行政書士の仕事内容は、おもに書類作成業務や代理申請業務であり、行政書士が取り扱うことができる書類作成の種類は、1万種類以上であると言われています。行政書士の仕事内容や、業務内容、種類などを具体的に解説します。
行政書士の仕事内容とは?
行政書士の仕事内容は、大きく分けて3つあります。行政書士の仕事内容は、「行政書士法業務第1条の2と3」に定められており、「書類作成業務」「手続代理・代行業務」「相談業務」の3つになります。行政書士の仕事内容である書類作成業務とは、おもに「官公署にに提出する書類」「権利義務又は内容証明に関する書類」「許認可等に関する書類」「契約などに関する書類(代理人)」などの作成です。
行政書士の仕事内容の手続代理・代行業務とは、官公署に提出する書類を本人に代わって官公署に代理人として手続をすることや、許認可に関する手続の代理・代行などになります。行政書士の仕事内容の相談業務とは、行政書士が作成することができる書類の作成についての、さまざまな相談に応じることです。また、現在行政書士が作成することができる書類の種類とは、1万種類以上もあると言われています。
行政書士の新しい仕事内容「特定行政書士」とは?
平成26年(2014年)の法律改正により、行政書士の仕事内容の幅がより広がりました。ただし、この行政書士の新しい仕事内容は、「特定行政書士」という行政書士にしか行うことができない業務になります。特定行政書士とは、行政書士試験に合格後、特定の研修を修了することにより資格を得ることが可能です。特定行政書士になると、通常の行政書士には行うことができない「不服申し立て」の業務を行うことができるようになります。
この不服申し立ては、これまでは弁護士のみにしか行うことができない業務でしたが、現在では特定行政書士も行えるようになりました。不服申し立てとは、許認可等の申請を行い、不許可処分となった場合に、行政庁に対し特定行政書士が顧客の代理人として、この不許可処分を見直すようにと求める業務のことです。また、特定行政書士は、認定される人数が限られているため資格を得ることができれば、他の行政書士との差別化をはかることができ、行政書士としての仕事内容の幅を大きく広げることができます。
行政書士の仕事内容の具体的な種類
行政書士の仕事内容である「書類作成業務」「手続代理・代行業務」「相談業務」の3つは、大きく分けて2つの種類の内容になります。行政書士の仕事内容の1つ目の種類は、「ビジネスに関する相談」です。行政書士の仕事内容は、行政書士の持つ法律知識を頼り、中小企業などからのビジネスに関する相談が寄せられることが多くあります。
おもな相談内容としては、法人の設立手続や運営・支援相談の「法人関連手続」、著作権の登録申請相談などの「知的財産権」、外国人を雇用する際の相談の「外国人雇用」、中小企業経営の支援や知的資産経営導入などの相談の「中小企業支援」、運送業・タクシー営業の許可申請相談の「運輸関連」、建設業や産業廃棄物処理業、飲食店、風俗店などの許認可申請相談の「許認可申請」になります。
このように、いろいろなビジネスをはじめる際には、官公署に対して許認可申請を行うことは必須です。これらのビジネスに関する許認可申請を行うための相談から申請業務までが、行政書士の仕事内容になります。行政書士の仕事内容の2つ目の種類は、「暮らしに役立つ相談」です。国民のもっとも身近な「街の法律家」とも言われている行政書士の仕事内容には、国民の暮らしに関する相談に乗り、必要な書類作成を行うことも含まれます。
おもな相談内容としては、遺言書・遺産分割協議書・相続人の確定調査などに関する相談の「遺言・相続関連」、土地等の貸借契約・金銭の貸借契約などの相談の「契約書関連」、特定商法取引などのクーリングオフ・交通事故の資料・法的問題などについての相談の「民事法務」、自動車の登録・車庫証明等に関する相談の「自動車関連」、日本国籍取得や国際結婚・在留資格などの相談の「国際関連」、所有している土地の売却などの相談の「土地活用」、債権債務・内容証明・公正証書などの相談の「内容証明関連」になります。
このように、行政書士の仕事内容は、「ビジネスに関する相談」と「暮らしに役立つ相談」の2つの種類に分けられます。しかし、行政書士の仕事内容は、書類作成業務だけでも1万種類以上もあるため、こちらにあげた仕事内容や業務は、ほんの一部でしかありません。また、行政書士は多くの仕事内容を持つものの、あまり広範囲に広げすぎてしまっても効率的でないことから、自分にあった分野にのみ特化している行政書士も現在はたくさん存在しています。
行政書士の具体的な仕事内容や業務
行政書士の仕事内容の中で、もっとも多く割合を占めるのは「書類作成業務」「手続代理・代行業務」の2つです。まず、行政書士の仕事内容である書類作成業務は、必要な書類の作成代理人として法的な問題点がないように、契約書等の作成を行います。行政書士が取り扱うおもな書類は、「国や地方公共団体・官公署に提出する書類」「事実証明に関する書類」「権利義務に関する書類」です。
これらの書類作成業務は、行政書士にしか行うことができない「独占業務」というものが多く存在します。行政書士の独占業務に関しては、「行政書士法第1条の2と3」で触れられています。行政書士の独占業務に関する条文を要約すると、「行政書士は、官公署に提出する書類その他の権利義務および事実証明に関する書類作成を業とする。ただし、他の法律で制限されているものに関しては、業務を行うことができない。行政書士が作成できる契約や、その他に関する書類を代理人として作成でき、書類作成に関する相談にも応じることができる。」となります。
このようなことから、行政書士にしかできない仕事内容である独占業務とは、「官公署に提出する書類および事実証明・権利義務に関する書類の作成代理」のことを指します。「官公署」とは、市役所や区役所・町村役場などのことを指し、事実証明の書類とは「契約書・遺言書・内容証明」などになります。また、条文にもあるように、行政書士は「他の法律によって制限されているもの」または「独占されているもの」に関しては、業務を行うことができません。
たとえば、税理士の独占業務である「税務署類の作成」、司法書士によって制限される「登記書類の作成」、社会保険労務士によって制限される「社会保険・労働関係の書類作成」などです。これらのように、他の士業によって制限されているものや、独占業務となっているものに関しては、行政書士が書類作成を行うことはできません。
そして、書類作成業務のあとに行うのが、手続代理・代行業務になります。手続代理・代行業務とは、行政書士が依頼主に代わり、官公署へ作成した書類の提出を行う業務です。行政書士の仕事内容である手続代理・代行業務は、実際には行政書士ではなく、誰にでも行うことができる業務でもあります。しかし、行政書士のように、法律や手続に関する知識がない人が行う場合には、時間や手間を多く要する業務です。
そのため、専門的な知識を必要とする許認可等の申請業務においては、行政書士に依頼することがほとんどであると言って良いでしょう。また、これらの書類を提出する官公署とは、市役所や区役所・町村役場などであるため、平日の限られた時間しか申請業務を受け付けていません。一般的な企業の場合、平日に業務を行っていることが多いため、官公署に出向き申請等の手続をする時間がない場合の方が多いことでしょう。
このようなことから、自分たちで書類作成をする時間や申請手続などを行う時間がないために、専門的な知識を要する書類作成から官公署に提出する申請の手続までを、行政書士に一貫して依頼する企業が多いのです。
行政書士の仕事内容の拡大
行政書士の仕事内容には、書類作成にともなう相談業務も含まれています。そのため、中小企業などは、行政書士に書類作成や申請代理業務だけでなく、コンサルティング業務を依頼することも多くあります。現在の行政書士は、会社の設立や業務の許認可に関する手続だけでなく、知的財産の活用のアドバイスなどを専門で行っている人も増加しているからです。
このように、「自分の得意分野に特化した行政書士」として、仕事を行っている人が現在では増えつつあります。その理由は、行政書士は受験資格がないことから、非常に人気のある国家資格であるため、資格保持者が年々増加しているからです。行政書士の仕事内容や業務が多岐にわたるといえども、同業者が増えすぎてしまえば、その分競争も激しくなります。そのため、今までと同じ行政書士の仕事内容だけでは、存続していけないという状況になっていることから、専門分野に特化した行政書士が今は注目されつつあります。
まとめ
行政書士の仕事内容は、おもに「書類作成業務」「手続代理・代行業務」「相談業務」の3つで、内容ごとに分けると「ビジネスに関する相談」と「暮らしに役立つ相談」の2つになります。また、行政書士の仕事内容である書類作成業務の種類は、1万種類以上もあると言われています。そのため、行政書士の仕事内容は、広範囲かつ多岐にわたると言って良いでしょう。
しかし、現代では行政書士の資格保持者が多くなっていることから、従来の行政書士としての仕事内容だけでは、存続することが難しくなっている状況です。そのため、現在の行政書士は、新たに自分の得意分野に特化し、コンサルティングなども行う行政書士が増えつつあります。このようなことから、今後の行政書士の仕事内容は従来のものだけでなく、専門分野に特化した業務を新たに付け加えるようなものに、変化していくことが予測されます。