履歴書や面接など就活の場で、「あなたの強みを教えてください」と言われることは少なからず存在すると思います。しかし、そこで改めて強みとは何なのか、はじめて考える人も多いのではないでしょうか。
そこでここでは、就活の場で言われる「強み」の正体を解説します。就活をする際の「強み」の扱いに困っているという方は、ぜひ参考にしてください。
目次
強みと長所は違う! 就活ではどんなものが強みになるの?
強みの類義語として挙げられるのが「長所」です。辞書の上での意味はどちらも「その人にとって優れているところ」であり、大した違いはあるように見えません。しかしながら、就活ではまた違った意味で使われています。
強みとは「企業に直接貢献できるもの」
具体的に、長所とは自分が持っている才能や良いと思う点です。一方、強みとは「企業に直接貢献できる自分の良いところ」です。つまり、「強み」は「長所」に内包されています。
ということは、強みを教えてくださいという問いかけは、「あなたは弊社に対してどう役立ちますか?」と聞かれていることと同義だといえるでしょう。一方、長所を教えてくださいと言われたら、あなたにはどんなスキルがあり、どんな才能がありますか、と聞かれているようなものです。
これを理解していないと、全く的外れな回答をしてしまいます。たとえば、営業職を希望して企業に入社したのにも関わらず、強みを聞かれてモノづくりが得意だと答えてしまうと、面接の評価は大きく下げられてしまうかもしれません。
つまり、強みを見つけるためには自分にどんな才能やスキルがあるのかという視点以外にも、自分が就職しようとしている企業はどんな人材を求めているのか、という視点も必要になります。
強みの例
具体的な強みの例を紹介します。
営業の部署を目的にして、保険会社を志望しているとします。その場合は、「人と仲良くなれるから営業の成功率を高められる」「体力があるので1日に何件も営業を回れる」「興味があり、個人で保険のことをたくさん調べた経験があるので、保険の内容をすぐに理解できる」などが強みになるでしょう。
このように、強みを聞かれたときは、「自分は〇〇だから、××という点で会社に貢献できる」という例文を埋められるようなものを用意しましょう。
強みを見つける方法【就活に必須】
日本人の就活生は、強みや長所を見つけるのが苦手だとよく言われています。実際、すでに内定をもらった人にアンケートを取ると、一定の数が「強みを見つけるのに苦労した」という回答をします。
特に、これまで褒められる経験が少なかった人や、成功体験が少ない人は、自分の評価を不当に低いものにしてしまい、結果として強みが見つからないということも多いようです。では、そういった人が企業にとって魅力的な強みを見つけるためにはどうすればいいでしょうか。
ここでは、就活の際に強みを見つける方法について3つ紹介します。
自己分析と企業研究
強みを見つける最も手近な方法が、自己分析と企業研究です。まずは、自己分析によって自分が得意なことやスキルを見つけましょう。具体的な自己分析の方法はたくさんありますが、最もオーソドックスなのは自分が歩んできた道程を見返すことです。
自分の過去で「頑張ったこと」を思い返せば、どこかで自分が力を発揮したものが見えてくるはずです。その成否はどうであれ、何か頑張った経験があるのなら、それを乗り越えようと力を発揮した経験があると思います。そうした問題解決の方法が、自分の「長所」に繋がります。
問題解決のために人に意見を求めたり、助けを求めたりしたのなら、「他の人との協調性」が自分の長所といえるでしょうし、ひたすら自分の力を高めることで問題を解決したのなら、「向上心」や「継続力」が自分の長所といえるでしょう。このように、過去を分析することで自分がどんな長所を持っているのか把握できます。
自分を分析することと同様に、企業研究をすることも大切です。なぜなら、強みを見つけるためには、企業がどんな人材を求めているのかを意識しなければならないからです。企業が何を求めているのか知るためには、企業のホームページや会報を見てみましょう。社長が執筆した本などにも、理想とする人材の姿が書いているかもしれません。
こうした情報を統合し、企業が理想とする社員を見つけましょう。そして、自分の長所から、企業が理想とする姿に近い「強み」を見つけてください。
複数の長所から強みとなるものを見つける
自分の過去から長所を見つけたら、次はたくさんの長所の中から、企業に合った自分の強みを見つけましょう。しかし、人によっては自分の長所が少ししかなかったり、あるいはまったく見つからない、ということもあるかもしれません。断言しますが、そんなことは絶対にありません。
どんな人間であっても、長所といえるものは複数備えているものです。たとえば、これまでどれだけ失敗を続けてきたとしても、チャレンジし続けてきたこと、それ自体が「粘り強い」という長所といえます。長所が見つからない、ないしは非常に限られた数しかないという人は、「ない」のではなく自分の長所に光を向けられていないだけです。
「自分にはたくさんの長所がある」という意識で自己分析をすると、今まで思ってもみなかった長所が見つかることもあります。それができないという場合は、第三者に自分の良い所を聞いてみましょう。自信の持てない方は第三者の言葉が強い支えになるからです。
弱みだと感じているものを反転させてみる
自分の長所が全く見つからないという人でも、「自分のダメなところ」ならいくらでも見つかる、ということが多いようです。それは自信のないことの裏返しか、強すぎる向上心がもたらしている結果です。
そんなときは、自分のダメなところ、つまり弱みから長所を探してみましょう。例えば、「頑固で人の話を聞かない」という短所があるのなら、それは「ひとつのことに集中でき、一本筋の取った人間である」といえるでしょうし、「飽きっぽくて同じことが続かない」のなら、「次々に新しいことにチャレンジできる」といえます。
詭弁に聞こえるかもしれませんが、強みと弱みは表裏一体で、見る人によっては強みも弱みになりますし、弱みも強みになりえます。よって、自分の弱みばかりが目につくという場合は、それをフラットな視点で見てみたり、意味を裏返してみるといいでしょう。
就活における強みの伝え方
自分の強みを発見しても、それを魅力的に伝えられなければ、就職に有利に働きません。特に面接の場では、かみ砕いて相手にも自分の強みをわかりやすく伝える必要があります。そこで以下では、就活の面接等で自分の強みを説明する方法を紹介していきましょう。
基本は結論-エピソード-学んだこと-入社後の未来の順
就活において、自分の強みを伝える方法にはコツがあります。それは、一定の順番で強みに関することを話すということです。
この順番は小論文などでも使われるほどわかりやすい話し方で、自分も文章をまとめやすくなります。また、説得力も高くなるのでおすすめです。具体的には、「結論」「エピソード」「学んだこと」「未来」の順で話しましょう。
結論とは、「自分の強みは〇〇です」という文章です。まずは冒頭に、強みはなんですか、という質問に答えてください。エピソードとは、その強みがどれくらいの強みなのかを補完する事実です。「真面目」という強みを補完したいのなら、「誰もやらない仕事も率先してやった」などのエピソードが該当します。なお、エピソードを述べるときはなるべく具体的に、地名や数字、役職名などを出して話すようにしましょう。
学んだこととは、先述したエピソードや、これまでの人生で何を意識したのか、何を考えたのかを端的に表したものです。先ほどの例であれば、「みんなが喜ぶことのうれしさ」などが挙げられます。そして最後に、自分の強みを用いて、相手の企業ではどう活躍していけるのかということで文章を締めくくってください。
「真面目さを活かして、与えられた仕事が終わったときは次の仕事を率先して探し、お客様にもまごころをもって接客していきたい」というような文章です。
整理して自信を持ちながら話す
面接において見られるところは、文章の内容だけではありません。話す時の雰囲気、態度、マナーなど、あらゆる視点で評価されます。もし自信がなさそうに話してしまうと、面接官の方にも自信がないように見えてしまいます。
よって、話すときは出来る限りはっきりとした声で、良い姿勢を維持して話しましょう。こうすることで自分の言葉に自信があるとみられ、面接で高い評価を得られるからです。
そのように話すのが苦手だと感じている人は、あらかじめ面接の練習を入念に行っておきましょう。そのとき、話す内容も整理しておくと、よりよい文章を作れるはずです。
就活で強みのアピールは大切! 企業にどれくらい貢献できるかをアピールする場です
就活をする際、強みをアピールするということは、「私を雇うということにこんな利益があります」とアピールするのと同義です。このように、企業に対して直接アピールできる場はそう多くありません。よって、強みをアピールできる場が来たのなら、全力でアピールしましょう。
ここで中途半端なアピールをしてしまうと、面接官や人事担当にも首をひねられてしまいます。強みをアピールすることを通じて、自分の本気度も伝える気で、面接の練習と文章の組み立てをしましょう。
まとめ
就活において大切なのは、自分の本気度をアピールすることです。強みをアピールする場は、そういう意味でも非常に重要だといえるでしょう。よって、履歴書で文章を考えるにしても、面接で求められたとしても、全力でアピールしましょう。
どうしても強みが見つからないという方もいるかもしれません。しかし、強みのない人間などいません。自分の過去を見返したり、自分の現在を見つめなおしたりして、企業のニーズと合致した強みを見つけてみましょう。