中小企業診断士を目指すのであれば、現在どれほどの人数が活躍しているのか考えてみる必要があります。
中小企業診断士を国家資格の試験として見た場合も合格している人数は難易度と将来性を物語る数字となるでしょう。
正確な判断をするのは中小企業診断士の大事な施設となりますので、自分自身の将来のためにも検討してみる必要があります。
中小企業診断士の受験難易度と人数
中小企業診断士の試験は、国家資格の中でも難易度の高い部類に入ります。
1次試験と2次試験があり、合格率はそれぞれ20%程度です。
20%のうち20%が合格するという計算になりますので、一発で合格できる確率は4%程度しかありません。
国家資格の中でも4%というのはかなり低い部類となるでしょう。
4%ではありますが、受験資格がないという面を考えると、もう少し高い数値なる可能性もあります。
専門知識をもって臨む国家資格ではありますが、その人がこれまでどのような経験をしたのか背景は関係していないからです。
だとしても、決して簡単な試験ではありません。
現実的な面として、100人受けても4人しか合格していないのです。
ここ数年での1次試験の申込者数は、2万人程度で落ち着いてきました。
そのうち受験する人数は16000人から17000人というところです。
ただし、これは、1科目でも受験した人の人数であり、すべての科目を受験した人は、13000人前後となります。
つまり、初めて受験するか、科目免除が受けられなかった人の数が13000人というところです。
大人数から合格率を見ると、20%程度であることがわかります。
合格者数は大体3000人から4000人であり、多い年では30%を超えることもありました。
この推移は揺れ動きが大きく、15%といったとしてもあるほどです。
ここで重要になるのが、中小企業診断士1次試験は絶対評価試験であり、総得点で60%以上、1科目でも40%以下の足切りがないのが合格の条件です。
試験問題が著しく難しくなった年なのは、合格率が下がります。
楽に問題が簡単で、得点が増えた年は合格率が上がるのです。
それだけ多くの合格人数を生み出していくことになりますが、中小企業診断士試験は2次試験に合格しなければいけません。
2次試験同じように見ると、記述試験合格しなければ次の口述試験に移れません。
記述試験の合格率は、ほぼ20%です。
20%の理由は、2次試験が相対評価であり、上位20%を合格させると言う基本が影響しています。
その年の難易度調整などもありますが、ほぼ20%以下で推移してきました。
合格者の人数も1000人を大幅に超える年はあまりありません。
中小企業診断士の合格者の人数と構成
中小企業診断士の合格者の人数とその構成を見ると、どのような人が受験し活躍していくのかが見えてきます。
一次試験の性別を見ると、男女比は9対1程度になります。
非常に男性の多い資格試験であることが見えてくるでしょう。
これは経営コンサルタントという資格の性格の裏返しとも言えます。
それでも女性が活躍できるような下地が生まれてきたのがわかります。
女性を中心とした企業であれば、男性より女性の経営コンサルタントに依頼したいと思うのが当然です。
センシティブな問題も出てくるのですから、今後はさらに拡大してくることが予想されます。
問題なのは男女比の構成よりも、その合格率です。
合格した人数を見ると、女性の方が合格率が低い状況です。
この状況は、中小企業診断士として必要とされるバックボーンの違いが現れていると言えるでしょう。
一つに特化するのではなく、様々な業種に対する知識が必要とされるためです。
今後女性の社会進出がさらに進めば、この合格率にも違いが出てくると考えられます。
ところが、2次試験を見ると男女比は大きく変わってきます。
1次試験の結果から、2次試験にチャレンジできる女性の数は少ないものの、合格率は逆転するのです。
人数の差があるため、そのままの数字で測ることはできませんが、それでも女性の合格率が高いのは、論点を明確にし文章として構成する能力の違いが出ていると言えます。
年齢で見ると、1次試験の申込者の大半は30歳から50歳未満です。
構成比も発表されていますが、この年代だけで半数以上を占めています。
合格率の高さもこの年代に集中しており、20歳未満になると合格率は0.1%を下回るほどです。
つまり、社会である程度経験をした人でなければ、合格率が下がる状況を意味しています。
1次試験の合格率は、だいたい20%程度ある中、この年齢体は30%の合格率が保たれているのです。
ただし、2次試験の合格率を年齢で見ると、20%を超えるのは20代から40歳未満です。
知識としては50歳未満に有利な部分があっても、文章にまとめるという試験となれば、もう少し若い年齢の方が対応力があると言えるでしょう。
中小企業診断士として活躍している人数は
中小企業診断士の登録人数は、約26000人と考えられています。
5年ごとに更新するのが中小企業診断士の資格の特徴ですので、かなり正確な数字です。
非常に多くの人数が登録しているように見えますが、他の資格と比較してみるかなり少ないことが見えてきます。
税理士の場合には、76000人ほど登録されており、活躍されている状況です。
人数が多いと言われている行政書士でも、46000人ほどになります。
この人数と比較してみて、中小企業診断士が少ないことがわかるでしょう。
日本の企業の構成を見ると、99%以上は中小企業です。
この経営のコンサルティングを行う中小企業診断士の人数は、驚くほど少ないと言えます。
では、需要が増えて人数が増えているかといえば、実際にそこまでではありません。
ほんのわずかに増加しているように見えても、登録を解除している人も多いのです。
ここからわかることは、中小企業診断士として登録しても、仕事を得られない状況も多いと言えます。
独立開業して維持するには苦しいというのもあるでしょう。
中小企業診断士の知名度が低く、活躍できる下地がまだまだ足りないとも言えるのです。
それに伴い資格の維持費用の問題も出てきます。
中小企業診断士を有するためには、やはり一定の費用をかけなければなりません。
開業して維持すると言ったこととは別に、必要となる部分です。
企業の中で中小企業診断士の資格を活かすとしても、費用がかかってくることには間違いありません。
企業の中では、維持したくてもできないような状況が生まれると言えます。
それでも大活躍している人数はわずかに増加し続けています。
資格を取得するだけでも大変ですが、中小企業診断士として維持するのもかなり困難な状況が待っているのは間違いありません。
5年ごとの更新制というのも重い負担になります。
専門知識補充要件が5回以上と実務要件が30日以上という条件も必要となるからです。
これを満たさなければ更新できないため、解除してしまう人も多いと言えます。
人数から見る中小企業診断士として生き残る道
中小企業診断士の資格を取ったら、人数から見ても、生かせないのではないかと判断するのは早計です。
生かせないではなく生かすことを考える必要があるからです。
これぞ中小企業診断士の本来の姿と言えるでしょう。
経営コンサルタントとして中小企業の相談に乗る立場となれば、様々な問題に対して対処していく必要が出てきます。
この問題も千差万別で、驚くような悩みが出てくるのも珍しくありません。
どうしたら対処できるのか、判断に困るようなものもたくさんあります。
その問題に一つずつ対応する能力が求められるのです。
この問題定義を自分に置き換えてみる必要があります。
自分自身が中小企業診断士としてどのような経緯をしていかなければいけないのか、自分をコンサルティングしてみる必要があるのです。
生き残るために、自分の能力はどこにあるのか、それを発揮する場を作り出せるのかどうか判断します。
発揮できる場がないのであれば、どこかにあるのか探さなければいけません。
能力が足りないのであれば、上積みできる方法を模索する必要もあるでしょう。
中小企業診断士として、需要がないわけではないのです。
それどころか、社会の景気が後退していく中、中小企業診断士の必要性はさらに高まります。
中小企業診断士の仕事は、ロボットやAIに取って代わられることがありません。
書類を作成などはオートメーション化が進む可能性も模索されている状況ですが、経営者が抱える悩みに対して相談を受けるという仕事は代替がきかないのです。
診断をするだけではなく、適切な助言をするというのが中小企業診断士の大事な役割です。
この方向を自分自身に当てはめてみた時に、いったいどのようなことをしなければいけないのか、中小企業診断士として見えてこなければいけません。
自身をコンサルティングし、伸ばしていく方法を考え出すのです。
この結果が、生き残りと言う道を見つける方法になるでしょう。
クライアントだけではなく、自分自身でさえもコンサルティングするのが中小企業診断士になるのです。
しっかりとしたコンサルティングができているのであれば、クライアントも安心して話をしてくれます。
将来の行方が分かりにくい世の中になればなるほど、中小企業診断士能力は必要とされます。
この力を生かすかどうか、これが生き残りの道なのです。
まとめ
中小企業診断士の人数は、決して多くありません。
需要の増加を考えても、絶対数が足りなくなる可能性も出てきます。
知名度が低いために利用すること自体が理解できていない企業もたくさんいるのです。
景気の回復が難しい現状を踏まえても、中小企業診断士の価値は高まっていきます。
あとは自分自身が価値を高める行動をとり、人数以上の価値を生み出していくのが大切なのです。