CFPとFP1級(1級Fファイナンシャル・プランニング技能士)の資格の違いとは、いったい何なのでしょうか?同レベルであると言われるCFPとFP1級ですが、この2つの資格の違いについてを解説していきます。
CFPとFP1級の違いとは?
CFPとは、「サーティファイドファイナンシャルプランナー」という名のファイナンシャルプランナー資格で、日本FP協会が認定する民間資格の最上位に位置します。また、CFPは日本の民間資格ではあるものの、国際資格でもあるため、世界的に通用する資格の1つです。そのため、世界的に通用する資格なので、日本国外でも仕事の活動を広めたいという人におすすめです。
FP1級は、「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」という名のファイナンシャルプランナー資格で、日本FP協会と金融財政事情研究会(きんざい)が実施する国家資格になります。FP1級は、国家資格・FP技能士の中でも最上級に位置します。CFPとFP1級ともに、実務経験がない場合には受験することができないという条件があります。
CFPもFP1級も、どちらも同じ資格の中で最上級であり、実務経験がないと受験ができないなど、やはり似たような点が多い資格です。CFPとFP1級の大きな違いは、民間資格と国家資格であると言う点です。また、CFPは国内だけでなく世界に通用する国際ライセンスであるということも、FP1級とは異なる点になります。
他にも、CFPとFP1級の資格取得ルートにも違いがあります。CFPは、資格取得するまでにいくつかの段階があるため、やや複雑なルートになっています。CFP資格を取得するには、2級FP技能士取得後にAFP資格取得、その後にCFP資格を取得することができます。それに対し、FP1級は2級FP技能士の資格に合格さえすれば、そのまま1級FP技能士を取得することが可能です。
また、CFPとFP1級では、資格維持をするためにかかる費用が大きく違います。CFPは、年会費や継続教育費がかかるのに対し、FP1級は年会費がかかりません。CFPは年会費20,000円、継続教育費が最低でも4,500円と、資格を保持していくだけでも多くの費用がかかります。他にも、CFPはFP1級とは違い、日本FP協会に登録・入会する必要があることから、初期費もかかります。このように、CFPとFP1級とでは、資格取得や資格保持のためにかかる費用にも違いがあります。
CFPはFP1級よりも価値があるのか
「CFPはFP1級よりも価値がある資格である」と言われることがあります。しかし、このような主張の背景には、日本FP協会と民間の資格学校が商取引をしていることが大きな理由の1つです。資格学校は、CFPの資格を取得するために必要な「AFP認定研修」の講習や、CFP試験対策用の講座を取り扱っていることが多くあります。なぜなら、資格学校は日本FP協会と商取引をしていることから、CFPやAFP資格者を増やすことにより、お互いに収入を得ることができる仕組みになっているからです。
日本FP協会は、CFPやAFPの資格取得による入会会員を増やすことで、年会費などの収入源が増える仕組みです。そのため、多くの資格学校と提携し、CFPやAFPの資格取得を勧めてもらうようにしているのです。このような仕組みであることが、CFPはFP1級よりも価値があるものであると言われる理由になります。
CFPに対し、FP1級の場合には認定研修などが不要なため、資格学校での講習もCFPほど数多くなく、費用も安い傾向があります。そのため、資格学校はより収益率の高いCFPやAFPの資格を勧めることが多いことから、FP1級の方が価値が低いのではないか?という認識に繋がってしまうのです。このような理由から、CFPよりもFP1級の方が価値が低いと思われているだけであり、実際にはどちらも資格としての価値が大きく変わるということはありません。
そのため、CFPとFP1級どちらの資格取得を目指すか迷ったときには、「国際資格を取得し世界的に活躍の幅を広げたい」という人の場合はCFPを、「国家資格を一生涯保持したい」という人の場合にはFP1級を選ぶことをおすすめします。
CFPとFP1級は難易度が違う?
CFPとFP1級は、異なるFP資格ですが同じレベルの資格であると言われています。しかし、そもそもCFPとFP1級の両方の資格を受験する人はほとんどいないことから、実際の難易度は把握できていないのが現状です。なぜなら、CFPを先に取得した場合には、FP1級の学科免除を受けることができるため、学科試験においてCFPとFP1級を比較することができないからです。
ただし、逆のパターンで「FP1級を取得してからCFPを受験する」ときには、CFP試験の免除制度はありません。また、CFPは試験のみであるのに対し、FP1級は学科試験と実技試験の両方をクリアしなければ、資格を取得することができません。このようなことから、試験レベル・難易度としては、CFPの方がFP1級よりも難易度が高い可能性があります。
また、それぞれの受験合格率は、CFPは7%前後でFP1級(学科試験)は10%前後です。合格率から見ても、CFPの方がFP1級よりもやはり難易度が高いということがわかります。他にも、CFPがFP1級よりも難易度が高いのは、「受験課目が6つ」ということも理由の1つであると考えられます。
CFPの受験課目は、「金融資産運用設計」「不動産運用設計」「ライフプランニング・リタイアメントプランニング」「リスクと保険」「タックスプランニング」「相続・事業継承設計」の6つに分かれており、すべてを合格しなければ資格を取得することができません。ただし、すべての課目を一度の受験で合格しなければならないというものではありません。期限内にすべてを合格すれば良いので、自分のペースで1課目ずつ合格を目指すという人もいます。
このようなことから、CFPは試験の種類や内容・免除制度においては、FP1級よりも難易度が高い資格であると言えるでしょう。
CFPとFP1級の費用の差
CFPは、資格取得や資格維持にFP1級よりも、かなり多くの費用がかかるため注意が必要です。実際の試験費用においては、CFPは1課目5,400円で6課目合わせて32,400円、FP1級は学科試験8,900円と実技試験20,000円で合わせて28,900円と、CFPもFP1級もどちらも大きな差はありません。しかし、CFPには日本FP協会で認定登録をするために5,000円、年会費20,000円、継続教育費などもかかるため、初年度はすべて合わせると約60,000円ほどもかかってしまします。
そのため、CFPはFP1級と比べると、初年度は約30,000円ほども多く費用がかかることになります。さらに、年会費は毎年かかる費用なので、CFPを保持し続ける場合には、少なくとも20,000円以上はかかることになるのです。しかし、FP1級は入会金も年会費もかかることがないので、資格取得費用以外の必要経費がかかりません。このようなことから、CFPとFP1級は同じレベルのファイナンシャルプランナー資格ではあるものの、費用面においてかなりの差があるため、自分に必要な資格であるかどうかをきちんと見極める必要があります。
また、CFPとFP1級は、どちらも合格率が1割弱という難易度が高い資格です。そのため、資格取得するまでには、自分に合った勉強方法で挑まなければなりません。独学でチャレンジする場合には、必要なテキストを選んで購入するだけで良いので、10,000円程度の費用をみておけば良いでしょう。しかし、資格学校の通信講習で学ぶ場合にはおよそ10万円、通学で学ぶ場合には少なくとも10〜20万程度の費用がかかります。
このように、CFPとFP1級は、どちらもファイナンシャルプランナーにおいて最上級の資格であることから、資格取得までに費用や時間もかかります。そのため、これらの学習費用までをきちんと確認した上で、CFPとFP1級のどちらの資格を取得するか一度検討してみることをおすすめします。
まとめ
CFPとFP1級は、ファイナンシャルプランナーの資格の中では、どちらも最上級レベルの資格になります。そのため、CFPとFP1級の資格は同じようなものであると認識している人が多いのが現状です。しかし、CFPは「民間資格・国際資格」であり、国内外で活躍したい人向けのファイナンシャルプランナー資格です。一方、FP1級は国家資格で、国内にてファイナンシャルプランナー業を展開したい人向けであるため、それぞれに目的が異なる資格です。
また、CFPはFP1級の資格取得ルートの違いや合格率、試験内容などを比較すると、CFPの方がFP1級よりもやや難易度が高めであると言えるでしょう。さらに、CFPよりもFP1級の方が価値が低いと言われることがありますが、実際には価値に大きな差はありません。日本FP協会と資格学校が資格取得を目指すには、CFPの方がFP1級よりもおすすめであると推薦することが多いために、CFPの方が資格としての価値があると思われてしまっていることが原因です。
CFPとFP1級でのもっとも大きな違いは、資格取得費用や維持費用になります。CFPは資格取得するために日本FP協会にて登録し入会金や年会費を収める必要があるのに対し、FP1級には入会金や年会費が一切かかりません。そのため、CFPとFP1級が同じくらいの費用で資格取得と継続維持ができると思っている人は注意が必要です。CFPとFP1級にかかる費用の差をきちんと確認した上で、それぞれの資格取得を目指すことをおすすめします。