行政書士は国家資格であり、一度取得をすれば一生保持することが可能です。しかし、行政書士は難易度の高い国家資格の1つであると言われています。行政書士の国家資格としての難易度レベルを比較してみました。
行政書士の国家資格の難易度はどれくらい?
行政書士は国家資格であるため、一度合格し資格取得をすれば、一生保持することができます。また、行政書士は他の国家資格に比べ、受験資格がないことから、非常に人気の高い国家試験です。そのため、毎年4万人ほどが受験をしますが、行政書士の合格率は平均10%前後とであり、決して簡単な国家資格の試験ではありません。同じ国家資格の中で難易度を比較してみると、もっとも難易度が低いと言われているFP2級の合格率が35%ほど、中級レベルの宅建で15%ほど、上級レベルである中小企業診断士で4%ほどとなっています。
さらに、国家資格の中で、もっとも難易度が高いと言われているのが司法書士で、合格率は3%ほどになります。このようなことから、行政書士は他の国家資格と比較してみると、司法書士ほどの超難関レベルではありませんが、難易度がそこそこ高い難関資格であると言えるでしょう。また、行政書士の国家資格を取得する方法は、じつは行政書士試験を受ける以外にもいくつか方法があります。
行政書士の国家資格を行政書士試験以外で取得する方法は、「弁護士・弁理士・公認会計士・税理士」のいずれかの法律系の資格を取得する方法と、「公務員として17〜20年行政事務に従事」をする方法の2つがあります。しかし、弁護士・弁理士・公認会計士・税理士といった行政書士以外の法律系の国家資格は、行政書士よりも難易度が高いため、行政書士の資格だけが欲しいという人の場合には、行政書士試験を受験した方が無難であると言えるでしょう。
また、公務員から行政書士資格を取得する方法も、取得するまでにかなり長い年月を必要とすることから、行政書士の国家資格だけが欲しいという人の場合には、行政書士試験を受験した方が早く、効率的であると言えます。
行政書士は国家資格の法律系では比較的易しい
行政書士は、法律系の国家資格の中では、比較的易しいと言われています。行政書士と他の法律系の国家資格の合格率を比較してみると、司法書士が3〜4%、社会保険労務士は6%、弁理士は8%、宅地建物取引士が16%ほどとなり、それに対し行政書士の合格率は10%前後になります。また、これらの国家資格の難易度をよりわかりやすくするため、「偏差値」からも比較をしてみましょう。
各資格の偏差値は、「弁護士75」「弁理士72」「司法書士72」「税理士72」「中小企業診断士63」「社会保険労務士62」「行政書士60」「FP(ファイナンシャル・プランナー)1級58」「宅地建物取引士56」「第一種衛生管理者50」になります。このようなことから、行政書士は法律系の国家資格の中では、中級レベルの難易度であるため、比較的易しい方であると言えるでしょう。
しかし、行政書士が法律系の国家資格の中では比較的易しい方であるとはいえ、法律について学ぶ事がはじめてであるという人にとっては、簡単に身につく知識ではありません。そのため、行政書士などの法律系の国家資格が初学者であるという人の場合には、しっかりと計画を立てて勉強をする必要があるでしょう。
行政書士と他の国家資格との難易度の比較
行政書士と同じ法律系の国家資格である、「司法書士」「税理士」「社会労務士」「宅地建物取引士」の4つと、それぞれ詳しく比較をしてみましょう。まず、行政書士と同様に、書類作成などを行う「書士業」である司法書士は、同じく独占業務も保持しているため、かなり似通った国家資格の1つです。しかしながら、行政書士と司法書士では、司法書士の方がはるかに難易度が高いと言えるでしょう。
なぜなら、司法書士は行政書士に比べ試験科目が多く、範囲も広いことから、行政書士試験よりも必要な勉強量がはるかに多いからです。また、行政書士試験は「絶対評価制」であるため、合格するために必要な合格点や合格基準点が決まっています。しかし、司法書士試験は、「相対評価制」であるため、合格点や基準点がその年によって異なります。そのため、司法書士試験は、合格するための目安となる基準点が明確でないことから、行政書士試験に比べ勉強の目標を決めにくく学習しづらいと言えます。
合格率においても、行政書士は約10%であるのに対し、司法書士は約3%ほどであることから、司法書士の方が国家資格としての難易度がはるかに高いということがわかります。
次に、行政書士と同じ法律系の国家資格である税理士は、行政書士よりもかなり難易度が高い国家資格です。税理士試験は、「簿記論・財務諸表論」の会計2科目と「税法」9科目のうちの3科目に合格すること=5科目に合格することが必須です。他にも、複雑な計算問題なども多く出題されるため、数字に強い人でないとかなり難関な試験になります。
ただし、税理士試験には、一度合格した科目はその後一生有効になる「科目合格制度」があります。そのため、有効期限などを気にする必要がなく、自分のペースで資格取得を目指すことが可能です。また、税理士の国家資格を取得することにより、無試験で行政書士の資格を得ることができます。このようなことからも、行政書士よりも税理士の方が、難易度が高い国家資格であるということが理解できます。
行政書士と社会保険労務士は、法律を扱う国家資格ではあるものの、その内容がまったく異なります。そのため、難易度の比較は難しいですが、あえて言うのであれば、社会保険労務士の方が若干難易度が高めです。しかし、行政書士と社会保険労務士は、ほぼ同じレベルの難易度であることや、資格同士の相性が良いことから、ダブルライセンスを保持し活躍をしている人もじつは多く存在します。このようなことから、行政書士と社会保険労務士は、同等レベルの国家資格であると言えるでしょう。
宅地建物取引士は行政書士と同じく、法律系の国家資格の中では難易度が低いとされています。その理由は、宅地建物取引士試験は、択一式問題のみであるため、非常に解答しやすく点も取りやすい試験であるからです。そのため、行政書士と宅地建物取引士を比較した場合には、宅地建物取引士の方が難易度が低いと言えます。また、宅地建物取引士も行政書士と相性の良い国家資格であることから、ダブルライセンスを持って活動する人が多い資格になります。
行政書士の国家資格を取得するために必要な勉強量
行政書士の国家資格を取得するためには、すでに法律系の資格保持者であればおよそ500時間程度、初学者である場合にはおよそ800時間程度であると言われています。そのため、単純計算すると、1日2〜3時間の勉強時間を確保することができれば、1年ほどで合格を目指すことが可能です。ただし、この勉強時間はあくまでも目安であるため、人により学習ペースや学習方法が異なるため、確実にこの期間で合格することができると断定はできません。
また、行政書士試験の受験者は、試験の半年〜1年ほど前から勉強を開始することが多いようです。そのため、行政書士の試験日は毎年11月と決まっていることから、受験者の多くは前年の11月〜同年5月あたりを目安として、受験勉強を開始しているということがわかります。しかし、行政書士試験が初学者である場合には、この期間内では勉強量が足りないという可能性もあります。
そのため、初学者である場合には、行政書士試験に必要な勉強量や時間はあくまでも参考程度とし、時間が許す限りなるべく早めに受験勉強を開始することをおすすめします。巷にあふれる情報を鵜呑みにしすべて従ってしまうと、自分には当てはまらないといったケースもあることから、全く勉強量や時間が足りなかった、というような残念な結果になってしまうおそれがあるからです。このようなことにならないためにも、法律に関する知識がまったくないという人の場合には、できる限り早い時期から行政書士試験の勉強を開始した方が良いと言えるでしょう。
また、独学で行政書士の試験勉強が不安だという人の場合には、通信講座やスクールを利用することを検討してみるのも良いでしょう。通信講座やスクールであれば、自分に合った生活スタイルで、合格までのカリキュラムを組んでもらうことも可能です。そのため、自分で試験勉強の予定や計画を立てるのが苦手な人の場合には、通信講座やスクールを利用することをおすすめします。
まとめ
行政書士は、法律に関する国家資格の1つであり、一度資格を取得してしまえば一生保持することが可能です。また、行政書士は、国家資格の中でも受験資格がないことから、試験を受けるハードルがもっとも低い試験でもあります。そのため、行政書士は非常に人気のある国家試験で、毎年4万人ほどの人が受験をしています。行政書士は、法律系の国家資格の中では、難易度は「中級レベル」であると言われています。
行政書士の合格率はおよそ10%で、他の法律系の国家資格と比較すると、ちょうど真ん中あたりに属するからです。また、行政書士と同じレベルの国家資格は「社会保険労務士」と「宅地建物取引士」の2つで、これらは「行政書士と相性の良い資格」でもあります。そのため、行政書士とのダブルライセンスで持つ人も多く存在します。このように、相性の良い資格をダブルライセンスで持つことにより、仕事の幅を大きく広げることできるため、よりいっそうの活躍が期待できます。