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オープンイノベーションを促進させる税制とは?

世界では主流ではあるものの、日本においてはまだまだ普及しきれていないオープンイノベーションの促進を図るため、令和2年の税制改正大綱でオープンイノベーションを促進させる税制の導入が閣議決定されました。持続可能な経済成長の実現に向け、オープンイノベーションの促進を図り、企業に投資や賃上げを促すことを目的に、国内の事業会社やCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)からスタートアップ企業への出資がさらに加速されることが期待されています。スタートアップ企業側としては資金が調達でき、新たなビジネスの開発につなげることができます。一方で余剰資金を持つ企業側からしても、節税的な観点でもスタートアップ企業への投資はメリットがあります。国としても力を注ぐオープンイノベーションは、税制改正によって大きく動き出しています。今回は、日本におけるオープンイノベーションの今後を左右する、促進税制についてその概要とメリットなどについて紹介していきます。

オープンイノベーション促進税制とは?

目まぐるしく変わる市場ニーズや消費者動向、更に新型コロナウイルスの影響もある昨今において、企業側としては常に新たな商材やサービスを提供していくことが求められています。このような市場をふまえ消費者ニーズにあった製品を開発する上で、開発スピードの向上やコスト削減などは避けては通ることができず、これが自社内だけではカバーできなくなってきています。そこで登場したのがオープンイノベーションという考え方になります。社外の企業との連動を図り、社外の知識や技術、人材などを積極的に活用するオープンイノベーションは、プロダクトライフサイクルの短期化の中において非常に有効な手法として注目が集まっています。
世界では既に主流になっているオープンイノベーションは、日本ではまだまだ普及しきれているわけではありません。これは、技術やスキルの流出を恐れるあまり消極的になっていた背景があります。ただ、先ほどもふれた市場ニーズ合わせた製品開発を進める上で、オープンイノベーションの更なる積極的な活用が求められています。そのオープンイノベーションの促進を図るため、国も動き出し税制改正が令和2年4月から2年の期限付きで創設されました。これにより、オープンイノベーションを検討している企業にとっては、非常に追い風になると期待されています。

制度の概要と目的

オープンイノベーション促進税制は、経済産業省によって創設された制度で、令和2年4月から令和4年3月までの2年間に、国内の事業会社またはCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)がスタートアップの新規発行株式を一定額以上取得した場合、その株式取得価額の25%が所得控除されるという制度になります。具体的には、創業10年未満かつ未上場のベンチャー企業を対象に1億円以上の出資を行った場合、出資した企業に出資額の25%の所得が控除されます。1件あたりの控除額の上限は25億、年間では125億という上限はありますが、出資する企業においてはオープンイノベーションの促進とともに、大きな節税対策にもなります。また、スタートアップ企業においては資金増加によって新たな技術や研究開発分野における発展が期待できます。日本でのオープンイノベーションの活性化を図る上でも、この促進税制は注目されています。

対象企業と出資要件

オープンイノベーション促進税制の対象となる企業は、基本的には株式会社などの青色申告書を提出する法人となります。スタートアップ企業とのオープンイノベーションを目指す株式会社やこれに付随する法人、法人が主体となるCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)が対象となります。一方で出資を受ける側のスタートアップ企業としては、設立10年未満の未上場企業が対象となります。なお、出資の要件としては純投資目的ではなく、オープンイノベーションの要件を満たす目的での出資となります。5年以上の株式保有を予定する1件あたり1億円以上の大規模出資とされていますが、中小企業の場合は1件あたり1,000万円以上で出資が可能です。海外のスタートアップ企業の場合には、一律1件あたり5億円以上で出資も可能となります。いずれも5年以内に株式を売却した場合、初年度に受けた税額控除は売却した事業年度で調整されることになります。
促進税制の適用を受けるために特に事前の申告は必要なく、スタートアップ企業への出資を行った後に証明書を申請します。税務申告で証明書を添付して所得控除が行われるというのが、適用までの流れになります。

オープンイノベーション促進税制の特徴・メリットとは?

世界的にオープンイノベーションの活用動向を見ますと、スタートアップ企業として始まり、短期間で大きな影響力を持つまでに成長した企業もいくつも誕生しています。これに対して日本ではまだまだオープンイノベーションが普及しきれていない傾向にあります。これは、日本においてスタートアップ企業は多額の資金調達をすることが難しい傾向にあることが影響しているといわれています。そのため、今回のオープンイノベーション促進税制は、市場ニーズに合わせ革新的なサービス展開を行うことができるスタートアップ企業を助け、出資元企業とも技術や人材リソース等の相互交流を図ることで更なる発展や成長を促すことが期待されています。それに関連して、具体的なオープンイノベーション促進税制のメリットについてもいくつか紹介していきます。

自社の研究開発や技術力の向上

まず一つ目のメリットと致しまして、自社の研究開発や技術力の向上が期待できる点です。オープンイノベーションとして有望な出資先を見つけ出し、出資とともに協業することで、今までの自社にはなかった新しい革新的なアイディアを取り入れることができます。研究開発のスピードが向上したり、技術力も高まりますので、市場ニーズに合わせたサービス展開を行うことが可能になります。また、一から開発する手間やコストも削減できる点もメリットとして考えられます。

1,000万円以上からの出資も可能

オープンイノベーションの促進税制は、大企業だけではなく中小企業でも実施可能です。中小企業の場合、1,000万円以上から出資も可能ですので、比較的オープンイノベーションを展開しやすい点もメリットとして挙げられます。

内部留保の活用による節税

最後に、企業の内部留保の活用による節税効果が期待できる点もメリットとしてあります。日本の企業は、一般的には投資に消極的なため、内部留保を多く抱えている傾向にあります。今回のオープンイノベーション促進税制では、このような内部留保を活用することで展開することができますので、企業にとっては節税効果というメリットがあります。

オープンイノベーション促進税制の法律上の注意点とは

ここまでオープンイノベーションの促進税制の概要やメリットなどについて紹介してきましたが、あくまで国の法律制度のため一定の条件をクリアしておく必要があります。続いては、このような法律上の注意点について一部紹介していきます。

一定額以上の出資金額が必要

オープンイノベーションの促進税制を活用するためには、一定額以上の出資金額が求められます。原則は1件あたり1億円以上の出資が必要となります。中小企業からですと1,000万円以上と出資金額が若干緩和されますが、それでも最低出資金額がある点は注意が必要です。

国内の企業からの出資であること

オープンイノベーション促進税制は、国内の企業からの出資に限られており、外資系企業からの出資は対象外となります。これにはCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)なども含まれますが、投資法人は国内の法人企業であっても該当しませんので注意が必要です。

スタートアップ企業側にも条件がある

さらに、出資を受けるスタートアップ企業側にもオープンイノベーションの促進税制を活用するための条件があります。これは、設立後10年未満であることや未上場であることなどが挙げられます。また、出資を受ける側の企業は日本企業である必要はありません。ただ、最低金額は日本企業であれば原則1億円以上のところが、外資系企業では5億円以上となります。こちらも注意が必要な項目になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
オープンイノベーションは、変わりゆく市場ニーズに合わせ商材やサービスを開発・展開していくためには非常に有効な手法となりますが、日本でこのオープンイノベーションを広げるためには改善しなければならないハードルが多くあります。その1つである資金調達を解消するために、オープンイノベーション促進税制は大きな手助けになると期待されています。法律上注意しなければならない点を意識しながら、効果的に促進税制を活用していきましょう。

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