就活の時期になると、毎年、OB訪問が話題になります。しかし、はじめて就活をしようと思った方や、大学にあまり関わりがなかった人にとって、OB訪問とはどんなものなのか、何を目的にするのか、いまいちその実態が掴めないのではないでしょうか。
そこでここでは、OB訪問とは具体的にどのようなものなのか、そのメリットとはどんなものなのか、詳しく解説していきましょう。
目次
そもそも就活で言われるOB訪問とは?
OB訪問とは何を示しているのでしょうか。字面だけでは、いまいちその実態を掴みづらいと思います。OBとは、「OldBoy」OGとは「OldGirl」のことを示しており、それぞれ「卒業生」のことを示す単語です。
それが転じて、何らかの組織ですでに卒業した男性をOB、女性をOGといったりします。就活におけるOB訪問とは、つまり自分の大学/高校の卒業生が働いている会社を訪問し、会社のことについて詳しく聞くことです。
インターネットが発達した現代社会において、会社の情報を調べるだけであればホームページや会社に関する情報をまとめたサイトで事足ります。ではなぜ、わざわざOB訪問をするのでしょうか。
それは、自分に近い立ち位置の人から、実際に働いてみた感想を聞けるからです。例えば、人文学部に所属していた人と、経営学部に所属していた人では働き始めての苦労も違うでしょうし、学ばなければならないことも違うはずです。企業の都合によっては、研修の必要性もあるでしょう。
しかし、こうした内部情報は意外とインターネットからでは発見できません。一流の有名企業ならばともかく、それほど有名ではない企業で働いている、自分と能力や立場の近い人からの情報は、自分が進路を決める上でも、これからの指針にする上でも、非常に有用です。
OB訪問は、このような貴重な情報を得るために行います。時にここで得た情報が就職先の決め手になることもあるので、新たな視点を得るためにもOB訪問は重要です。だからこそ、多くの就活生がOB訪問を実行しようとしています。
就活でOB訪問をすべき時期とは?
OB訪問は、ごく一部の大学を除き、基本的には個人で約束を取り付けなければなりません。その際に意識すべき点が「時期」です。OB訪問の時期を外してしまうと、相手方に失礼になってしまうだけではなく、聞くべき情報を聞き出すこともできません。
よって、出来る限り先方の都合がよい時期にOB訪問をしましょう。具体的には、先方の企業が繁忙期に入っていない時期が望ましいです。それに加えて、OB訪問が頻発するような時期は避けたほうがいいかもしれません。何人もの人が度々同じことを聞きにくると、OB側の方も受け答えが適当になったり、話すのが面倒になったりしてしまうからです。
ちなみに、OB訪問が本格的になるのはおおよそ4月前後。就活解禁の時期にもよりますが、多くの大学生ないしは高校生が4年、3年になると同時に就活をはじめます。よって、可能ならばそれよりも前の時期にOB訪問の約束を取り付けましょう。
訪問の約束を取り付ける際は、なるべく先方が忙しくなさそうな時期を指定しましょう。自分から日にちを指定することで、能動的にその日を空けておくことができるからです。OBの方に日にちを決めてもらうと、別のOB訪問や就活でダブルブッキングしてしまう可能性もあります。よって、自分で都合の良い日の候補をなるべく多く出し、あちら側に時期を決めておきましょう。
なお、最近ではOB訪問をオンライン化し、webカメラなどを使って「オンラインOB訪問」を行う大学もあるようです。オンラインOB訪問を行う場合であっても、基本は変わりません。OB訪問に応えてくれる人に対して失礼のないようにして身なりを整え、あらかじめ質問すべき事項を整理して臨みましょう。
就活のOB訪問のメリットとは?
就活でOB訪問が広く行われているのは、相応のメリットがあるからです。第1志望、第2志望の会社以外はなかなかOB訪問へのモチベーションが湧いてこないかもしれませんが、メリットを知っておけば、OB訪問をすることが、いかに大切なのかを意識できるはずです。そうすれば、いざ自分でOB訪問をする際にも身が入っていくでしょう。
そこで以下では、OB訪問をするメリットをひとつずつ詳細にまとめます。
入社の考慮材料にできる
最も大きなメリットであり、多くの人がOB訪問の目的とするのが、その会社に入社するかどうかの判断を下すための材料とするためです。会社の雰囲気や給料などはインターネット上からでも調べられますが、実際に働いてみると、思ったよりも認識に違いがあったりすることも多くあります。
そこで、立場の近いOBに話を聞くことで、自分が入社したときのイメージを持ちやすくなるのです。会社としても、入社してすぐに辞めてしまうようなミスマッチ学生を防ぐことができるという大きなメリットがあります。よって、キャリアセンターはOB訪問を勧めますし、会社のほうもOB訪問を受け入れているのです。
また、会社の雰囲気を実際に味わえるという点も大きなメリットといえます。募集要項にも「アットホームな職場」「雰囲気の良い職場」という情報はよく出ますが、実際にどのような雰囲気で働いているのかは、実際に働いてみるまではわかりません。しかし、OB訪問であれば、その雰囲気を考慮の材料として取り入れられるのです。
志望動機が作りやすくなる
志望動機の作成が容易になるという点もメリットです。志望動機は、就活をする際に就活生を悩ませる過大のひとつですが、OB訪問をしておけば、これに悩まされないで済みます。なぜなら、OB訪問をすれば事業内容や実際の仕事、そして入社してから自分がやるべきことが、具体的なイメージを伴って把握できるからです。
会社についての具体的なイメージや情報を持つことができれば、それだけ志望動機の内容に厚みを増します。たとえば、志望動機は「自分がやりたいことが御社でなら実現できる」という形で書くことが多いのですが、その「やりたいこと」が業界全体にでも通用することですと、いまいち志望動機としては弱いものとなってしまいます。
しかし、OB訪問によってその会社ならではの情報や行っている事業を知っておけば、「御社でしかできないこと」に強い説得力を持たせることができます。
会社によってはOB訪問がプラスになることも
これは会社の方針にもよりますが、OB訪問をした就活生は評価が高くなる可能性があります。中には、OB訪問がないというだけで評価を下げられてしまう会社もあるようです。特に学生が大量に応募する大企業の中には、OB訪問をして当然だと考える場合も少なくありません。
また、OB訪問は話すときのマナーや服装、雰囲気など、面接の予行演習としても機能します。そうした点を含めて、OB訪問は就活生にとってプラスになる可能性を秘めているといえるでしょう。
効率的なOB訪問のやり方! 失礼のないアポの取り方とは?【就活のマナー】
OB訪問をするために必要なのは、「約束の取り付け」「質問の用意」の2つです。それぞれポイントを意識して、失礼のないようにアポイントを取りましょう。
まずは約束を取り付ける
約束を取り付ける方法は2つあります。ひとつめはメールです。メールで約束を取り付けるときは、「件名でわかりやすくする」「どこでOBがいることを知ったのか明記する」「OB訪問をしたい理由を述べる」の3つの点を意識してください。
特に、メールを読んでもらうために件名は「OB訪問のご依頼」とはっきりと書いておきましょう。もちろん、自分がどこの誰で、現在何をしているのかも詳細に書いてください。企業にメールを出す際は自分も一人前の社会人としての自覚を持ってメールを出しましょう。
電話で約束を取り付ける場合は、まずは電話係の方に自分の名前と所属を名乗り、取り次いでもらいたい人の名前で取り次いでもらいましょう。所属の部署がわかっている場合は、それも含めて言ったほうが早く取り次いでもらえます。
無事に取り次いでもらえたら、電話をした用件と都合の良い日時の指定をしましょう。このあたりは、メールでアポイントを取るときと同様です。
メールで約束をするにせよ、電話で約束をするにせよ、重要なのは失礼のない態度で行うことです。相手を不快にしないよう、細心の注意を払った行動を心掛けましょう。
質問を用意する
無事に約束を取り付けたら、次は質問を用意しましょう。用意する質問はどんなものでも構いません。ただし、失礼な質問や、あまりにもプライベートに踏み込むような質問は避けてください。
定番なのは、働いてみた感想、この会社を選んだ理由、スケジュール、どれくらい働いているのかなどです。また、面接では聞きづらい残業時間や、給料に関することも、OB訪問では聞くことができるでしょう。いずれにしても、気になる点は必ず質問するようにしましょう。
お礼の手紙も忘れずに
無事にOB訪問が終わったら、後はお礼のメールを送りましょう。送る時期は、できるだけ早い方が望ましいと思います。文面はもちろん礼儀正しくするのはもちろんですが、OB訪問を通して何を学んだのかを書いてください。こうすることにより、OB訪問の対象になったOBの方も充実感を得られるからです。
仮にOB訪問の結果、そこを就活の候補から外すことにしたとしても、お礼の手紙は送りましょう。それが、社会人として当然のマナーだからです。
まとめ
OB訪問とは、自分の学校の卒業生を訪問することをいいます。会社ですでに働いている人を訪問し、その会社の実情を先輩から直接教えてもらうことが可能です。OB訪問はインターネットで得るのとは違い、「生きた」情報を入手できる点が魅力といえます。
OB訪問をする際には、必ず社会のルールとマナーを守ってください。特に、OB訪問をする当日は、「先輩」ではなく自分を評価する面接官と話すつもりで、緊張感を持って訪問にあたりましょう。