中小企業診断士の試験には、科目合格という制度があります。
他の国家資格でも行われている制度ですが、中小企業診断士の場合にも大きな影響が出てくるのです。
どのような制度なのか、合格を目指すためにも理解しておく必要があるでしょう。
中小企業診断士に合格するために大切な科目合格
中小企業診断士の試験は、非常に多くの科目を相手にしなければいけません。
多岐にわたる知識を表面だけではなく、理解していかなければいけないのが難点です。
それだけ高い難易度を誇る試験でもあり、簡単に合格できるような試験とは違います。
1発合格を狙う場合には、2次試験まで含めて4%程度の合格率です。
ほかの国家資格と比較しても、かなり低い数値なのがわかります。
それほど難しい試験なのであり、そうそう合格できるわけではありません。
7科目というところも難題です。
経済学・経済政策から始まり、理系でもある財務・会計、企業の経営形態を表す企業経営論、現場のオペレーションである運営管理も科目に含まれています。
企業法務に、ITである経営情報システム、中小企業白書から出題される中小企業経営・政策まで、非常に多岐にわたる出題を相手にしなければいけません。
計算もしなければいけませんし、法律のような暗記も必要です。
中小企業白書のグラフなども覚えておかなければいけないため、最新の情報を頭に叩き込む必要があるでしょう。
これだけの範囲となれば、勉強時間も驚くほど必要になります。
初学の場合の換算ですが、1000時間から1200時間必要と言われている内容です。
勉強時間として考えれば、余裕で1年間は必要になります。
そこでうまく利用してきたいのが、科目合格の制度です。
他の資格試験でも見られますか、中小企業診断士の場合には7科目から受験科目を減らすことで負担を軽くできます。
勉強時間の確保というところでも、科目合格は重要です。
無理に全科目の合格を目指さずに、科目合格を有効に使うという方法も考えられるようになりました。
それほどを中小企業診断士の試験は、受験者に負担が高いため、科目合格がどのようなものなのかしっかり理解しているようする必要があるのです。
中小企業診断士試験と科目合格を目指すポイント
中小企業診断士試験の場合には、科目合格がポイントになってきます。
科目合格を目指すポイントとして、60%以上の得点を取った場合に有効になることが重要です。
つまり、合格できるレベルで理解している科目ということになるでしょう。
だからこそ、今回は不合格であっても、次には合格ということでみなしてくれる制度なのです。
中小企業診断士試験の場合、非常に難易度の高い科目を相手にすることになるでしょう。
そん中で合格点数を取れたことは、何よりも結果を出したということにつながります。
そこで、この科目合格を有効に使う方法として考えられるようになったのが、2年計画で中小企業診断士試験を受験する方法です。
1年で合格するとなれば、7科目全て勉強しなければいけません。
これは2試験に対しても言えることです。
非常に辛く険しい道のりが待っているわけで、簡単に合格はさせてくれません。
そこで、1年目は2次試験に繋がらない科目の合格を目指します。
中小企業診断士試験では、1次試験の科目すべてが2次試験ににつながるわけではありません。
ここが重要です。
2次試験に関連が薄い科目としては、経済情報システム、経済学・経済政策、経営法務、中小企業経営・政策が挙げられます。
これらの科目を1年目で合格できるように勉強していくのが、中小企業診断士の2年計画の方法です。
1件目で中小企業診断士試験とはどんなものなのか感じ取ることもできます。
実際にこの4科目を合格するというのも簡単なことではありません。
しかし、7科目すべてで合格を目指すよりかは遥かに簡単になるでしょう。
特にポイントなのは暗記科目が多いところです。
経済学・経済政策はしっかりとした知識を身につけなければなりませんが、他の3科目は完全に暗記で対応できます。
そこで、経済学・経済政策を中心に勉強をしながら、受験日が近づいてきた段階で、経済情報システムと経営法務、中小企業経営・政策を覚えていくのです。
経済学・経済政策は、大学で経済学部だった人には難しい話ではありません。
専門的に教育を受けたことがある人以外は、非常にややこしく分かりにくい科目です。
覚えるまでに時間もかかりますし、コツも抑えていかなければいけません。
どうしても勉強に時間がかかることからも、一年目でしっかり理解して合格し、2年目は回避するというのが2年計画の方法です。
科目合格を利用しますが、絶対に免除を受ける必要はありません。
仮に経営情報システムと経営法務、中小企業経営・政策の中で得意な科目があるなら、免除せずに総得点を引き上げるという方法がいいでしょう。
科目としての性格が違うため、全てが得意という人は稀ですが、得意科目はしっかりと残し点数を取るというのも中小企業診断士試験のテクニックなのです。
有効期限がある科目合格と中小企業診断士の合格への道
中小企業診断士1次試験のの科目合格には、有効期限があります。
これが、複数年などの長期設定で勉強する時には、重要なポイントです。
科目合格の有効期限は、2年間となっています。
つまり、3回連続で受験した場合、科目合格を最大限使えるということを示しているのです。
1年前は、苦手な科目で合格できるように狙って行きます。
時間も余裕があり、モチベーションも高い中で勉強することができるので、科目合格も難しくありません。
2年目に科目合格を有効に使い、自分が得意とする科目を受験します。
これで余裕をもって合格を狙いますが、それでも合格できなかった場合には、3年目に科目合格を最大限に活用して受験する方法が考えられるのです。
無理なく勉強のスケジュールを組めますし、意識的に合格を目指していける方法と言えるでしょう。
ただし、この方法はあくまでも1次試験の通過だけを考えたもので、2次試験の勉強時間は含まれていません。
合格後にはしっかりと勉強しなければいけませんし、対策も踏まえた予定を作らなければ合格できないでしょう。
1次試験は絶対評価試験であり、60%取得すれば合格できてしまいます。
しかし、2次試験は相対評価試験であり、 上位の約20%に入らなければ合格することができません。
それだけの用意をして臨まなければいけない試験になるため、科目合格以上に周到な準備が必要と言えるでしょう。
科目合格によるデメリットも考えとかなければいけません。
得意科目を2年目以降に持ってくるのは、総得点の引き上げを狙うからです。
中小企業診断士試験は、60%以上の得点を得なければ合格することができません。
つまり、科目合格で得意科目を免除してしまうと、総得点で足りなくなることが考えられます。
どんな科目でも科目合格で免除すればいいというわけではなく、狙うのであれば不得意な科目の免除でなければ意味がないのです。
得意科目が科目合格し、免除の対象になった場合には、使わないというのも選択肢です。
絶対に科目合格を利用しなければいけないというわけではなく、自分が申請して免除してもらう必要があります。
つまり、任意選択になるため、必要がなければ免除しなくても構いません。
不得意な科目が残ってしまい、総得点に不安があるようであれば、得意科目を使って底上げすることは必要な選択となるでしょう。
科目合格の裏返し!中小企業診断士の足切り
不得意科目が残ってしまった場合、中小企業診断士試験としては非常に不利な状況が出来上がります。
科目合格があるからと言って、何でも使えばいいというわけではない理由の一つが総得点でしたが、足切りという問題もあります。
これが中小企業診断士試験の難しいところでもあり、一次試験になかなか合格できないという人が出てくるのもこの足切り制度の問題です。
不得意科目を作ってしまうと、この足切りが大きな壁になります。
中小企業診断士試験の一次試験では、40%以下の得点になると、総得点で60%を超えていたとしても不合格となります。
1科目でも40%を切ってはいけません。
これが科目合格の裏返しである足切りです。
得意科目はどんどんと得点を伸ばすべきですが、不得意科目を放置することができない条件と言ってもいいでしょう 。
勉強していく上でも、不得意科目をできるだけ少なくし点数を伸ばさなければいけません。
どうしても苦手な科目が出てくるのは、7科目もあれば致し方のないことです。
それでも最低40%を超える得点ができるように、勉強しなければ合格できません。
苦手科目は、過去問などを徹底して活用し、出題傾向から40%以上を狙うというのも方法です。
高い得点を目指すことはできませんが、出題傾向をつかむことにより最低限の点数を確保するのが狙いです。
もちろん、過去問から出題数が少なくなると、特典はできなくなります。
その年によって、これまでとは打って変わった高難易度になる科目が出てくるのも、中小企業診断士試験の特徴です。
こうした問題を回避するためにも、科目合格をうまく使って行かなければいけません。
まとめ
中小企業診断士の科目合格制度は、うまく使えば一次試験突破に向けて強い武器になるのは確かです。
しかし、どのような条件において科目合格が利用できるのか、自分にとって本当に有効な制度となるのかを理解した上で使わなければいけません。
総得点の部分でも、自分に不利になるような条件であれば、使わずに得点を伸ばした方がメリットが生まれるからです。
1年で合格が難しい試験でもありますので、うまく活用して1次試験突破を目指して行きましょう。