行政書士試験合格は難関とされますが、独学で合格する人も少なくありません。
そうした人はどんなテキストを使って、どんな勉強をして試験に挑んだのでしょうか?
「資格は欲しいけど、スクールに何万円もかける余裕はない」
「独学で行政書士資格を取って達成感を味わいたい!」
そんな人にとって、独学での行政書士受験はチャレンジする価値のあることだと思います。
ここでは、独学で行政書士試験を受験しようか検討している人に向けて、独学のメリットとデメリットや、独学に使うテキスト選びのコツ、独学におすすめなテキストや勉強法などをご紹介します。
目次
テキストでコツコツと! 行政書士を独学で目指すメリット
行政書士試験に向けてどのように学習を進めていくかは、大きく「資格スクールや予備校に通って勉強する」「通信講座で勉強する」「独学で勉強する」の3つの選択肢があります。スクールや通信講座と比べて、独学にはどのようなメリットとデメリットがあるのかを知っておきましょう。
独学のメリット
コストを抑えて資格取得できる
独学の一番大きなメリットは、行政書士の資格を取得するためにかかる費用を最小限に抑えられることでしょう。一通りの試験対策をスクールなどで学ぶ場合、通学なら20万円前後、通信講座でも6万円前後の受講費がかかるのが一般的です。一方、独学の場合にかかる費用は、テキストや問題集などの購入費用と受験手数料ぐらいです。教材となる書籍はは1,000円~2,000円程度で買えるものが多いので、複数のテキストを購入したとしても通信講座よりはるかに低コストで学習できます。
都合に合わせて自分のペースで勉強できる
行政書士試験には受験資格に年齢や学歴などの制限がないため、老若男女幅広い層が受験します。仕事をしながら資格取得を目指す人も多いでしょう。仕事や家事などの忙しさに応じて、自分なりのリズムやペースで無理なく勉強を進められる点は独学のメリットです。
学習スキルと自信が身につく
難関とされる行政書士試験に独学で合格するには、自分なりに戦略を立てて学習を進めていくスキルが必要になります。合格する頃には効率よく学習するスキルや、学習能力に対する大きな自信が身につくはずです。
独学のデメリット
疑問点の解決に時間と労力がかかる
勉強を進めていく中では、どうしてもテキストの説明を読んだだけでは理解できないところなどが出てくるものです。スクールや通信講座なら、疑問点を講師に質問して教えてもらうことができますが、独学の場合は自分で調べて疑問を解決する必要があります。この時間や労力は無駄ではないですが、本試験までの限りある時間を考えると効率の悪さが気になるところです。
孤独や不安を感じやすい
スクールなどでは、同じ試験に向けて頑張っている人の存在を身近に感じやすく、「みんなもがんばっているから負けられない」「ここを難しいと感じているのは自分だけではない」といった励みや安心感を得られやすいものです。しかし独学の場合は、不安やプレッシャーに自分で対処していかなければいけません。こうした心理的な負担が挫折の原因になってしまうこともあります。
学習のペースやスタイルを確立しづらい
スクールや通信講座の場合、講義の日程や学習進行スケジュールの目安があらかじめ決められているため、自然と学習のペースが確立します。しかし独学の場合は、本試験までの長期的な学習計画や、こまごまとした進行ペースを自分で組み立てコントロールしながら学習を進めていく必要があります。自分なりのスタイルや進行ペースで学習できるのは独学のメリットでもありますが、スケジューリングなどが苦手な人にとってはデメリットだとも言えるでしょう。
独学に適した行政書士テキストの選び方
スクールなどの場合、テキストや問題集は講座に合わせて用意されていて、そのテキストに沿った講義などで学習が進行していきます。
一方、独学の場合、まずは自分に合うテキストを選ぶところから学習は始まっています。独学では講義などはないので、基本的にテキストと問題集で学習を進めることになります。
つまり、独学で行政書士試験合格を目指す人にとって、テキスト選びは最初の大きな課題なのです。
独学に適したテキストとはどのようなものなのか、テキスト選びの際に注目すべきチェックポイントをご紹介します。
自分のレベルに合っているかどうか
独学で行政書士合格を目指す人の中にも、法律をまったく勉強したことのない人、多少の知識がある人、一通りは勉強したことがある人など、さまざまなレベルの人がいます。多くの市販テキストは基本的に初学者でも勉強できるように作られていますが、想定しているレベルは「まったく知識のない人」だったり「少しは予備知識のある人」だったりさまざまです。少し読んでみて「ちょっと難しいな」と感じたり、逆に「ちょっと初心者向けすぎるな」と感じた場合は、他のテキストも読んで比較してみましょう。想定されている読者がおおむね自分のレベルと合っていると感じるテキストを選ぶことが大切です。
視覚的に情報を整理しやすい要素があるか
スクールや通信講座で講義を受ける人は、テキストのほかに板書などの資格情報で情報を整理しながら学習を進めることができます。一方、独学の場合はこうした視覚的な要素もテキストに求める必要があります。
文章で理解したことを、図式化して整理することで理解が深まったり、記憶しやすくなったりします。独学に使用するテキストには、文章だけでなく図表やイラストなど、視覚的な要素も豊富に含まれたものを選ぶのがおすすめです。
独学におすすめな行政書士学習テキスト
独学で行政書士試験合格を目指すにあたって、おすすめのテキストをご紹介します。
先にお伝えした選び方のポイントと合わせて、実際に書店などで手に取って確かめてみることをおすすめします。
元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術(改訂第3版)
元法制局衆議院法制局参事である吉田利宏氏による法律入門書です。法律を作っていた人だからこその、初学者の視点に立ったわかりやすさに定評があります。
この本は行政書士試験のためのテキストではなく法律学習の入門書ですが、行政書士試験に向けて初めて法律を学ぶ人は読んでおくことをおすすめします。
初学者が法律を学ぶにあたって壁となりやすい、法律用語や条文の読み方、勉強のしかたなどといった「そもそも」の部分をわかりやすく解説してくれています。まずは法律を読み解くコツを身につけたいという人は必読です。
うかる!行政書士総合テキスト
「うかる!」行政書士シリーズは、法律系の資格指導スクールとして有名な「伊藤塾」による行政書士試験対策シリーズです。
総合テキストはフルカラーでわかりやすく、使いやすさにも定評があります。取り外して使えるハンディ六法が付いていて、出題範囲の条文などがカバーされている点も人気です。同シリーズからはテキストのほかに「入門ゼミ」「問題集」が発売されています。
みんなが欲しかった!行政書士の教科書
「みんなが欲しかった!」行政書士シリーズはTAC出版から発売されているシリーズです。数ある行政書士試験対策テキストの中でも、特に初学者にわかりやすいテキストとして人気が高いです。
科目ごと4冊+六法1冊の5冊に分けて使えるセパレートタイプの本で使いやすい点も評価が高いです。解説は図表とイラストが中心なので視覚的に理解しやすくなっています。
合格革命 行政書士 基本テキスト
「合格革命」行政書士シリーズは、Wセミナーの早稲田経営出版から発売されているシリーズです。こちらも独学者から人気の高いシリーズとなっています。
基本テキストはフルカラーで図表を多用したページ作りです。情報がすっきりと整理されているので見やすく、スタイリッシュな印象のページ構成になっています。
側注に「過去問チェック」「重要判例」「よくある質問」「引っかけ注意! 」「受験テクニック」などといった情報が掲載されていて、全体的に情報量の多い充実したテキストです。
行政書士試験対策をテキストで独学するための勉強法
テキストと問題集を使って、独学で行政書士試験合格するためには、学習の進め方にもコツがあります。以下のようなポイントを押さえましょう。
まずは全体を把握して戦略を立てる
スクールなどでは、配点の高い科目や頻出問題で確実に得点を狙えるようにカリキュラムが組まれています。独学の場合、こうした戦略も自分で組み立てる必要があります。まずは行政書士試験の傾向などを理解し、自分の得意・不得意などを考え合わせて、本試験までに何を重点的に学習し、何をサラッと済ませるかなどの戦略と計画を立てましょう。
PDCAを回しながら学習を進める
学習を進めてみると、最初に立てた戦略や計画では足りない部分などが見えてくることもあります。このような場合は、当初の計画や戦略にこだわるのではなく柔軟に軌道修正していくことも大切です。テキストと問題集で学習を進めつつ、一定期間ごと(章ごと、科目ごとや、週ごと、月ごとなど)PDCAを回しながら学習を進めていくことを意識してください。
まとめ
独学で行政書士試験合格に向けて独学で学習するメリットとデメリット、独学に使うテキスト選びのコツ、独学におすすめなテキストや勉強法などをご紹介しました。
独学での合格は簡単ではありませんが、戦略を立てて学習すれば決して不可能ではありません。独学での受験を検討している方は、参考にしてみてください。