FP3級の実技試験とは、どんな試験なのでしょうか。FP3級の実技試験の種類や実技試験の対策を詳しく解説します。
FP3級の実技試験とは?
FP3級とは、「ファイナンシャル・プランニング技能士3級」の資格試験に合格し、資格取得することができた人のみが名のれる肩書です。FP3級の試験には、「学科試験」と「実技試験」の2種類の試験があります。FP3級の学科試験とは、その名前のイメージの通り、筆記テストによる試験です。そのため、実技試験と聞くと、その名前から筆記ではなく、何らかの実技による試験であると思う人も多いのではないでしょうか?
しかし、FP3級の実技試験とは、「実技」」という名前はついているものの、学科試験と同様に筆記のみの試験になります。なぜ、筆記試験だけであるのにも関わらず、実技試験という名前であるかというと、「学科試験の応用版かつ、実際にFPとして実務を行う際に必要な知識を審査する試験」であるからです。したがって、FP3級の学科試験が「基礎編」で、FP3級の実技試験が「応用編」でありと考えてよいでしょう。
FP3級の実技試験は、より実務に近い実践的な問題が多く出題されます。しかし、学科試験よりもより実務に近い問題であるとはいえ、出題範囲はFP3級の学科試験と同様です。そのため、学科試験の基礎的な内容をきちんと理解していれば、問題なく解ける問題ばかりなので不安になる必要はありません。このようなことから、FP3級の実技試験とは、学科試験の応用力が問われる試験内容になっています。
また、FP3級は、学科試験・実技試験ともにマークシート方式であるため、比較的難易度が低い資格試験です。その証拠に、FP3級は全体を通して合格率がかなり高く、学科試験の平均合格率は70%〜80%、実技試験にいたっては80%〜90%と、いずれも平均合格率が高い傾向にあります。このように、FP3級は学科試験よりも、実技試験の方が合格率が高くなっていることから、学科試験の勉強が十分にできていれば、実技試験も合格するための実力が備わっていると言えるでしょう。
FP3級は学科試験・実技試験ともに高い合格率であることから、国家資格の中でも難易度が低く、取得しやすい資格であると言われています。
FP3級の実技試験の種類とは?
FP3級の実技試験とは、実施団体により3つの種類に分けられます。FP3級とは、厚生労働大臣が指定機関とする特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)と一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)の2つの団体が実施している試験で、日本FP協会ときんざいとで実技試験の内容が異なります。FP3級の学科試験においては、どちらの団体も試験内容は同じものです。
FP3級の実技試験とは、日本FP協会の場合には1種類のみで「資産設計提案業務」、きんざいの場合には2種類となり、「個人資産相談業務」と「保険顧客資産相談業務」があります。それぞれの科目を受験する割合は、資産設計提案業務が36%、個人資産相談業務が34%、保険顧客資産相談業務が30%となっています。このように、FP3級の実技試験とは、日本FP協会の資産設計提案業務と、きんざいの個人資産相談業務が同じくらいの人が受験するのに対し、きんざいの保険顧客資産相談業務のみが、やや受験数が低い傾向です。
その理由は、日本FP協会の資産設計提案業務ときんざいの個人資産相談業務の2つは、一般的な生活に直結するお金についての内容が出題されますが、きんざいの保険顧客資産相談業務においては、「保険」に特化した試験内容になっているからです。きんざいの保険顧客資産相談業務は、保険に興味がある人や、すでに保険の仕事に就いている人、今後保険に関する職種に就きたいと思っている人であれば、役立つ知識が得られますが、それ以外の人には、あまり必要でない知識も多く含まれています。
このような理由により、FP3級の実技試験とは、きんざいの保険顧客資産相談業務のみ受験者がやや少ない傾向となっています。そのため、一般的な人であれば、FP3級の実技試験は、日本FP協会の資産設計提案業務もしくは、きんざいの個人資産相談業務を選ぶようにすると良いでしょう。
FP3級の実技試験の違いとは?
FP3級の実技試験の違いとは、まずそれぞれに試験の出題範囲が異なります。日本FP協会のFP3級の実技試験である資産設計提案業務の場合には、「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理」「金融資産運用」「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業継承設」の6つの分野が出題範囲となっています。きんざいのFP3級の実技試験である個人資産相談業務の場合には、「ライフプランニングと資金計画」「金融資産運用」「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業継承」の5つの分野が出題範囲とされています。
そのため、きんざいの個人資産相談業務を選んだ場合には、「リスク管理」の分野を学習する必要はありません。きんざいのFP3級の実技試験の保険顧客資産相談業務を選んだ場合には、「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理」「タックスプランニング」「相続・事業継承」の4つの分野が出題範囲となっており、日本FP協会の資産設計提案業務と比べると、「金融資産運用」と「不動産」の2つの分野が対象外となります。
そのため、きんざいの「個人資産相談業務」と「保険顧客資産相談業務」の2つを選んだ方が、日本FP協会の資産設計提案業務よりも、学習範囲が狭くなることになります。このようなことから、FP3級の実技試験とは、一般的なお金の知識かつ、日本FP協会の資産設計提案業務よりも試験の出題範囲が狭い「きんざいの個人資産相談業務を選ぶのが一番良い」と思う人も多いのではないでしょうか。
しかし、FP3級の実技試験において、実際には日本FP協会の資産設計提案業務と、きんざいの個人資産相談業務は難易度としては同等に設定されているため、変わりはありません。そのため、FP3級の実技試験を選択する基準は、「自分に合っている方を選ぶ」ということが一番重要であると言えます。なぜなら、FP3級の実技試験とは、日本FP協会ときんざいとでは出題傾向に違いがあるからです。
日本FP協会のFP3級の実技試験とは、6つの分野から均等に出題されるため、基本的な比較的やさしい問題が多く出題される傾向があります。それに対し、きんざいのFP3級の実技試験とは、日本FP協会のようなスタンダードな問題問題ばかりではなく、ひねりがきいた「引っ掛け問題」が出題される傾向があります。そのため、試験に慣れており、引っ掛け問題も時間をかけずに解くことができるという人の場合には、FP3級の実技試験はきんざいを選ぶと良いでしょう。
また、FP3級の実技試験では、日本FP協会ときんざいで出題形式も異なります。日本FP協会のFP3級の実技試験は、「三択20問で100点満点中60点で合格」になりますが、きんざいのFP3級の実技試験は、「事例形式5題で50点満点中30点が合格」となります。このように、FP3級の実技試験は、日本FP協会ときんざいでは問題数が異なるため、1問に対する配点も大きく変わります。
したがって、数多く問題を解いて点数を稼ぎたいという人の場合には、日本FP協会のFP3級の実技試験が適しており、高配点で効率良く点数を稼ぎたいという人には、きんざいのFP3級の実技試験が適していると言えるでしょう。
FP3級の実技試験の対策とは?
FP3級の実技試験対策のとは、「受験する実技科目をはじめに決めてしまうこと」です。なぜなら、FP3級の学科試験は日本FP協会もきんざいも同じであるため、試験内容の異なる実技試験をどちらにするかを先に決めなければ、受検申し込み自体をすることができないからです。FP3級の実技試験を3種類のどれかから1つ先に決定しなければ、どちらの団体が実施する試験に申し込みをするかも決めることができません。
また、FP3級の実技試験をどれにするか決定しなければ、実技試験のテキストや問題集も異なるため、購入することができず試験勉強を開始することすらできません。このようなことから、FP3級の実技試験のもっとも重要な対策とは、受検する実技科目をはじめに決めることであると言えるでしょう。
次に、FP3級の実技試験の勉強方法の対策とは、「2年分の過去問を2回以上繰り返し解く」ということです。FP3級の実技試験は、過去問に似た問題が出題される傾向があることから、過去問を解いて出題パターンに慣れることがもっとも効率的であるからです。また、その際にわからない部分や間違った部分を重点的にやり直し、苦手な部分を克服しておくのも、FP3級の実技試験の対策になります。
このようなことから、FP3級の実技試験の対策とは、まずはじめにどの実技科目にするかを決定することと、過去問をとにかく繰り返し解いて出題パターンや解答に慣れることであると言えるでしょう。
まとめ
FP3級の資格試験には、学科試験と実技試験の2つの試験があります。FP3級の学科試験とは、FP3級の出題範囲である6つの分野の基礎的な知識が試験内容となっており、FP3級の実技試験とは、FP3級の学科試験の応用編が実技試験の試験内容になります。また、FP3級の実技試験は、実施される2つの団体である日本FP協会ときんざいとで内容が異なり、全部で3つの種類に分けられます。
FP3級の実技試験は、一般的には「日本FP協会の資産設計提案業務」と「きんざいの個人資産相談業務」のどちらかを選ぶことが多く、きんざいの「保険顧客資産相談業務」については、保険の仕事に関わる人や保険に興味ある人のみが、選ぶようにすると良いでしょう。