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行政書士は兼業や副業も可能?働き方の注意点を解説

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行政書士試験に合格し資格を取得した後は、「独立開業」が王道であると思っている人が多いのではないでしょうか。しかし、じつは行政書士は、「兼業」として行っている人も現在は多く存在します。行政書士の兼業や副業についてを、詳しく解説します。

行政書士は兼業することができる

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行政書士は、士業として開業をする人だけではなく、他の業務と兼業している人もじつは多く存在します。行政書士との兼業が多い業務は、「司法書士」「社会保険労務士」「税理士」「土地家屋調査士」などです。その中でも、行政書士と兼業をすることでメリットがあるのは、社会保険労務士や税理士の2つです。なぜなら、社会保険労務士や税理士は、会社と顧問契約をし、業務を行うことが多いため、その先に必要となる許認可申請などの業務も要望されることが多いからです。

そのため、この一連の業務をすべて担うために、行政書士と兼業をする社会保険労務士や税理士が現在では多く活躍しています。また、司法書士や土地家屋調査士も同じように、本業の先に必要となる業務を担うために、行政書士を兼業していることが多くあります。このように、行政書士は他の士業と連動して行うことができる業務も多いことから、兼業することが多い職種の1つです。

また、現在では行政書士として登録をしている人の中には、他の士業との兼業ではなく、「サラリーマンと兼業」している人も多く存在します。要するに、「行政書士を本業」とするのではなく、「副業」として行っている人のことです。しかし、行政書士を副業として行う場合には、申請業務などを行う時間が無いなど、さまざまな問題も多いため、自分なりに工夫をすることが必要になります。

行政書士が兼業・副業するときの注意点

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行政書士が兼業および副業をする場合には、注意しなければならないことが多々あります。まず、行政書士として登録をすると言うことは、「行政書士として開業した」とみなされるため、「行政書士としての義務」が発生します。行政書士としての義務とは、行政書士法11条の「依頼に応ずる義務」で、これは行政書士としての業務依頼があった場合、「正当な事由」がなければ義務を遂行しなければならないというものです。

この場合の正当な事由とは、病気や事故、依頼が犯罪に関わるものである、行政書士の業務範囲外のものであるなどを指します。そのため、行政書士として登録=開業をした後には、正当な事由がない限りは、依頼者からの業務を行わなければいけません。しかし、行政書士を兼業・副業としている場合には、他の業務もあることから、行政書士としての義務を果たすための「時間がない」といった事態が発生する可能性があります。

なぜなら、行政書士が行う書類の申請などは、おもに官公署に提出するものであることから、平日の限られた時間内に行う必要があるからです。行政書士を兼業・副業として行っている人の場合には、その時間を確保することが難しい場合が多くなります。しかしながら、「他の仕事があるために業務を遂行できない」ということは、「正当な事由」には当てはまりません。そのため、行政書士を兼業・副業するには、時間の調整を工夫することがもっとも重要なポイントであると言えるでしょう。

また、行政書士は社会保険労務士や税理士などのように、特定の企業で専属行政書士として業務をすることが認められていません。そのため、行政書士を副業として行う場合には、本業との区別を明確にする必要があります。また、それと同時に、本業で働いている企業にて副業制度が認められているかどうかの、就業規則を確認をすることも必要になります。なぜなら、自分が本業として在籍している企業が副業を認めていない場合には、副業自体を行うことができないからです。

そのため、サラリーマンで行政書士を兼業・副業する場合には、まずは自分が副業をすることができる環境であるかどうかの確認を行うことが先決です。もしも、現在勤めている企業で副業が禁止されている場合には、副業が可能な企業に転職をする必要があります。また、「副業=報酬を貰う仕事」であるため、「報酬を受け取らずにボランティアとして業務を行えばいいのでは?」と思う人もいるのではないでしょうか。

しかし、じつは無報酬であっても、今度は独占禁止法における「不当廉売」にあたるおそれがあります。そのため、行政書士として開業した以上は、正当な報酬を受けて依頼に応ずる義務があります。このようなことから、行政書士を兼業・副業にする場合には、これらの問題に対して注意をし、すべてをクリアした上で行うことをおすすめします。

行政書士が兼業をするメリット

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行政書士が兼業・副業をするメリットは、独立開業をする前の実験や検証および、実務経験を積むことができることです。行政書士は、非常に人気のある資格であるため、毎年4万人ほどが受験する国家試験です。行政書士試験に合格した後は、独立開業する人も多く、現在は行政書士の人数が年々増加し続けています。さらに、行政書士として独立開業した人の9割は、5年以内に廃業してしまうというのが現状です。

このように、行政書士は資格取得者が多いことから、業界では飽和状態になっていると言えます。そのため、行政書士の資格を取得したからといって独立開業をしても、士業だけで生きていくのはかなり困難です。このようなリスクを回避するためにも、まずははじめから独立開業をするのではなく、行政書士を兼業・副業として経験を積むことや顧客を少しずつ獲得していくことが、もっとも適した方法の1つなのです。

行政書士試験に合格したからといっても、実務経験がない場合には、そもそも顧客を掴むことができません。また、行政書士としての実務をしばらく経験してみないことには、本当に自分に合った仕事であるかどうかもわかりません。そのため、行政書士として独立開業する前に、兼業・副業として行うことにより、自分に合った仕事であるかどうかの判断をする期間を作ることができます。行政書士を兼業・副業で行うことにより、少しずつ顧客を獲得する機会も増えることから、独立開業をする準備もすることが可能です。

このようなことから、行政書士として最初から独立開業をするよりも、本業と兼業もしくは副業で行うことにより、さまざまなメリットを得られる可能性があります。もしも、現在勤めている企業が副業が可能である場合には、最初から行政書士として独立開業するのではなく、現在の仕事と兼業・副業をし、様子を見てから独立することをおすすめします。

行政書士を兼業・副業にするデメリット

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行政書士を兼業・副業にすることにより、デメリットとなる場合もあります。行政書士を兼業・副業として行う際に考えられるデメリットとは、「仕事の依頼を請けにくい」という点です。行政書士が行う許認可申請の業務は、基本的に平日の限られた時間内に行うことが必須であるため、兼業・副業で携わっている人の場合には、業務を行うことが難しい案件も多いからです。

また、行政書士を本業で行っている人に比べ、兼業や副業で行っている人とは、やはり信頼度に差が出ることは間違いないでしょう。なぜなら、サラリーマンとして特定の企業に勤めている状態では、「いつ・どこで・だれに情報が漏れるかわからない」といった危険性があるからです。このような状態である行政書士に、重要な案件を依頼したいと思う人は、おそらく少ないのではないでしょうか。

このようなことから、行政書士を兼業・副業とする場合には、そもそも案件を獲得できない可能性があります。そのため、行政書士を兼業・副業として行う場合には、案件を獲得しやすくなるための工夫をする必要があるでしょう。ただし、行政書士法においては、「副業」自体を禁止する規定はないので、サラリーマンであっても兼業や副業を行うことについては問題はありません。

行政書士を兼業・副業する際に、もっとも問題となるのは、やはり勤めている企業が副業が認められているかどうかになります。副業が認められていない企業に勤めている場合には、その時点で行政書士を兼業・副業することはできません。そのため、副業が認められていない企業にて、行政書士を兼業・副業したい場合には、転職するより他に方法がないことから、その点も場合によってはデメリットであると言えるでしょう。

まとめ

行政書士は、独立開業をする資格であると思う人も多いことでしょう。しかし、行政書士は、じつは他の士業と兼業しているケースも多くあります。行政書士と兼業をする士業は、業務内容が似ていたり、連動していることが多い「社会保険労務士」や「税理士」などです。また、現在では行政書士は、士業だけでなく、一般的な「サラリーマンと兼業」していることも多くあります。

しかし、行政書士をサラリーマンで兼業・副業をする場合には、さまざまなメリットもありますが、同時にデメリットもあります。行政書士を兼業・副業するメリットには、はじめから独立開業をして失敗することを回避することや、実務経験を積むメリット、顧客を少しずつ増やすメリット、自分に仕事が合っているかなどの適性を判断する期間を作れるメリットなどがあります。

逆に、行政書士を兼業・副業する際のデメリットには、仕事を請けにくいことや業務を行いにくいこと、勤めている企業が副業が不可であれば転職をしなければならないなどがあります。このようなことから、行政書士を兼業・副業として行う場合には、それぞれの問題点やメリット・デメリットなどをよく考えた上で、行動に移すことをおすすめします。