メンター制度という言葉は、就活の場においても、企業の場においても、非常に広く使われている言葉です。メンター制度は、精神を病んでしまいがちな若者にとっての波止場といえます。では、就活の場におけるメンター制度はどのように活用され、そしてどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、就活におけるメンター制度についてまとめていきます。
目次
就活でも用意されるメンターとは?
そもそも、「メンター」とはなんでしょうか。言葉の意味だけを解説するのなら、メンターとは「助言者」という意味です。この言葉の由来は古代ギリシャの叙事詩オデュッセウスに登場する人物「メントール」で、主人公の助言者であり理解者だった彼の名前をもじって、助言する人のことをメンターと呼ぶようになったそうです。
就活におけるメンターも、基本は一般的に言われるメンターと同様の意味です。ただし、就活におけるメンターは一般的な意味よりも「支援者」としての性格を帯びています。もちろん助言もするのですが、それと同時にエントリーシートの添削をしたり、面接のポイントを紹介したりといった形でより密接にサポートしてくれます。
それだけですと、ハローワークや就活センターとやっていることは同じだと思うかもしれません。しかし、メンターには「自分と立場の近い人」という特徴があります。就活であれば、似たような境遇で就活活動をした人、一つ上の先輩などがメンターとして活躍しています。
加えて、メンターは何かを強制しないという特徴があります。メンターは困っていることに対して「どうすればいいか」を助言してはくれますが、その助言を自分のものとして行動するのも自由です。つまり、最終的に考えて結論を下すのは自分自身になります。
そのため、下した決断に対する責任は自分が負わなければなりません。とはいえ、自分で選択肢を掴みとることは、これからの人生に自信を持つきっかけにもなります。自信を持てない若者が問題になっている今、メンターは多くの就活生に求められている存在といってもいいでしょう。
就活でメンターを利用するメリット
上述したように、メンターは就活の決断を助けてくれる存在ですが、決定を促してくれる存在ではありません。優柔不断な人は、もしかしたらメンターの力を借りても、なかなか志望する企業を決めることができないかもしれません。
では、そんなメンターを利用するメリットは一体どこにあるのでしょうか。ここでは、就活の際にメンターに力を借りるメリットを具体的に3つ解説します。
自己分析を詳細に行える
メンターの役割は、教えることというよりも、就活生が困ったことに対して適切な助言を与え、導くことです。また、倒れそうなときは横から支え、崩れてしまうことを防いでくれます。
そして、その時、メンターと会話することを通して、自分自身と向き合う機会をたくさん作れます。「自分はなぜこの人を頼ったのか」「なぜこの人は自分を助けてくれるのか」という視点で自分のことを見つめなおすと、今まで見えてこなかった自分の一面が見えてくるかもしれません。
もちろん、メンターの方に対して「自分のことをどう思うのか」と聞いてみることでも自己分析を進められます。他者から映る自分の姿を認識しておくことで、自分の強みと弱みを客観的に見つめられるからです。信頼できるメンターからの言葉だからこそ、素直に実感を伴って認識できます。
加えて、メンターに相談することは自分のやりたいことを探すのにも有効です。メンターの経験談を聞いたり、自分の「何がやりたいのかわからない」という思いを聞いてもらったりするうち、天啓のように自分の中で眠っていた「やりたいこと」が見えてくることも多くあります。
このように、メンター制度は自己分析を深める上でも有用です。
つらい時期に助けてくれる人がいる
メンターは、助言者であると同時に、つらい時期に就活生を支えてくれる存在でもあります。就活がうまくいかずに不採用の連続になったとき、面接でつらい言葉を言われたとき、せっかく整えてきた質問への回答を全く言えなかったときなど、就活で落ち込む場所は無数にあるはずです。
自分でリフレッシュできる人はいいかもしれませんが、そうでない人にとって、精神的な落ち込みは非常に大きな問題になります。長引けば就活の成否自体に影響を及ぼしますし、日常生活にまで影響が出ることもあるでしょう。そして、そうした精神的な辛さは、得てして周りの友人ほどわかってもらえません。
しかし、メンターであれば就活で苦しんだ経験も共有できるので、自分の苦しさと辛さを分かち合い、そこから脱出するための手引きをしてもらえます。就活のノウハウ的な面だけではなく、このような精神的な支えになってくれる点は、メンターならではの大きな利点でしょう。
困ったら経験者からの意見で助けてもらえる
精神的な支えになってくれるという意味では、昔からの親友もメンターと似たような役割を果たせるかもしれません。しかし、メンターと友人が最も異なる点は、「過去に似たような状態を経験している」という点です。
そのため、メンターのアドバイスは「経験者という立場から助けてもらえる」というメリットがあります。特に就活に関してはメンターからのアドバイスであればすでに経験した立場からアドバイスしてもらえるので、アドバイスを受け入れやすく、助けてもらいやすいのがメリットです。
さらに、自分からしても、経験者のからのアドバイスなので聞き入れやすく、身になりやすい点もメリットといえるでしょう。このように、メンターからのアドバイスは友人ほど近くなく、先生ほど遠くないという絶妙な位置にあるので、非常に「タメ」になりやすいのです。このように、メンターはアドバイスをしてもらう対象としても大きなメリットがあります。
就活のときにメンターを利用するときの注意点!
メンターを利用するときは、いくつか注意点があります。メンターは非常に有効ですが、意識しておくべき点を理解していないと、メンターを就活に有効利用するどころか、メンターが就活にとってマイナスになってしまうこともあるのです。
よって、メンターを利用するときの注意点を以下にまとめていきましょう。
依存しすぎると毒になる
メンターは助言者ではありますが、「全てを決定してくれる存在」ではありません。メンターの言葉は決して絶対ではなく、そして、最終的に決めるのは自分自身でなければなりません。あらゆることをメンターに依存して決めようとしてしまうと、自分の人生の軸を人に決めてもらうことになってしまうのです。
例えその時は納得しても、自分自身の軸に従わない決定は徐々に大きな歪みになってしまいます。そしてその歪みは、早期退職として顕在化してしまいます。最悪の場合、心の病に繋がってしまうこともあるでしょう。
メンターは就活生を助けてくれますが、一から十まで全てを決めてくれるわけではありません。メンター制度を活用するときは、そのことを心に刻んで聞きましょう。頼ってはいけない、というわけではありません。最終的には自分が決めるということを意識しましょう。
間違えることもあることに注意
メンターは人生の先輩ですし、自分よりもたくさんの経験をしています。しかし、メンターは決して神様でなければ、万能の超人でもありません。自分と同じ人間です。そのため、メンターのアドバイスも、どこかずれていたり、間違えていたりすることもがあります。
よってメンターのアドバイスは全く疑いなく飲み込むのではなく、自分の中で再検討してから飲み込むようにしましょう。そのアドバイスが、本当に自分にとって利益になるのか、そして、自分がそのアドバイスを実行しても良いのか、一度自分の中で再検討してみてください。
また、メンターを何人か作り、複数の意見をすり合わせて検討してみるのも有効な手立てのひとつです。メンターを崇拝してしまうのではなく、1人の人間の意見として受け止められるようにしましょう。
連絡はこまめに取る
メンターが適切なサポートをするためには、自分の現状を細かく伝える必要があります。自分は今、どんな企業を志望していて、どんな壁に当たっているのか。そして、何を悩んでいるのか。そうしたことを逐一報告して相談しなければ、メンターの方もどうサポートしていいのかわかりません。
よって、就活の進捗はもちろん、自分の中で考え方が変わったことがあれば、気軽にメンターに相談してみましょう。そうした変化が、メンターが就活生をサポートするモチベーションの源になるからです。
就活をメンターにサポートしてほしい! そんなときはどうする?
就活で迷ったから、メンターにサポートしてほしいと考えている方も多いと思います。では、メンターに就職をサポートしてもらう方法はどうすればいいのでしょうか。
具体的には2つの方法があります。ひとつめの方法は、企業が提供しているメンターのマッチングサービスに応募する方法です。企業が提供しているメンター関連のサービスは、自分の需要にあわせて、自分と境遇の近いメンターとマッチングしてくれます。メンターとの会話はほとんどがオンラインで行われるものの、境遇が近いので非常に便利です。
もうひとつの方法は、自分の身近な人をメンターにする方法です。友達、両親、先輩など、出来る限り腹を割って話せる人がいいでしょう。身近な人を相談役に置けば、感情をさらけ出しやすく、的確なアドバイスも貰いやすいのがメリットです。一方、専門的な知識のアドバイスはもらえないので、専門的なアドバイスを貰える相談役も確保しておきましょう。
まとめ
メンターとは、いわば就活を助けてくれる助言役、あるいは就活で困ったときに言葉によって助けてくれる相談役です。メンターがいれば、長い就活でも迷わず、壁に当たったときも困らずに済みます。
ただし、メンターに頼りすぎると自分の軸がなくなってしまい、就職してから何も決められない、ロボットのような人間になってしまいます。メンターが何を言ったとしても、最終的に判断を下すのは自分だということを胸に刻み、頼れるところはメンターを頼っていきましょう。