の受験申し込みを郵送で行う場合には、この振替払込受付証明書の貼付は必須です。また、インターネットにて受験申し込みをする場合には、受験手数料は「クレジットカード」もしくは「コンビニエンスストア払い」の2つの方法で支払うことができます。
行政書士試験の合格基準
行政書士試験の合格基準は、大きく分けて3つあります。行政書士試験の合格基準の1つ目は、「行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が満点の50%以上である者」です。行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点の満点は244点であるため、122点以上の得点を取る必要があります。また、行政書士試験は、「法律家」になるための試験であることから、この科目における理解度が重要視されるのは当然のことでしょう。行政書士の業務に関し必要な法令等科目の中でも、「民法・行政法」は実務でも必須となる法律であるため、重要度の高い科目であると言えます。
行政書士試験の合格基準の2つ目は、「行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が満点の40%以上である者」です。行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点の満点は56点であるため、24点以上の得点を取る必要があります。行政書士の業務に関連する一般知識等の科目は、出題数が14問と行政書士試験において占める割合は少ないものの、政治・経済・社会と勉強範囲が広い科目です。そのため、行政書士の業務に関連する一般知識等科目の合格基準点をクリアするためには、効率良く学ぶための勉強法が必要になります。
行政書士試験の合格基準の3つ目は、「行政書士試験全体の得点が満点の60%以上である者」です。行政書士試験は、行政書士試験の合格基準の1と2をクリアした上で、さらに行政書士試験全体の満点である300点中の60%以上の180点以上を得点していなければ、合格することができません。このように、行政書士試験は合格基準点に到達していれば、すべての人が合格することができる「絶対評価」となっています。そのため、行政書士試験に合格するには、これら3つの合格基準を満たすための勉強をすることが鍵となります。
行政書士試験の合格発表
行政書士試験合格発表は、毎年1月末ごろに行われます。行政書士試験に合格した後には、「行政書士会」にて登録手続をしなければ、行政書士としての活動を行うことができません。そのため、行政書士試験を合格し、すぐに独立開業および活動をはじめたいという人の場合には、必ず登録申請が必要になります。その際には、審査および登録手数料がかかるため、必ず事前に確認してから手続を行うようにしましょう。
行政書士会試験の合格までのスケジュールとしては、「8月に出願」「11月に行政書士本試験」「翌年1月に合格発表」となっており、行政書士試験の申し込みから合格までのすべての期間を合わせると、およそ半年間の期間を要することになります。
行政書士試験の勉強はいつ開始すれば良いのか?
行政書士試験は、法律に馴染みのある人で600時間、独学で開始する場合には800〜1,000時間の勉強時間が必要であると言われています。そのため、もしも仕事をしている人が行政書士試験の受験をする場合には、半年〜1年ほどの勉強期間が必要であると考えておいた方が良いでしょう。なぜなら、仕事をしている場合には、勉強時間を確保することが難しいため、なるべく期間に余裕を持った時期から開始をしておいた方が良いからです。
また、行政書士試験の勉強が初学者である場合には、さらに時間を必要とする可能性があります。行政書士試験は、法律に関する試験であるため、法律に馴染みのない人の場合には、まずは法律の知識を身につける必要があるからです。法律の勉強は、普段見慣れない専門用語なども多いことから、初学者である場合には難しいと感じ、なかなか思うように勉強が進まない人もいます。そのため、行政書士試験が初学者である人の場合には、なるべく早く勉強を開始することをおすすめします。
行政書士試験の効率的な勉強法
行政書士試験において、出題数が多く配点も高い重要な科目となるのは、「民法」と「行政法」です。そのため、この2科目の学習に集中することにより、合格基準に近づくことができます。民法と行政法でもっとも重要となる勉強法は、「暗記」です。民法と行政法は、「条文を正しく理解すること」が鍵であり、その中でも「重要な条文」にのみポイントを絞って暗記することが効率的な勉強法になります。
しかし、行政書士試験の実際の問題では、出題される事例に対しての条文を「当てはめていく」作業が解答となるため、「どのような場面で」「何のために必要なのか」をきちんと理解した上で、暗記をする必要があります。そのため、暗記学習をする際には、これらを意識しながら行うようにしましょう。また、行政書士の業務に関連する一般知識等については、日頃から政治や経済、個人情報保護などのニュースに関し、つねに意識しながら情報を見るだけでも、試験に役立つ知識を得ることができます。
まとめ
行政書士試験は、受験資格がないことから、毎年多くの人が受験する国家資格です。また、行政書士試験は、法律系の国家資格の中においては、比較的難易度が低いことから、非常に人気の高い資格でもあります。行政書士試験は、毎年1回・11月にのみ、試験が実施されます。行政書士試験を受験するためには、毎年7月末〜8月末までの期間に「受験申し込み」を行う必要があります。
また、行政書士試験の合格に必要な勉強時間は、およそ600〜1,000時間であると言われています。行政書士試験は、法律系の国家資格の中では比較的取得しやすいものですが、合格率自体は8〜10%前後と、実際の試験の難易度はかなり高めです。そのため、行政書士試験に合格するためには、しっかりと合格基準に到達するために必要な知識を身につけることが重要です。そのためには、余裕を持った勉強期間を設けて、効率良くポイントをおさえた勉強法にて学習を進めることが鍵となります。