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行政書士試験の難易度はどのくらい?他の資格との比較を詳しく解説

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行政書士試験は、合格するためには、多くの勉強時間が必要であると言われています。そのため、行政書士試験は、難易度が非常に高いと思っている人も多いのではないでしょうか。行政書士試験の難易度や、他の資格との比較を詳しく解説します。

行政書士試験の難易度はどれくらい?

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行政書士試験は、法律系の国家資格の中では比較的難易度が低いことから、「登竜門」的な位置付けであると言われています。そのため、過去に法律について学んだ経験がある人にとっては、取得しやすい資格であると言えます。しかし、行政書士試験の難易度が低いというのは、法律系の国家資格においての話です。そのため、行政書士試験は合格率から見ても、難易度が低い試験であるとは言い難いのが現実です。

なぜなら、行政書士試験の平均合格率は、8〜10%とかなり低めであるからです。このように、平均合格率から見ると、行政書士試験とは一般的に難易度が高い試験であると言えるでしょう。また、行政書士試験は、普段あまり触れる機会のない、法律の専門的な内容であることから、法律を学んだことのない初学者が挑戦する場合には、より難しく合格しにくい試験であると言えます。このようなことから、行政書士試験が初学者である場合には、それなりに勉強時間が必要になることを、覚悟しておくようにしましょう。

行政書士試験の難易度が高い理由

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行政書士試験は、法律の国家資格であるため、内容自体の難易度が高いのはもちろんのこと、試験科目・範囲が非常に幅広いのが特徴です。行政書士試験の試験科目は、「憲法」「民法」「行政法」「商法」などの法令科目を中心とし、それぞれに法律の条文や判例、さらにはそれらを応用した問題が多く出題されます。また、行政書士試験は、これらの法令科目に付け加え、「一般知識」という科目があります。

行政書士試験の一般知識科目とは、「個人情報保護」「情報通信」「政治・経済」など、一般知識から常識問題までと、ざまざまな分野の問題が出題されます。このように、行政書士試験は試験科目が多く、勉強する必要のある範囲が非常に広いことが、難易度が高い理由の1つでもあります。また、行政書士試験は、合格するためにはあらかじめ決められた「合格基準点」をクリアする必要があります。

行政書士試験の合格基準点は、300点満点中の6割である180点に設定されています。300点満点中の6割であれば、簡単だろうと思う人も多いことでしょう。しかし、行政書士試験の合格基準点である180点とは、総合計の点数ではなく、それぞれの科目ごとに合格基準点が設定されていることから、それぞれに設定された合格基準点を満たさなければ、合格することができません。

行政書士のそれぞれの科目の合格基準点は、憲法・民法・行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法を中心とする)・商法(会社法)・基礎法学を含む「行政書士の業務に関し必要な法令等(46題)」において244点中122点以上、政治・経済・社会・情報通信・個人情報保護・文章理解を含む「行政書士の業務に関連する一般知識等(14題)」において56点中24点以上です。

この2科目の合格基準点をクリアした上で、総合計点数が180点以上の得点でなければ、行政書士試験に合格することはできません。このように、行政書士試験では、すべてにおいてまんべんなく得点をとらなければいけないことから、どの科目においてもそれなりの知識を必要とします。このようなことから、行政書士試験に合格するためには、多くの勉強時間が必要であると言われているのです。

また、行政書士試験には、「記述式問題」という「解答が難しく配点が高い問題」が出題されるのも、難易度が高い理由であると言えます。記述式問題とは、長文の問題を読解し、必要な答えを40文字程度の文章で答える、といった形式の問題です。この記述式問題は、行政書士試験においては3問しか出題されませんが、1問20点で合計60点と配点の割合が非常に高い問題となっています。

この記述式問題は、まず問題文が長文であるため「読解力」を必要とすることや、問題文から正解を導き出すための「思考力」、40文字程度の文章にまとめる「文章力」など、さまざまなスキルを必要とする難問です。しかし、行政書士試験において、記述式問題は高配点の問題であることから、苦手であるからといってすべての問題をパスするわけにはいきません。

このように、行政書士試験では、記述式問題のような難問が高配点を占めていることも、難易度が高い理由の1つであると言えるでしょう。

行政書士試験の難易度は人気に比例する

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行政書士試験は、毎年多くの人が受験をする人気の資格です。行政書士がなぜ人気があるのかというと、他の国家資格のような「受験資格がない」からです。行政書士試験には、受験資格がいっさいなく、誰でも受験することができます。そのため、行政書士試験は申し込みさえすることができれば、誰でもチャレンジすることができる敷居の低い国家資格であるため、毎年多くの人が受験を申し込みます。

このようなことから、行政書士を受験する人の中には、合格水準から遠く離れた学力である人も多く含まれています。その結果、合格率とはあくまでも「合格者数÷受験者数」という計算で算出されるため、必然的に合格率が低くなってしまいます。また、行政書士は、法律を扱う専門業種で、行政書士にしか行うことができない「独占業務」を持つ職業です。そして、行政書士が行う独占業務とは、社会的に大きな責任のある業務であることから、一定の能力水準を保たなくてはいけないため、合格水準や難易度も高く設定されているのです。

行政書士試験の難易度を他の資格と比較!

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行政書士と司法書士は、どちらも書類作成を行う「書士業」であり、それぞれに独占業務を持つ資格です。そのため、行政書士と司法書士は、どちらも似たような難易度であると思われがちですが、じつは司法書士の方がはるかに難易度が高い資格になります。試験範囲の広さや試験内容まで、どれを比較しても、行政書士よりも司法書士の方が難易度は上位です。また、行政書士の合格基準は、毎年一定の合格点が決まっている「絶対評価」であるのに対し、司法書士は合格基準点が明確に決まっていない「相対評価」であるため、毎年合格基準点が変わります。また、行政書士の平均合格率が10%前後であるのに対し、司法書士は3%ほどとなっており、合格率を見ても司法書士の方が難易度が高いということが一目でわかります。

行政書士と難易度が似たレベルであるとよく比較されるのが、宅地建物取引士(宅建)です。宅地建物取引士は、試験問題が択一式問題のみであるため、行政書士試験に比べ、難易度が低いと言えるでしょう。また、宅地建物取引士試験は、試験範囲が狭く、合格するために身につける知識も、そこまで深くは必要としません。このようなことから、行政書士と宅地建物取引士を比較した場合には、宅地建物取引士の方が難易度は低いです。

行政書士と税理士を比較した場合には、税理士の方が難易度はかなり高いと言えるでしょう。なぜなら、税理士試験は、「簿記論」「財務諸表論」の会計2科目と、税法9科目を合わせた11科目のうち、「会計2科目を含む合計5科目」に合格することが必須です。また、税理士には、行政書士では必要としない複雑な計算や数字も多く出てくることから、数学の知識を持っている、あるいは得意であるといった人でなければ、勉強に取り組むことが難しいでしょう。このようなことから、行政書士よりも税理士の方が、難易度はかなり高いものであると言えます。

行政書士と社会保険労務士を比較した場合、ほぼ同等、もしくは社会保険労務士の方が若干難易度が高いと言えるでしょう。なぜなら、行政書士に比べ、社会保険労務士には、覚える必要のある数字や法改正などが多いからです。しかし、行政書士と社会保険労務士とでは、勉強する試験科目がまったく異なるため、いちがいにどちらの方が難易度が高いと言い切るのは難しく、強いて言うならば、社会保険労務士の方がやや難しい、といった程度になります。

このように、行政書士といくつかの国家資格を比較をしてみましたが、この中において宅地建物取引士と社会保険労務士の2つとは、じつは行政書士は相性の良い資格になります。この2つの資格は、行政書士と難易度も同じくらいであることから、ダブルライセンスを取得して活躍している人も多く存在します。また、現代においては、1つの資格よりもダブルライセンスを取得した方が、仕事の幅や専門性も広がることから、非常にニーズが高くなりつつあります。

そのため、行政書士試験に合格したあとには、難易度の近いこの2つの資格試験にも挑戦してみることをおすすめします。

まとめ

行政書士試験は、法律系の国家資格の中では、比較的取得しやすいことから、難易度が低い資格であると思われがちです。しかし、実際には、行政書士の合格率は8〜10%前後であるため、一般的に難易度は高い資格であると言えます。また、行政書士は、受験資格がいっさいないことから、誰でも受験することが可能です。そのため、毎年多くの人が受験することから、「受験者数÷合格者数」の計算式で割出すと、必然的に合格率が低くなってしまいます。

さらに、行政書士は、独占業務を持つ法律の専門業種であるため、大きな責任がある職種です。そのため、行政書士になる人は、一定の能力水準を保つ必要があることから、難易度が高く設定されることとなります。