行政書士の資格を取ろうと考えたとき、スクールに通うべきか独学でやってみるのか迷う方は多いと思います。
行政書士試験は例年の合格率が10%前後の難関です。実績のあるスクールで学ぶのが合格への王道のように思える一方で、
「安くはない費用がかかそうだし……」
「通うとなると時間のやりくりが難しそう……」
など、いざ通学するとなるとハードルの高さも感じてしまいますよね。
ここでは、独学と比較した場合のスクールのメリットやデメリットと、行政書士のスクールの種類や行政書士試験対策で人気のスクール、スクールに通う場合に一般的にかかる費用の目安などをご紹介します。スクールに通うべきかどうか迷っている方は参考にしてみてください。
目次
行政書士試験に合格するにはスクールで勉強するのが効果的?
法律の専門家として人気の国家資格、行政書士。その資格を得るための国家試験は年に1回実施され、毎年5万人以上が挑戦しています。受検資格に年齢や学歴などの制限がないため、下は10代から上は60代以上と老若男女さまざまな人が受験する人気の資格です。
しかし人気の高さに対し、合格率は例年10%前後という難関となっています。合格率が10%前後ということは、逆に言えば9割前後の人が不合格になっているわけです。
行政書士試験の難しさは、試験科目の多さ、つまり学習しなければならない範囲の広さが大きな要因であると考えられます。
試験では法令科目(憲法、行政法、民放、商法、基礎法学)に加えて一般知識科目(行政書士の業務に関連する一般知識等)から問題が出題されます。択一式の問題だけではなく、40字程度の記述式問題もあります。
全科目の合計点数60%以上で合格なのですが、各科目にも合格基準があり、1科目でも基準を下回ると不合格という厳しさです。合格するためには、十分な対策が必須だと言えるでしょう。
行政書士試験対策は独学とスクールどちらがいい?
難関と呼ばれる行政書士試験ですが、勉強方法について調べてみると「独学で合格できた!」「行政書士は独学でも十分狙える資格だと思う」という声も少なくないことが分かります。
一方で「スクールに通って良かった!」「〇〇先生のおかげで合格できた!」という声も多いです。
実際のところ独学が良いかスクールが良いかは、人によって異なります。スクールのメリットとデメリットを、独学と比較しつつ見ていきましょう。
スクールのメリット
行政書士試験対策をスクールに通って学ぶことで期待できるメリットとして、以下のようなものが挙げられます。
カリキュラムや教材が合格に最適化されている
多くの資格スクールは、資格受験指導を長い年月経験してきています。データ分析などによる、生徒を合格へ導くノウハウが構築されているのです。合格のためのノウハウに裏打ちされたカリキュラムや教材で学習できるのは、スクールに通う大きなメリットです。
講師による講義を受けて学べる
スクールでの学習は、講師による講義の受講をメインに進めていきます。独学でテキストを読んでいるだけでは理解しづらい内容も、講師の解説を聞くことで理解しやすくなります。スクールによっては名物講師と呼ばれるような有名講師の授業を受けられることもあります。
疑問点をすぐに質問して解決できる
独学では、理解できないところや疑問があったとき、どうにか自分で調べて解決する必要があります。スクールの場合は講師に質問できるので、疑問を残さずに学習を進めることができます。
学習のペースを作って継続しやすい
講義の曜日や時間が決まっているので、通学することにより自然と学習のペースが確立し、学習を定期的に続けていきやすい点もスクールに通うメリットです。独学の場合は、忙しいときなどに学習を先延ばしにして、前回から日が空いてしまうといったことも起こりやすいです。
モチベーションを維持しやすい
同じ資格を目指して勉強している人たちと一緒に講義を受けられるのもスクールの魅力です。ほかの受講生を見て気を引き締めたり、モチベーションを維持したりすることに役立ちます。
また、多額の受講料を支払っているので「お金を無駄にしないためにも合格しなくては!」という意識もあって、モチベーションを保ちやすいです。
スクールのデメリット
スクールのデメリットとしては、以下のようなものがあるでしょう。
高額な受講料がかかる
スクールに通学して行政書士試験対策を一通り学ぶコースの場合、一般的に20万円程度の受講費がかかります。この金銭的負担の大きさはスクールのデメリットでしょう。独学で行政書士試験のための勉強をする場合、かかる費用はテキスト・問題集と受験手数料など最小限で済ませることが可能です。
校舎が近くにないことも
行政書士スクールの校舎は都市部に多いです。全国展開している大手スクールもありますが、それでも地方在住者の場合は「隣の市にしかない」など、通学しやすい場所に校舎がないというケースも多いでしょう。
講義の曜日や時間が決まっている
スクールに通学して勉強する場合、決まった曜日や時間に講義を受ける必要があります。これは学習ペースを作りやすいという利点がある一方で、仕事などで忙しい人にとっては都合をつけるのが難しいこともあるでしょう。
講師やほかの受講生などが自分に合わないことも
「先生の話し方や講義の進め方が思ったより自分に合わなかった」「まわりの受講者にやる気のない人が多くてがっかりした」などというケースもあります。スクールでは講師やほかの受講生と一緒に学習を進めることになるため、合わないタイプの人がいる可能性がある点は考慮しておく必要があります。
行政書士スクールにはどんなタイプがある?
行政書士試験の対策学習ができるスクールとして、ここまで主に通学スタイルのスクールを取り上げてきましたが、実際には通学することなくWebやDVDによる通信講座などで学習できるスクールもあります。
また、通学スタイルの講座を開いている大手スクールの多くは、同じ教材や講義で学べる通信コースも開講しています。
ここでは、通学スタイルのスクールと通信講座スタイルのスクール、それぞれの特徴をご紹介します。
通学スタイルのスクール
教室に通学して講義を受講して学習するタイプのスクールです。1回の講義は2時間半程度となっているスクールが多く、科目ごとに講義の日程が決められています。平日昼・平日夜・土日など、ある程度自分の生活に合わせた日程から選べることが多いです。
通学ではリアルタイムで講義を受講するのが基本ですが、決まった日程に通うことが難しい人のために、校舎にあるビデオブースなどで講義映像を視聴して受講できるシステムなどを取り入れているスクールもあります。
また、大手スクールの提携校などでは、教室に通学してDVDやWebの講義映像を視聴するスタイルの講義などもあります。
通信講座スタイルのスクール
通学と独学の中間のような位置づけにあるのが通信講座スタイルのスクールです。基本的にテキストを読んだり問題集を解いたりして、自分のペースで学習を進行します。
ただし、独学と違って、映像による講義やeラーニングシステムなどを利用できる、疑問点をメールなどで質問できる、添削指導を受けられるなどといった講師からのサポートが得られるのが特徴です。
通学スタイルのスクールの多くは通信講座も開いています。また、通信講座に特化した行政書士試験対策スクールもいろいろなものがあります。
行政書士試験対策のスクールにかかる費用はどのぐらい?
行政書士試験対策にスクールで勉強する場合、どのぐらいの費用がかかるのでしょうか。行政書士講座を開講している主なスクールと標準的なコースの受講料をご紹介します。
【通学スタイルのスクール】
TAC
行政書士ベーシック本科生コース 170,000円
資格の大原
行政書士合格コース 199,800円
LEC東京リーガルマインド
行政書士パーフェクトコース 227,130円~
伊藤塾
行政書士合格講座 本科生 248,000円~
東京法経学院
行政書士 本科総合コース 194,700円
【通信講座スタイルのスクール】
スタディング
行政書士総合コース 59,800円
クレアール
行政書士カレッジコース 169,000円→50,700円(割引価格)
フォーサイト
行政書士バリューセット3 142,800円→89,800円(キャンペーン価格)
各スクールの標準的な行政書士試験対策コースの受講料を並べてみると、通学スタイルのスクールでは17万円~25万円となっており、20万円前後が平均的な相場と言えそうです。一方通信講座スタイルのスクールの場合は5万円~9万円となり、6万円前後が平均的な受講料の相場と言えます。通学、通信講座ともに各スクールには独自の割引制度やキャンペーン期間などがあるため、こうした割引を上手に利用することで少しお得に受講できるかもしれません。
また、行政書士試験対策講座には、教育訓練給付の指定講座となっているものも多いです。受講のための費用を少しでも抑えたい方は、制度の利用を検討してみることもおすすめです。
まとめ
独学と比較した場合のスクールのメリットやデメリットと、行政書士のスクールの種類や行政書士試験対策で人気のスクール、スクールに通う場合にかかる費用の目安などをご紹介しました。
費用はかかりますが、カリキュラムや学習サポート面、モチベーションの維持などスクールに通学することで得られるメリットは大きいです。通学のメリットと費用のバランスを考えて、納得がいくのであれば通学は合格に向けた良い選択であると言えるでしょう。