FP2級の資格試験には学科試験と実技試験が用意されていますが、実技試験はFP3級と少し変わって種類も多くなります。そんな実技試験のそれぞれの種類の特徴や選び方はご存知ですか?また、難易度や合格率まで知っていますでしょうか。
実際にどれくらい難しいのかがわかっていると、勉強の仕方も変わってくるかと思います。ですので今回は実技試験の特徴からその選び方、そして難易度や実際の合格率を紹介します!
目次
FP2級実技試験の特徴
FP2級の実技試験は一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)で4種類、NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)で1種類の、計5種類が用意されています。そして、実際の試験では、このうちの1つを選んで受験することになります。それぞれの実技試験で内容が異なっており、より細分化され専門的になっています。
日本FP協会の実技試験は、資産設計提案業務の1種類です。実技試験は40問出題され、全て記述式です。100点満点で60点以上正解していれば合格です。
きんざいの実技試験の種類は、個人資産相談業務、中小事業主資産相談業務、生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務の4種類です。こちらの全ての実技試験では、記述式による筆記試験事例形式で5問出題されます。点数は50点満点で30点以上正解していれば合格です。
どちらのテストも試験時間は90分となっています。
では次にそれぞれの試験の特徴を紹介します。
資産設計提案業務(FP協会)
FP協会の資産設計提案業務は、次に紹介するきんざいの個人資産相談業務と内容が少し似ている試験です。
試験範囲は、資産運用・年金・保険・不動産・相続・承継となっており、学科試験の範囲がすべて含まれています。きんざいと内容は似ていますが、機関が違いますので出題傾向も多少異なります。
受験者は、FP協会の資産設計提案業務ときんざいの個人資産相談業務、2つの試験を合わせて、およそ77%が選択しています。多くの受験者がいるということから、このFP協会の資産設計提案業務は市販の試験対策テキストや問題集、過去問サイトなどがとても充実しています。
大半の日本人の生活に直結した内容が出題されますので、ご自身の家計改善のために受験する場合に、最も適しています。また、問題集なども豊富ですので他の実技試験を選択すべき理由がない場合は、この実技試験を選択することがおすすめです。
個人資産相談業務(きんざい)
きんざいの個人資産相談業務はFP協会の資産設計提案業務と内容が少し似ています。
試験範囲には、金融資産・不動産・相続・承継・ライフプランニング・年金などが含まれています。こちらも、大半の日本人の生活に直結した内容が出題されます。
FP協会の資産設計提案業務と少し似てはいますが、きんざいの個人資産相談業務では、出題されない分野もありますのでその辺りも考慮して決めてみてくださいね。
中小事業主資産相談業務 (きんざい)
きんざいの中小事業主資産相談業務は、中小事業主へのファイナンシャル・プランに特化した実技試験です。つまり、中小企業の経営者や、資産家をお客様に想定した試験内容となっています。企業年金、法人税申告書、非上場株価計算など、他の実技試験では出題されない分野が多くなっています。
この実技試験の受験者は少なく、全受験者数のおよそ4%と言われています。そのため、対応したテキストや問題集が少なく、対策がしにくい試験となっています。
生保顧客資産相談業務(きんざい)
きんざいの生保顧客資産相談業務は、次に紹介する損保顧客資産相談業務と保険の種類が異なる以外は、ほぼ同じ傾向の試験です。
出題範囲は年金や相続贈与、タックスなどから出題されます。ただ、主となるのは生命保険と医療保険ですので、保険の配点だけで40%を占めます。出題内容は保険に関する経理についての問題です。この試験では、損害保険に関する出題はありません。
いずれも、保険に関する経理処理について出題されるため、会計知識があった方が有利になります。また、税に関する問題が比率としてFP協会の資産設計提案業務ときんざいの個人資産相談業務より高めです。
損保顧客資産相談業務 (きんざい)
きんざいの損保顧客資産相談業務は、扱うことが損保になるだけで、生保顧客資産相談業務とほぼ同じです。
試験範囲は自動車保険・火災保険・地震保険・損害保険となっており、生命保険や医療保険は含まれません。
FP2級実技試験の選び方
実技試験の種類を上記では紹介してきましたが、どの試験をどう選ぶのがいいのでしょうか?
初心者の方や、保険が得意な方以外はFP協会の資産設計提案業務をおすすめします。その理由としては、各科目から基本的な知識で解ける問題が出題されるため、比較的やさしい。そして出題パターンが一定で、過去問を勉強すれば確実に合格できる可能性が高いという点です。また、FP協会は毎回受講者数も多いことから過去問や対策テキストなどがかず多く出版されています。ですので、他の実技試験よりも勉強や対策がしやすくなっています。
FP協会の試験は特定分野の深い知識が必要なく、FPの基本を幅広くしっかり勉強したい方に向いています。ただし、6科目全てから出題されますので、全体的にしっかり基本知識を身につけることが大事になってきます。
FP協会の資産設計提案業務と同じくらい受講者数が多いのがきんざいの個人資産相談業務です。出題範囲が金融資産・不動産・相続・承継・ライフプランニング・年金など、大半の日本人の生活に直結した内容が出題されます。ですので、その他の試験を受ける特別な理由がなければ、FP協会の資産設計提案業務かこちらの個人資産相談業務を選ぶことをおすすめします。
その他の中小事業主資産相談業務、生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務から選ぶ方の多くは、すでにその業務の仕事をしている人です。保険会社で働いていて、会社からFP2級を取得されるように言われた人や、会社の決まりで受ける人が生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務を選んでいます。ただ、損保顧客資産相談業務は1年に1度しか試験が実施されないため、受講者数は少なくなっています。
また、中小企業向けのコンサル等をしている人は中小事業主資産相談業務を選択していますね。それに加え、FP1級取得を目標としている方は中小事業主資産相談業務を選ぶといいかと思います。FP1級の試験が富裕層に向けたコンサルティングを前提とするものであるため、もし選べば1級の対策も兼ねた勉強ができます。
最終的に実技試験の種類を決めるときは、「なぜFP2級を取得するのか」ということを再度考えてみましょう。するとどの試験があなたにあっているかわかってくると思います。その他にも合格率や難易度も考慮して決めるといいかもしれません。
FP2級実技試験の難易度
FP2級は他の国家資格と比べると比較的難易度が低い資格となっています。根気強く勉強を継続してできる人であれば、基本的に合格できるくらいの難易度です。
FP協会ときんざいが主催の2級FP資格試験の学科・実技試験は両方とも、高いときには合格率が40%を超える時もあります。目安として他の国家資格の合格率を紹介しますと、行政書士などの合格率は、毎回10%にも届きません。また、比較的合格しやすいといわれる宅地建物取引士の試験も、合格率は毎回15%前後です。ここから見てもFP2級は比較的取得しやすい資格試験だと言えます。
理由としては、出題範囲がFP3級と同じな部分や試験実施が年3回でチャンスが多く過去問等も豊富なこと、そして過去問からの出題量が多くひっかけ問題が少ないという点です。以上の理由から、FP2級は難易度の低い資格試験となっています。
また、FP2級は偏差値で表すと47ほどになります。目安としては偏差値40だと簡単な資格で、偏差値が60だと難しい資格になります。ここから見てもとても難しい試験ではなさそうです。根気強く勉強を継続していれば合格できる資格といえます。
では次に学科試験と実技試験それぞれの試験の合格率を紹介します。機関ごとにも紹介しますのでぜひ参考にしてみてくださいね!
FP2級実技試験の合格率
では実際の合格率についてですが、合格率は以下のようになっています。
令和2年度(2020年)1月FP2級試験合格発表結果
FP協会 | きんざい | |
申込者数 | 25,508 | 43,034 |
受験者数 | 18,980 | 32,494 |
受験率 | 74.4% | 75.5% |
合格者数 | 11,884 | 12,495 |
合格率 | 62.61% | 38.45% |
以上の結果になります。次に直近2年分の合格率の推移を実技試験別に紹介します。
FP協会 | きんざい(個人) | 中小 | 生保 | 損保 | |
2020年1月 | 62.61% | 33.13% | 55.82% | 45.88% | - |
2019年9月 | 62.63% | 31.72% | 55.49% | 50.80% | 67.22% |
2019年5月 | 62.65% | 25.77% | - | 54.73% | - |
2019年1月 | 50.31% | 36.93% | 33.98% | 40.06% | 50.00% |
2018年9月 | 50.52% | 20.47% | 41.97% | 37.42% | 54.61% |
2018年5月 | 51.68% | 23.87% | - | 45.47% | - |
2018年1月 | 57.45% | 31.72% | 47.56% | 50.20% | - |
以上が直近2年分の推移となっています。FP協会の実技試験は50~60%ほどです。きんざいの実技(個人)は20~40%、中小は30~50%、生保は40~50%、損保は50~60%ほどです。 きんざいの試験については、法人申込の受検者が多いことや、実技試験での専門性の高い出題により、合格率がやや低くなっているものと考えられます。
FPの資格試験をきんざいで受験するか、それともFP協会で受験するか皆さんにとっては重大な関心ごとであると思います。今回は上記のように合格率の推移についてお伝えしましたが、どちらを受験するかは合格率だけでなく、試験の出題傾向なども考慮し、総合的に判断をして下さい。
まとめ
今回は実技試験の特徴からその選び方、そして難易度や実際の合格率を紹介してきました。実際に実技試験のイメージができましたでしょうか。あなたの目的などに合わせて、実技試験の種類を選んでみてくださいね!