FPについて調べていると頻繁に登場するきんざいとは何を示すのでしょうか。今回はきんざいと日本FP協会、それぞれの試験の特徴について紹介します。
目次
FP1級試験を実施しているきんざいとは?
きんざいとは一般社団法人金融財政事情研究会の略で昭和25年に設立された組織です。この組織はFP1級から3級までの試験を実施し、この試験に合格すると国家資格が与えられます。試験を実施する以外にもテキストを出版したり講習会を開いたりとFPの質を維持するために様々な活動を行っています。
FP1級の資格
FP1級の資格が欲しいと思ったとき実は2種類の資格を選択することができます。金融財政事情研究会が実施するFP技能士に資格と日本FP協会が実施するCFPという資格です。FP技能士は国家資格、CFPは民間資格です。
FP2級と3級の学科試験はどちらの団体も受験できますがFP1級になると金融財政事情研究会のみが学科試験を実施するようになります。一方実技試験はそれぞれが実施していますが、金融財政事情研究会は口頭試問方式、日本FP協会は記述方式で行っています。
FP1級を取得するためにはいくつか道があり、金融財政事情研究会の実施する学科試験に合格し、同じく金融財政事情研究会の実技試験に合格する方法、金融財政事情研究会の学科試験に合格した後日本FP協会の実施する実技試験に合格する方法、日本FP協会が実施するCFPの試験に合格した後どちらかの団体で実技試験を受ける方法の4種類です。
CFPとは
CFPとは日本FP協会が管理しているFP1級に相当する民間資格です。FP技能士の資格と異なるところはFP技能士の学科試験に当たるCFP資格審査試験の6科目を一度に合格する必要がないことです。6科目の試験を何回にも分けて合格することができるので自分のペースでコツコツ進めることができます。
6科目全ての試験に合格したらつぎは実技試験ではなくCFPエントリー研修を修了し、通算で3年以上の実務経験を5年以内に得ることで初めて登録申請をすることができます。また、FP技能士の資格は一度取得すれば基本的に生涯保持されますが、CFPは更新が必要なので途中で失ってしまう可能性があります。
きんざいのFP1級試験の特徴
学科試験は応用編と基礎編に分かれていて、それぞれ回答方法が異なるので対策する量が多くなります。応用編は計算がメインの記述問題、基礎編は細かい知識の確認がメインになる選択問題です。計算が得意な方や部分点で稼ぎたい方にはおすすめです。配点は100点ずつですが問題数は応用問題が5問、基礎問題が50問です。
合格率が1割前後です。CFPに比べると低いように感じますが、金融財政事情研究会の試験は金融系の企業で働く方が会社の業務の一環として全員で受けたりしていることも原因の一つです。自主的に目標をもって受験する方の割合が少ないことが合格率にも反映されているので一概に難易度が高いとは判断できません。
きんざいのFP1級のメリット
6科目の合計点数で合否が判断されるので6科目の中に不得意な科目があっても得意科目で補うことができます。費用の面では受験料が安く、試験に合格した後の維持費がかからないので最低限の費用で取得できます。金融財政事情研究会の公式HPで過去の試験問題6~7回分が公表されているので演習の量には困りません。
実務に関しては、FP1級は国家資格なので日本国内で評価されやすいです。CFPは国際資格と言われていますが日本ではあまり浸透していません。そのため国内でビジネスを展開しようとしている方は他の業種の方にも理解してもらいやすく、FP1級の方が評価されやすいです。もちろん就職や転職にも有利です。
きんざいのFP1級のデメリット
科目ごとに合格になる制度はないので一度の試験で6科目全て合格になるまで受験し続ける必要があります。さらに、学科試験に合格しても期限があるのでその期限内に実技試験に合格しないと無効になってしまいます。
受験資格として1年以上の実務経験が必要になるので全く接点のない業界でお仕事している方はなかなか難しいです。実務経験にカウントされる経験はとても広く用意されているので当てはまるかどうか確認して下さい。FP1級を取得してもCFPを受験することはできないのでダブルライセンスを狙う方にはおすすめできません。特に試験が免除になるなどの措置も用意されていません。
CFPのメリット【きんざいfp1級より人間関係が豊富】
実務経験がなくても2級FPやAFPを取得していれば受験することができます。現在の仕事がFP1級の実務経験に当てはまらない場合は、CFPを受験することでFPを目指すことができます。これから社会人になる学生の方も実務経験を積むのは難しいと思うのでおすすめです。
科目ごとに基準に達すれば科目合格が認められます。AFP資格を維持している間は期限なく有効なので科目ごとに自分のペースで少しずつ合格していくことができます。科目ごとに基準に達しないと合格にならないので不得意な科目を得意科目で補うことができません。
研修やセミナーが頻繁に行われているのでFP同士で人脈を広げることができます。同業者の知り合いが多いと情報交換など様々なメリットがあります。CFPを取得していると金融財政事情研究会が実施するfp1級の学科試験が免除になります。そのためダブルライセンスを希望している方は少ない手間で両方の資格を得ることができます。
世界で導入されている信頼ある資格であるCFP資格は、世界中20か国以上で導入され、信頼されているため海外にビジネスチャンスを見つけたい方におすすめです。日本国内ではあまり知名度はありませんが保険業界では近年注目され始めているので優れたFPであることのアピールになり信頼関係を築きやすくなります。
継続学習ができるCFPは試験に合格し、エントリー研修、3年の実務期間を終えた後も継続教育期間というものがあります。この期間は2年間ずつありその間に単位を習得しなければ資格を更新できません。
単位は研修に参加したり講師として活動したり知識を生かして執筆活動することでも取得できます。ライフスタイルや仕事の内容に合わせて負担の少ないものを選びましょう。FPとして活躍し続けるためには常に最新の情報を仕入れていることが求められます。 資格を維持するためとは最新の知識に触れる環境が整っているのは大きなメリットです
CFPのデメリット【きんざいfp1級より費用、手間がかかる】
それぞれの科目の合格率は35%程度、全科目合わせた合格率は10%以下です。6科目とも一回の試験で合する方はとても少ないというデータもあります。日本FP協会の公式HPで公表されている過去問は1年度分だけなので過去問の対策が手薄くなりがちです。近年試験問題を持ち帰れるようになったので受験者同士の交流に力を入れてお互いに共有するようにしましょう。
年会費など維持費で毎年1万円以上出費があります。それが自分のキャリアと同じ年数、何十年も続くとかなり大きな金額になってしまいます。記述問題はなく全ての科目が選択式のみ50問です。対策する回答形式は1種類なので知識の暗記に集中できます。 記述問題が一問もないので計算が得意な方や部分点を狙っていた方には少し不利になってしまいます。
きんざい出版のFP1級テキスト、講座
金融財政事情研究会はテキストも出版しており、受験者に大変人気です。FP1級はテキストが限られているので充実した高品質のテキストは貴重です。
合格ターゲット 1級FP技能士 特訓テキスト
A5判のコンパクトなテキストなので持ち歩きに便利で忙しい方におすすめです。イラストや表はあまり多くないので好みは分かれるかもしれませんが、文章で学ぶことが得意な方におすすめです。金融機関でも社内教育のために採用されています。
1級FP技能士(学科)精選問題解説集
携帯性の良さがポイントの合格ターゲットに対してこちらの精選問題解説集は問題量も解説も充実しています。基本的には過去に出題された問題から重要な問題を集めて解説する方法で作られています。そのため問題演習ができるだけでなく過去に出題された問題のうち特に需要なポイント理解できます。最新過去問が2年分も収載されているのでダウンロードする手間が省けます。
資格取得後の研修も
CFPのように義務ではありませんが、金融財政事情研究会もFPとしてはたらく方のスキルアップのための講座を用意しています。保険や金融商品、事業継承など実際によくある事例に合わせた通信講座がたくさんあります。
中でも外国人顧客対応講座は特徴的で外国のクライアントが講座を開設したいとき、海外に送金したいとき、など言語の問題以外にも発生すると考えられる課題に対応できるようになるための内容になっています。テキストを読んだり講義を聞いたりするだけでなく添削もついているので自分の理解度を確認できます。
最近問題になりつつある認知症のクライアントへの対応を学ぶための講座もあります。金融期間ではセキュリティが厳しく、本人でないと契約、解除や変更ができないことがよくありますが、その本人が認知症の場合はどうするか、等実際に役立つ知識を勉強できます。
まとめ
FP1級とCFPは実施している団体が異なるだけでなく試験の内容や資格取得後の費用や手間が大きく異なります。どちらもFPのなかでは最高峰の資格であり、優劣はありません。ライフスタイルやビジネスモデルに合わせてより合っていると感じる方を選ぶと良い選択になります。
またきんざいが実施している講座は実務の内容に沿っているので講義を聞いてすぐ、業務に反映させることができます。すでにFPとして活躍している方もぜひ聞いてみてください。