常に良い状態にありたいという向上心を持つことは、就活生にとって重要な自己PRです。人間は放っておくと低きに流れることが多いので、そこに留まらず、常に上を目指せる心の持ち主は貴重な人材といえるからです。
では、本当に向上心は採用を目指すために最適なアピールポイントになるのでしょうか。ここでは、向上心について詳しく解説すると共に、向上心を使った自己PRの方法についてまとめていきます。
目次
向上心を自己PRの主題にしてもいい?
向上心は、仕事にとって重要な要素です。「お客様の側に立って、もっと良いサービスを提供するために考えること」や「技術を研鑽し、もっと良い商品を作ろうとすること」などは、強い向上心から生まれる行動だからです。
そのため、向上心を自己PRの主題として定めるのは、面接や履歴書を書くときに有用だと考えられます。ただし、向上心をアピールするのなら、「向上心」に実績が伴っているかどうかを意識しなければなりません。
というのも、向上心があるだけでは企業に全く評価されないからです。向上心は、いわば「上に行きたい」と考える心のことをいいます。しかし、企業にとって大切なのは「上に行きたい」と考えることではなく、「上に行くために何かをする」という行動のほうです。向上心と共に行動するという意識が伴っていなければ、向上心は評価されません。
向上心を評価されたいのなら、実際に行動する意識があるということを見せなければなりません。つまり、行動する意欲があることを見せなければならないのです。
例えば、「体重を10kg落とす」という目標に取り組むとしましょう。「行動する意欲のある人」は、その日の内に体重を落とす運動の仕方や食事の仕方を調べ、実行に移します。一方、「痩せたい意欲=向上心はあるものの行動する意欲の伴わない人」は、痩せたいと口には出すものの、自分から行動を移そうとしません。どこかの誰かが、自分を痩せさせてくれることを待ちます。
このような例は、どちらも向上心を持っています。しかし、どちらが企業に好印象を与えるのかは明白です。つまり、自己PRで向上心をアピールするのなら、後者のような人材ではなく、前者のような人材であることをアピールする必要があるといえるでしょう。
自己PRの主題に向上心を定めるときのポイント
向上心をアピールするにあたって、必ず意識すべきポイントは、自分は行動する人間だ、ということを自己PRに盛り込むことです。そうでなければ、向上心はあるけれど行動する意欲のない怠惰な人間だという印象を与えてしまいます。
具体的に意識すべきポイントを2つ紹介しましょう。
「向上心の高さ」を支えるエピソードを用意する
向上心の高さがどんな行動に結びつき、どんな結果を生んだのか、ということをエピソードを交えて紹介しましょう。可能ならば、その行動がもたらした実績を、数字と共にアピールすると効果的です。
例えば、「高校生2年生の冬に行きたい大学ができ、そこから毎日勉強を続けた。結果、50だった偏差値が62に上がり、合格平均偏差値が60の大学に合格することができた」といったエピソードは、行動を伴った向上心をアピールするのに最適です。
ただ、向上心がもたらした結果がひとつだけでは少しエピソードとして弱い印象があります。前述した例ですと、一念発起して努力をはじめただけではないか、と考えられてしまう可能性があります。向上心が強いと言い切るからには、もうひとつかふたつ程度、実績を伴うエピソードを披露したほうがいいでしょう。
他人に誇れるような実績がないという場合は、「これだけ努力した」という部分をクローズアップしてエピソードを付け加えるといいでしょう。
向上心の先を意識する
向上心というものは、あくまで行動するための力にすぎません。企業にとって大切なのは、「向上心を持って取り組み、何をしてくれるのか」ということです。向上心を持って取り組むというだけでは、企業としては何の魅力もありません。
よって、自己PRをするために、「向上心を持っている自分が何をできるのか」ということと、「何を目標にするのか」という、向上心の先を盛り込みましょう。例えば、「なるべく早く会社で戦力になるようにしたい」といった目標を掲げ、「そのために言われたことはメモを取って毎日反芻し、目標を達成するための努力や勉強は惜しまない」といったことを盛り込むといいでしょう。
今から働こうとする業種と密接に関わる資格があるのならそれを目標するのも手です。ただし、目標を設定するときはあまりにも遠大な目標を掲げないようにしましょう。例えば、「社長になる」、「歴代最高の売り上げを達成する」といった、達成できるのかわからない目標は自己PRには適切ではありません。達成のために努力がいるけれど、努力さえすれば手が届くような位置に目標を定めましょう。
向上心を主題に自己PRをするときの注意点
向上心は、魅力的な人材であることをアピールするために、非常に有用なポイントです。しかし一方で、裏を返すことも容易いアピールポイントといえます。ともすれば、自己PRをするつもりが逆に悪い部分をクローズアップして解釈されてしまいかねません。
よって、自己PRの主題に向上心を据えるときは、必ず以下のポイントを意識するようにしましょう。
向上心は必ずしも良いものではない
常に上を目指そうとする心は、世間的に見れば良いものに見えるかもしれません。確かに、向上心があること自体は良いものかもしれませんが、「上を見続ける」ということが必ずしも良い評価を下されるとは限りません。
なぜなら、上を見ているということは、足元や隣にいる人をおろそかにしてしまいかねないと考える方もいるからです。また、「上に行かなければ満足できない」ということは、「昇進しなければモチベーションが落ちてしまう」という意味にも捉えられてしまうからです。
このように、「向上心」という言葉は人によって色々な解釈ができます。よって、自分をアピールするポイントは向上心です、と簡単に既存の言葉に置き換えてしまうのではなく、より詳細な言葉で言い換えてみましょう。
例えば、「より高い場所へ行くための努力を惜しまないところ」というものも向上心の言いかえとして適切でしょうし、「現状に満足して落ち着くことがないところ」というのも向上心の言い換えです。向上心は、多くの就活生が採用しがちな自己PRの主題なので、そういう意味でも言い換えは効果的だといえます。
チームワークもできることをアピール
向上心がある人は、周囲の人をおろそかにしがちだということは前述した通りです。クリエイター業や作家業など、個人の力と発想が重視される会社ではそれでも構いませんが、大抵の会社では、個人の力量と同等以上に、チームワークや周囲と調和する力が重視されます。
よって、強い向上心は持っているものの、チームワークもできるということをアピールすると、高い評価を得られます。例えば、自己PRに盛り込むエピソードの部分にチームでの実績を盛り込んだり、チームワークもできることをアピールしてみるといいでしょう。
こうすることで、向上心のままに他人をおきざりにする人間ではないことをアピールできます。
向上心を主題においた自己PRの例文を紹介
向上心を自己PRに採用する際のポイントを紹介しました。しかし、いまいちどういう文章構造で書けばいいのか見えてこないという方も多いのではないでしょうか。そこで以下では、自己PRを使った例文を2つ紹介します。
具体的に、アピールできるような実績がある場合と、そうでない場合の自己PR文を紹介していきましょう。ただし、こうした例文はあくまでも例文として使い、丸写しして使わないように気を付けて下さい。
向上心に関連した実績がある場合の自己PR文
私は、目標に向かっての努力を惜しまないところが自分の強みだと考えています。
私は小学生の頃から野球をしています。そのころから、プロ野球の選手が格好良く試合で活躍するのを見て、いつか自分もあんな風に活躍したいと思っていました。小学生の頃は毎週3回程度の練習をするだけだったのですが、中学生になってからは、よりうまくなりたいという気持ちが強くなり、毎日自主練習を欠かさずに行いました。
結果、2年生にあがるときには2年生唯一のレギュラーとして活躍することができました。その後、2年連続で地区大会で優勝できたのは今でも嬉しい思い出です。
また、大学受験の際には行きたい大学が出来たので、高校二年生の冬から平日は3時間の勉強をするようになりました。結果、偏差値を10あげて目標の大学に合格できました。
このように、私は目標のためなら努力を惜しまない人間です。御社に入社した際には、適宜目標を定め、その目標を達成するため、たゆまぬ努力を続けていきたいと考えています。
特別な実績が特にない場合の自己PR文
私の強みは、常に最善を尽くしてより良い状態を目指そうとするところです。
学生時代に3年間続けたアルバイトでは、配膳係として週に2日働いていました。最初の内は慣れない仕事であることもあいまって何度か失敗したこともありましたが、続ける間に自分なりにメニューの覚え方や最適な足の運び方を研究し、最後の1年間では目立ったミスは一切しなくなりました。
高校生の頃に受けた模擬テストでは、志望大学の評価がA評価でしたが、最善を尽くすために塾へ通わせてもらって、より評価を盤石にしました。おかげで志望していた大学に合格し、望んでいたことを存分に学べました。
御社に入社した際には、任せられた業務を確実にこなすことはもちろん、自分にできる最善を尽くせるように努力したいと考えています。
まとめ
向上心は、自己PRの主題としてぴったりなもののひとつです。特に、新卒の学生として就活をしているのなら、ぎらぎらとした向上心は面接官としても良い刺激になり、好意的に解釈される可能性が高いでしょう。
とはいえ、周囲を置き去りにした向上心は独りよがりになってしまいます。ほぼすべての会社はチームワークと周囲との調和によって成り立っているので、チームワークをおろそかにするようなアピールをしないように気を付けましょう。
「外資系企業に向いている人の特徴はこちらの記事で詳しく解説されています。あわせてご確認ください。
参考:外資系企業に向いている人の特徴10選。現役の外資系社員が生の声をお届け|コンサルキャリア – 20-30代のためのハイキャリアメディア」