金融財政事情研究会は、FP技能検定試験を実施している日本における一般社団法人団体です。金融財政事情研究会は、FP試験以外にも、試験や資格などのさまざまな活動を行っています。金融財政事情研究会についてや、FP試験以外の活動を詳しく解説します。
金融財政事情研究会のFP試験とは?
金融財政事情研究会とは、通称「金財(きんざい)」と呼ばれる団体であり、日本の一般社団法人の団体です。金融財政事情研究会が実施するものが、FP技能検定(ファイナンシャル・プランニング技能検定試験)であり、この試験に合格することによりFP資格(ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得することができます。FP技能検定は、一般社団法人金融財政事情研究会および特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)により、実施されている国家試験です。
金融財政事情研究会および日本FP協会が認めたFP技能士は、国が認めたFPのエキスパートであり、顧客の資産に応じた貯蓄・投資等の相談に応じて資産についてのデータ収集や分析をし、人生設計や事業設計に合わせたファイナンシャル・プランニングやアドバイスを行います。金融財政事情研究会は、日本においてナンバーワンのFP教育機関として、FPの養成から実践フォローまでを支援する団体です。
金融財政事情研究会は、金融機関の経営に関する情報の収集から発信、調査研究と経済金融の知識普及・啓蒙を目的として、1950年(昭和25年)の6月に大蔵省所轄の社団法人として設立されました。金融財政事情研究会は、創立以来「公平・中立」をモットーに、定期刊行物や書籍、セミナーや研究会、FP検定試験などを幅広く展開しています。金融財政事情研究会のおもな刊行物は、「週刊 金融財政事情」「金融法務事情」「月刊 消費者信用」になります。
金融財政事情研究会のFP以外の試験や資格
金融財政事情研究会は、FP技能検定試験以外にも試験や資格を実施しています。金融財政事情研究会のFP以外のおもな試験や検定は、「金融窓口サービス技能検定」「金融業務能力検定」などになります。
金融財政事情研究会の金融窓口サービス技能検定とは、金融機関における窓口業務等に必要な程度の検定を実施する試験です。
金融財政事情研究会の金融窓口サービス技能検定は、FP技能検定試験と同様に、1級、2級、3級ともに学科試験と実技試験を行い、両方に合格した場合のみ合格証書が発行されます。また、金融窓口サービス技能検定は、3級のみ実技試験は「テラー業務」と「金融商品コンサルティング業務」の2つの科目に分けて実施します。金融財政事情研究会の金融窓口サービス技能検定は、FP技能検定試験と同じく、学科試験もしくは実技試験のどちらか一方の合格者には、「一部合格証書」が発行され、試験免除制度を受けることが可能です。
金融財政事情研究会の金融業務能力検定は、1975年(昭和50年)に「実務初級」「預金初級」「融資中級」の3つの種目から始まり、現在では33種目にまで拡大されてきました。その理由は、現代ではさまざまな業務を取り扱う必要があることから、金融機関においても職員に求められる役割や知識が多様化かつ複雑化しているからです。そのため、金融業務能力検定は、単に金融業務の知識の有無を問うだけでなく、実務遂行能力も問う試験内容になっています。
金融財政事情研究会の金融業務能力検定は、大きく分けて5種類の等級に分類されます。等級Ⅰが「DCプランナー1級」、等級Ⅱが「金融業務2級」「DCプランナー2級」、等級Ⅲが「金融業務3級」、等級Ⅳが「金融業務4級」、等級設定なしが「コンプライアンス・オフィサー」「個人情報保護オフィサー」「マイナンバー保護オフィサー」「AML/CFTスタンダードコース」「AML/CFTスタンダード」になります。
金融財政事情研究会のFP技能士センターとは?
金融財政事情研究会では、FP技能士の倫理観や技能の維持のために、FP技能士センター(ファイナンシャル・プランニング技能士センター)を創設し、FP技能士のバックアップを行っています。金融財政事情研究会のFP技能士センターは、代表委員のもと、銀行、保険、金融各業界のプライベート・バンキングをはじめとする資産相談業務にかかわる実務家などからなる、企画運営委員により運営されています。
金融財政事情研究会のFP技能士センターは、4種類の種別会員制になります。金融財政事情研究会のFP技能検定試験の合格者・FP技能士であれば、誰でもFP技能士センターに会員登録することが可能です。金融財政事情研究会のFP技能士センター会員は、「正会員」「準会員A」「準会員B」「準会員C」の4つを自由に選択することができます。FP技能士センター会員登録は、FP技能士センターが定める会員規定や倫理規程等を遵守することが求められます。
金融財政事情研究会のFP技能士センター会員のそれぞれの年会費は、正会員が10,560円、準会員Aが10,560円、準会員Bが7,920円、準会員Cが3,960円になります。FP技能士センター会員になると、会員証やガイドブック、FP技能士手帳、月刊「KINZAIファイナンシャル・プラン」などが発送されます。他にも、FP技能士センター会員登録をすることにより、会員専用のwebサイトを使用することや、金融財政事情研究会が開催する各種セミナーに会員割引価格で参加ができるなど、さまざまなサービスを受けることができます。
金融財政事情研究会のFP以外の活動
金融財政事情研究会は、FP以外にもさまざまな活動を行っています。金融財政事情研究会のFP以外に行っているおもな活動は、「消費者信用研究会」「債権管理フォーラム」「金融人事問題研究会」「融資問題研究会」「金融コンプライアンス研究会」などになります。金融財政事情研究会の消費者研究会とは、1983年4月に発足した会員制の勉強会です。消費者信用産業をめぐる行政の動きや市場動向、各社の事業戦略などの最新のトピックスをテーマに定期的に年10回ほどの講演会を開催しています。
金融財政事情研究会の債権管理フォーラムは、1987年以来、金融機関・商社等を対象とした会員組織として、毎月1回(8月・12月をのぞく)年10回の月例研究会の開催をおもな活動としています。債権管理フォーラムは、事業を超えた多様な金融機関が、債権管理フォーラムを通じて事例報告や情報交換を行い、現在直面している管理回収や与信審査上の課題などの解決を目的としています。
金融財政事情研究会の金融人事問題研究会は、1973年以来、金融機関の人事セクションの担当者を対象とした会員組織として、研究会やセミナー等の開催、情報や資料の提供、寄せられた相談への対応などを行っています。金融人事問題研究会を通じて、事例や情報の交換を行い、現在直面する人事上の課題や問題の解決を目標としています。また、金融人事問題研究会は、専門家やコンサルタントなどによる適切な対応により、日常の人事や労務問題を解決するとともに、人事体型の確率や人材マネジメントの基盤作成や確率等にも役立っています。
金融財政事情研究会の融資問題研究会は、1980年に設立され、全国の大手行、地銀、協同組織金融機関など約300におよぶ金融機関が会員となってる研究会です。融資問題研究会は、おもに融資や審査分野のテーマにて定例研究会を開催するほか、調査研究や会員機関への情報や資料の提供、寄せられた相談などに対応しています。
金融財政事情研究会の金融コンプライアンス研究会は、金融機関のコンプライアンス関連部署の方を対象として、「先進事例をテーマとしたレクチャー」と「講師等を囲んだセッション」を中心に会員制研究会として2011年から開催をしています。金融コンプライアンス研究会では、金融機関におけるコンプライアンスの体制の整備や運用を軸に、実効性の向上策やそのときどきの重要課題への対応、コンプライアンス違反事例などの再発防止策の研究など、幅広い視点のテーマを取り扱っています。
他にも、金融財政事情研究会ではFP以外の活動として、金融関連の書籍出版や金融に関する各種セミナーなどを行っています。また、金融財政事情研究会は、「株式会社きんざい」に金融財政事情研究会の商品企画や制作、販売にかかわる委託業務を依頼しています。そのため、一般社団法人金融財政事情研究会の発行する書籍や定期刊行誌は、株式会社きんざいが販売をしています。
まとめ
金融財政事情研究会とは、通称「金財(きんざい)」と呼ばれる団体で、おもにFP試験(ファイナンシャル・プランニング技能検定試験)が一般的に認知されています。金融財政事情研究会は、FP技能検定試験の実施からFP技能士の認定・登録、バックアップやフォローなど、日本ナンバーワンのFP養成機関としてさまざまな支援を行っています。そのため、金融財政事情研究会はFP技能士のために、会員制の「FP技能士センター」を創立し、最新のFP情報や学習の機会を提供しています。
金融財政事情研究会はFPだけでなく、他にもさまざまな金融に関する活動を行っています。金融財政事情研究会がFP以外に行っている活動で代表的なものは、「消費者信用研究会」「債権管理フォーラム」「金融人事問題研究会」「融資問題研究会」「金融コンプライアンス研究会」などになります。このように、金融財政事情研究会は、FP技能士の育成や支援・フォロー以外にも、金融業界においてさまざまな分野に貢献している団体であると言えるでしょう。