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【大卒は6割以上!】内定辞退率から考える就職活動

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みなさんご存知ですか。大学卒業予定者の内定辞退率は6割以上とも言われています。
現在のこの超売り手市場の就職活動において、企業や学生は高い内定辞退率をどのように考えているのでしょうか。本記事では、高い内定辞退率の原因とその対策について見ていきたいと思います。

内定辞退率は現在どの程度か?

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早速ですが「現在の内定辞退率」はどの程度かをご存知でしょうか。
株式会社リクルートキャリアの調査によれば、2018年度卒の学生の内定辞退率は64.6%という高い数値となっており、その傾向は年々上昇しています。

【確報版】「2017年10月1日時点 内定状況」 就職プロセス調査(2018年卒)
https://www.recruitcareer.co.jp/news/20171026.pdf

それでは、「なぜ、内定辞退率が年々高くなっているのでしょうか?」
その理由をみていきたいと思います。

内定辞退率が高くなる理由

内定辞退率が年々高くなっている理由は、
大きく分けると、

  • 内定者フォローができていないから
  • 面接官の印象が悪かったから
    という2つの原因があります。

内定辞退率が高い理由|内定者フォローができていないから

内定辞退率が高くなる原因の1つ目として「内定者フォローができていないから」という理由が挙げられます。
確かに数社から内定を貰うことが普通となっている就職活動において、内定者フォローが疎かになれば、学生が不安を覚えて他の企業を検討してしまうのは当然です。

もちろん採用活動に多大な労力と費用をかけている企業にとっては、内定者の辞退率を下げて、入社率を高めたいと考えています。そのため、内定者フォローの重要性についても程度の差はあるものの認識しています。しかし、内定者フォローに十分な社員数を配置している企業はあまり多くはありません。採用担当者は、採用活動以外にも多くの業務を抱えているため、「正直、内定者フォローまで手が回らない…」というのが現状です。

内定辞退率が高い理由|面接官の印象が悪かったから

内定辞退率が高くなる原因の2つ目として「面接時の面接官の印象が悪かったから」が挙げられます。 学生にとっては「面接担当者の印象=企業の印象」となってしまいます。そのため、面接担当者の印象が悪ければ、内定辞退に繋がっていくことになります。

面接官の印象が悪くなる原因は、

  • 面接官に上から目線で対応された
  • 面接官の言葉遣いや態度が悪かった
  • 面接官の服装や身だしなみが悪かった
  • 面接官が疲れていた

などの声があげられます。

今後の内定辞退率はどうなるのか?

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今後の内定辞退率に関しては、今後も増加傾向が続くと考えられます。

その理由としては、

  • web面接の増加による企業と内定者の双方の理解不足
  • 内定の早期化に伴う学生の離脱機会の増加

という2つの原因が挙げられます。

それぞれ詳細を見ていきたいと思います。

内定辞退率が上がる原因|web面接の増加

内定辞退率が上がる原因の1つ目の理由として「web面接の増加による企業と内定者の双方の理解不足」が挙げられます。web面接は2016年前後から徐々に導入が始まりました。

企業側が感じているweb面接の問題点としては、

  • web面接の時の印象と実際の印象が違った
  • web面接では学生の本心が判断しづらい
  • web面接では学生の意欲など「仕事への熱量」を感じづらい

などが挙げられます。

一方、学生側が感じてるweb面接の問題点としては、

  • web面接では、自分の意図や考えを十分伝えられているか不安になる
  • web面接に慣れていないため、コミュニケーションが難しい
  • 面接担当者と十分コミュニケーションが取れず、一方的に話している感じがある

などが挙げられます。

web面接で内定を貰った学生は、内定を貰った直後は入社意欲が高いものの、徐々に不安が強くなってしまいます。そのまま十分なフォローがなければ、結果的に内定辞退に繋がってしまう可能性が高いと言えます。

内定辞退率が上がる原因|内定の早期化

次に、内定辞退率が上がる原因の2つ目の理由として、「社会人としての軸がまだ定まっていない状況で内定受諾をする学生が増えている」が挙げられます。

大学生の就職内定は年々早くなっています。経団連はこれまで「採用選考に関する指針」(いわゆる就活ルール)において、面接や内定の解禁日を6月1日に設定していました。しかし、現実は半数以上の大学生は、6月1日の解禁日を待たずに企業から内定を貰っていました。そこで、有名無実化した就活ルールは2020年に廃止され、これまで以上に早期化が進んでいます。

内定を出す時期を早期化した企業には、①採用活動の開始時期を例年より早めた企業と、②採用活動の開始時期は例年通りにして内定時期を早めた企業があります。

内定を出す時期が早まった影響で、企業と就活生の双方がお互いを理解する時間は減りました。企業と就活生に不安点・疑問点が残ったまま就職活動を終えてしまった結果、内定辞退が起きやすい状況となりました。

企業によっては、応募から採用まで2周間という企業も出てきています。
就活生としては「内定が早く欲しい」という思いがあり、また企業としても、採用予定人数を獲得するための戦略として「早期内定」を出す企業が増えています。

内定辞退率を下げる企業の取り組み

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もちろん、企業としても高い内定辞退率をそのままにしておくことはできません。
そこで内定辞退率を下げる企業側の取り組みを紹介していきたいと思います。

具体的な内定辞退率を下げるための取り組みに関しては、

  • コミュニケーションのハードルを下げる
  • 採用担当窓口を設置する

の大きく2つが挙げられます。
詳細をみていきましょう

企業の取り組み|コミュニケーションのハードルを下げる

内定辞退率を下げるための企業の取り組みの1つ目は、「コミュニケーションのハードルを下げる」ことです。多くの企業で、LINEなどのコミュニケーションツールを利用しながら内定者と企業がコミュニケーションを取りやすい環境作りに取り組んでいます。

多くの就活生は、電話やメールで採用担当者や企業の社員と話すことに抵抗を感じています。そこでコミュニケーションのハードルを少しでも下げるために「普段使い慣れているツール」としてLINEなどのビジネスチャットやSNSを導入しています。
普段使い慣れているツールで採用担当者などの社員と話すことができると、就活生にとってはちょっとしたことでも相談しやすいため、辞退防止に一役買っているようです。

企業の取り組み|採用担当窓口を設置する

内定辞退率を下げるための企業の取り組みの2つ目は、「採用担当窓口を設ける」ことです。具体的には「リクルーターとして現場の若手(入社1年~3年程度)を採用の窓口とし、連絡のとれる人を窓口として置く」という取り組みをしています。

企業によっては内定辞退率を大きく下げる効果があり、入社1年目の社員にアンケートを取ったところ「入社の決め手はリクルーターが優しく接してくれて、安心して入社できた」という声もあるようです。リクルーターを置いている企業は、リクルーターに採用予定者の評価などの権限は持たせない形をとっており、就活生も安心して話せるようにしているところもあるようです。

学生にとっては、人事や採用担当が年が離れていると相談しづらい部分があり、年の近い先輩をメンターとしておくことで、安心感や入社後のイメージを高めることができると考えられます。 以上が内定辞退率を下げる企業の取り組みの紹介です。

重要なことは就活生とコミュニケーションを取りやすい環境をつくること。
企業はこれを中心に考えて取り組んでいます。社会人になることは不安がいっぱい気持ちを理解してあげることとても重要です。

まとめ

今回は内定辞退率から就職活動の現状について見てきました。
近年、6割以上の就活生が内定辞退をするという状況があり、この傾向は今後より強くなっていくと考えられています。このような状況が続いている原因としては、日本の超高齢社会に伴う労働人口の減少が大きく影響しています。そのため、企業にとっては「人・物・金」という企業経営のリソースの中も「人」の確保が最重要となっています。

各企業は事業を継続し発展していくため、新卒採用に力を入れています。そのため、企業の間で優秀な新卒を取り合う状況は今後もより強くなると考えられます。そのような状況の影響としてWEB面接の導入や早期内定による学生の囲い込みを企業が行っているのが現状です。特にWEB面接は新型コロナの影響もあり、3割以上の企業が採用をしていくという調査もあり、これまで以上に増加していくと考えられています。

WEB面接の導入や早期内定は、学生にとってプラス面をありますが、企業も就活生も双方がお互いのことを十分に理解する機会が減ってしまうというマイナス面もあります。そのため、内定後に不安を感じてしまい、結果として内定辞退に繋がってしまう学生が多いと言えます。

そのようなマイナス面については企業側も改善に取り組んでいます。その改善策として、LINEなどのチャットツールやリクルーターやメンター制度を導入によるコミュニケーションを取りやすい、質問しやすい環境作りなどが挙げれられます。

企業にとっても就活生にとっても、内定辞退は大きな問題となっています。就職活動は学生だけでなく、企業側も選ばれるために努力が必要となってきています。学生と企業が上手にコミュニケーションを取る機会を増やすことで内定辞退の問題は解決していくのではないでしょうか。