マンション管理士と宅建の資格の違いとは、一体なんなのでしょうか?また、マンション管理士と宅建では、どちらの資格を取得した方がよいのでしょうか。マンション管理士と宅建の難易度や需要を比較しました。
目次
マンション管理士と宅建の違い
不動産業界における代表的な資格である「マンション管理士」と「宅建」ですが、似ている資格であるため、違いがわからないという人は多いのではないでしょうか。マンション管理士とは、おもに「マンションなどの建物の管理および維持」や「コンサルティング業」を行うことができる国家資格です。マンション管理士は名前が似ていることもあり、「マンションの管理人」と間違われることも多いですが、業務内容は全く異なるので注意が必要です。
マンション管理士は、マンション管理組合を顧客として、マンションなどの建物の維持や管理業務についてのアドバイスを行うコンサルティング業をおもな仕事としています。そのため、マンション管理士は、マンション管理に関する法律や知識、建物の保全修繕などマンション維持管理の知識を必要とし、マンション管理士になるためには資格取得のため国家試験を受けなければなりません。
宅建とは「宅地建物取引士」の略称で、おもに「不動産の売買・貸借・交換の仲介業務」などを行う際に必要な国家資格で、不動産行業(宅地建物取引業者)に携わる人が多く保持する国家資格です。宅建保持者の多くは、土地や建物の売買や賃貸物件のあっせん・仲介などを業務として行っています。宅建は、マンション管理士と同じく国家資格であるため、国家試験を受け資格取得をする必要があります。
このように、マンション管理士とは「マンション管理についてのコンサルティングのスペシャリスト」であり、宅建は「不動産取引の専門家・プロフェッショナル」になります。また、マンション管理士は「名称独占資格」であるため「独占業務がない」のに対し、宅建は「必置資格」であることから「独占業務がある」ということも、2つの資格の大きな違いであると言えるでしょう。
マンション管理士と宅建の具体的な仕事内容とは?
マンション管理士と宅建のそれぞれの具体的な仕事内容とは、どのようなものなのでしょうか?マンション管理士の具体的な仕事内容は、「マンション管理組合を顧客として、マンション運営に関するサポートやさまざまなアドバイスをすること」がおもな仕事です。マンション管理士は、資格取得で得たマンションに関わる法律やさまざまな知識をもとに、マンション管理組合の会計管理、マンションの修繕維持、マンション管理規約の作成や更新、管理物件で起きたトラブルの解決など、マンションの健全な運営をするためのコンサルティング業務が仕事内容になります。
また、マンション管理士と似た資格に「管理業務主任者」というものがあります。管理業務主任者も、マンションに関する国家資格であるため、同じものであると思う人も多いようですが、じつは資格内容は全く異なります。2つの資格の明確な違いは、マンション管理士は「住民の立場からマンションの管理を行う」業務であるのに対し、管理業務主任者は「管理会社の立場からマンションを管理する」業務であることです。このように、同じ管理業務であっても仕事内容は全く違う業務であるため、間違って取得をしないように注意が必要です。
宅建の仕事内容は、「宅地建物取引の契約締結時に重要事項を説明する」「宅地建物取引の契約締結後の書類に署名や押印をする」という2つの業務がもっとも重要なものです。また、この他にも土地や建物の売買や購入の手助け、賃貸物件の仲介や契約サポート、住宅や土地の広告・販売活動、不動産などの資産の運用コンサルティング、マンションの管理業務なども、宅建の仕事内容に含まれます。
このように、マンション管理士の仕事内容は、マンションの運営や維持に特化したものであり、宅建の仕事内容は、宅地建物取引の重要業務や賃貸物件等の契約サポート、不動産の資産運用等、土地や物件の売買に関するものになります。
マンション管理士と宅建の難易度
マンション管理士と宅建は、「マンション管理士の方が難易度は高い」と言えます。なぜなら、マンション管理士の平均合格率は8%前後であるのに対し、宅建の平均合格率は16%ほどであるからです。このような結果から、マンション管理士は宅建の半分ほどの合格率であるため、マンション管理士の方が宅建よりも難易度が高いということがわかります。
マンション管理士と宅建は、現在どちらも人気の資格です。なぜ、マンション管理士と宅建の資格が人気なのかというと、「就職や転職に有効な資格」であるからです。マンション管理士と宅建は、不動産業界において資格を保有していると仕事に就きやすいことから、この2つの資格のどちらを取得するか迷うことが多いと言われています。そのため、マンション管理士と宅建の難易度についてを、比較検討されることが多いのです。
しかし、難易度だけで取得する資格を決めることは、おすすめできません。なぜなら、マンション管理士と宅建の仕事内容が、全く違うものであるからです。人には自分に合った「特性」があることから、安易に難易度の低さ・資格取得のしやすさだけで選んでしまうと、失敗するおそれがあります。そのため、難易度だけでなく、自分に合った仕事内容であるかどうかをきちんと確認した上で、マンション管理士と宅建のどちらの資格を取得するかを決めることをおすすめします。
難易度だけで選んで失敗してしまった場合、その資格取得にかけた時間や費用が水の泡となってしまいます。マンション管理士も宅建も、どちらも簡単に取得できる資格ではありません。せっかく時間や費用、労力をかけて資格を取得するのであれば、きちんとそれに見合ったリターンを見込めなければ意味がありません。時間や費用を無駄にしないためにも、しっかりとマンション管理士と宅建の仕事内容を理解し、自分に合っている方を選択するようにしましょう。
マンション管理士よりも宅建はどちらを取得するべきか?
マンション管理士と宅建は仕事内容が異なるため、自分に合った仕事内容の資格を取得することが一番です。しかし、現段階ではマンション管理士の資格を取得するよりも、「宅建」の資格を取得することをおすすめします。なぜなら、マンション管理士は物件が増え続けることにより需要が高まる資格ではあるものの、現段階では宅建の方が就職や転職において需要が高いからです。
宅建は、必置資格であり、独占業務があります。宅建の資格取得者がいなければ、不動産業において営業や契約の締結をすることができません。そのため、不動産屋を営む場合には、宅建取得者が必要になります。しかし、それに対しマンション管理士は、名称独占資格であるだけなので、独占業務がありません。したがって、実際にはマンション管理士が居なくても、マンション管理や運営をすることは可能なのです。
学習時間においても、マンション管理士はおよそ600時間必要であるのに対し、宅建はおよそ300時間であると言われています。このように、マンション管理士は宅建の倍も学習時間が必要であることも、資格取得において難易度が高いことの理由の1つです。このようなことから、就職や転職においては、マンション管理士よりも宅建の方が資格を取得しやすく、需要も高い資格であると言えるでしょう。
そのため、最短で資格取得をし、すぐに仕事に活かしたいという人や、年収をアップさせたいという人、独立開業を目標としている人の場合には、宅建を取得することをおすすめします。
マンション管理士と宅建のダブルライセンスはメリットがある
マンション管理士と宅建は、ダブルライセンスを取得する場合も多いです。ダブルライセンスを取得する場合は、マンション管理士よりも宅建の方が難易度が低いことから、順番としては「宅建取得後にマンション管理士」という流れになります。また、マンション管理士と宅建は、試験範囲も民法の部分が重複しています。そのため、宅建の資格取得後にマンション管理士の取得を目指すことにより、勉強時間の短縮にもつながります。
実務においても、マンション管理士と宅建を合わせて持つことにより、「マンション管理も行える宅建士」「不動産取引の知識をマンション管理にも活かす」というようにお互いの仕事上で活用することが可能になります。このように、マンション管理士と宅建の2つの資格を併せ持つ・ダブルライセンスを取得することにより、仕事の幅が広がり年収アップや転職・独立などにも役立てることができます。
まとめ
マンション管理士と宅建は、似ているようで仕事内容が全く異なる資格になります。マンション管理士とは、マンション管理組合を顧客にし、マンションの健全な運営をコンサルタントする業務がおもな仕事です。宅建は、おもに宅地建物取引の契約締結などの重要業務や、不動産の資産運用などがおもな仕事になります。
また、マンション管理士は名称独占資格であり、肩書を名乗るためには必要な資格であるものの、独占業務はありません。それに対し、宅建は必置資格であるため、独占業務があります。そのため、マンション管理士と宅建を比較した場合には、宅建の方が難易度も低く、現段階では就職や転職などにおいても需要が高い資格であると言えるでしょう。このようなことから、すぐに資格を活かしたいという人の場合には、マンション管理士よりも宅建を取得することをおすすめします。