就活をはじめると、指導担当者の方や先輩から、「就活の軸を見つけなさい」と言われるかもしれません。しかし、就活の軸という言葉はあまりにもふんわりとしていて、言葉の意味がなかなか掴みづらいのではないでしょうか。
そこでここでは、就活の場でよく語られる「就活の軸」とは何なのか、そして、就活の軸を見つけるためにはどのようなことをすればいいのか、まとめていきましょう。
目次
就活の軸とは? 何を示している?
就活の軸とは、端的に述べれば、「志望する企業を選ぶときに自分は何を重視するのか」ということです。例えば、より給料をたくさんもらいたいというのならば、就活の軸は「お金」といえるでしょう。このように、自分が企業選びをする上で大切するものが就活の軸です。
もうひとつ、就活の軸は、働く上での目標という意味も含んでいます。働く上での目標とは、いわば自分のライフプラン、あるいは夢です。その企業で働いて、自分はどんな人間になりたいのか、そしてどんな未来を歩みたいのか、という点も、就活の軸になりえます。
例えば、「英語が使えるグローバルな人材になり、将来は外国で活躍できるようになりたい」という目標があるのなら、積極的に海外展開を行っている会社を選ぶべきでしょうし、英語の講習が受けられる企業が理想の企業になるでしょう。
志望企業を決める上では、どちらの軸も大切です。どちらかの軸が欠けていると、いざ働き始めたときに自分の理想とどこか違うものを感じてしまい、いわゆるミスマッチが起きてしまいます。そのまま理想と現実のすり合わせができていない場合、早期離職という道が待っているかもしれません。
早期離職をしてしまうと、企業にとっては大きな損失になりますし、本人としても再就職への道はかなり遠くなります。よって、そうしたミスマッチを引き起こさないために、就活の軸を持っておき、確認することが重要なのです。
就活の軸の見つけ方!
就活の軸は重要ですが、その見つけ方は意外とわかりづらいものです。自分が何を基準にして企業を決めているのかは、いざその時になってみてもわからないということが多々あります。しかし、就活の軸を見つけるのはそう難しいことではありません。
具体的には、「自分が重視したいものを見つける」「企業を選ぶ」「共通点を見つける」の3つです。それぞれの手順について、詳しくまとめます。
1.自分が仕事をする上で重視したいことを見つける
今からどこかの企業にエントリーシートを提出するとして、その時に重視したい点は何でしょうか。給料、やりがい、簡単さ、評価のされやすさ、将来性など、どんなものでも構いません。自分が重視したいポイントを見つけましょう。
いきなりポイントを見つけてくださいと言われても難しいと思うので、そのときは自分の理想に優先順位をつけてみてください。多くの人にとって最高の会社とは、「簡単な仕事で、やりがいがあって、給料は高く、それでいて働く時間は短く、さらに同僚とも楽しくできる職場」でしょう。
もちろん、そんな仕事は存在しません。そこで、この職場から要素をひとつずつ抜き出し、他の条件が悪い状態だとしたら、どの会社に行きたいかを考えてみましょう。例えば、「給料は高くてやりがいはあるけれど、激務で残業も長い職場」と、「作業は楽で残業は絶対にないけれど、給料は安くて仕事は単調な職場」のどちらに行きたいかを考えてください。
このように、自分が理想とする職場の要素をひとつずつ取り上げて比べていき、最後に残ったものが、自分の最も重視する要素です。これが、自分の就活における第一にの軸になります。
2.条件に基づいて企業で興味のある・なしを判断してみる
1の作業で見つけた軸を基にして、企業を一度探してみましょう。企業の探し方はどんなものでも構いません。求人サイトで、自分の重視する軸を入力した検索結果から探してみてもいいですし、合同説明会の資料を見ても構いません。
そこから、大体50社くらいの企業に対して興味がある、興味がないの判断をつけてみましょう。この時のコツは、あまり深く考えすぎないことです。企業の情報と紹介文を見て、少し興味があると思ったのなら興味があるにカテゴライズし、そうでない場合は興味がない、にカテゴライズしましょう。
行きたい業界や職種が定まっているのなら、それを基準にして企業を興味ある・なしに分類していきましょう。
3.興味のある企業の共通点を見つける
興味のある企業を見つけたら、興味がある企業の中で共通点を見つけましょう。この時に探す共通点は、企業の業種・職種でもいいでしょうし、「社員が楽しそうにしている」という雰囲気程度のものでも構いません。また、将来性のように自分が感じたものでもいいでしょう。
ここで見つけた共通点が、第二の軸になります。この方法では、自分が全く意識していなかった要素が見つかることも多いでしょう。
就活の軸を見つけるメリットについて
就活の指導者が、何度も就活の軸を見つけましょうと言うのは、それだけ就活の軸を見つけることにメリットがあるからです。具体的に、就活の軸を見つけるメリットは大きくわけて3つ存在します。
ひとつめのメリットは、ミスマッチを防げるという点です。2つ目のメリットは、エントリーシート等を書くときに役立つという点。そして3つめのメリットが、面接での受け答えに一貫性が出るという点です。それぞれの点について、どう就活に有利になるのか解説していきましょう。
入社してから後悔しない
若年層の就職後の早期離職率は、ある調査によると30%を超えているといわれています。その理由として挙げられるのが、いわゆるミスマッチです。実際に働いてみると、企業の環境が思ったよりも肌に合わなかったり、同僚に溶け込めなかったり、仕事内容が思っていたものと違ったものと違ったりするのがその理由のようです。
しかし、就活の軸をしっかりと認識したうえで就職すれば、思っていたところと違った場所があっても、就活の軸となる条件さえクリアしているのなら問題ないと考えることができます。そのため、面接を通過して入社してからも、後悔なく働けるのです。
この点は、就活生だけではなく、企業にとっても大きなメリットとなります。なぜなら、人材の早期離職は対外的にも悪印象を与えてしまうだけではなく、その人材を育成するために費やしたお金の無駄にもなってしまうからです。そのため、企業と就活生の間に立つ就活を指導する方々は、就活生に対して「就活の軸を持ちなさい」と指導するのです。
エントリーシートを書くときに役立つ
就活の軸を明文化しておくことで、エントリーシートを書くときにも迷いがなくなります。なぜなら、志望動機を書くときや自己PRを書くときには、就活の軸が重要だからです。志望動機を書くときは就活の軸がそのまま志望動機を書くときの軸として採用できますし、自己PRを書くときは総括として就活の軸が使えます。
特に「私は〇〇だから弊社を選んだ」という一文を埋められる就活の軸は、文章を埋めるのに非常に有用なのです。
面接での受け答えに一貫性が出る
面接ではひとつひとつの答えも重要ですが、それと同様に重要なのが一貫性です。例をあげましょう。ある質問では自分はスポーツマンであると述べているのに、強みを述べてくださいと言われたら、本の虫といわれるほど読書家で、休日はずっと家にいても苦ではないほどの集中力、と答えると、回答に一貫性がないとみなされてしまいます。
一貫性のない回答は、信用のおけない人間だという評価にも繋がります。また、面接官のほうも、就活生がどんな人間なのか掴みづらくなってしまうでしょう。人間の多面性はあってしかるべきですが、面接においてはあまり多くの面を出しすぎると、「よくわからない人」という印象になってしまいます。
そこで活躍するのが就活の軸です。就活の軸を明文化しておけば、あらゆる回答に一貫性が出て、面接官の目にも魅力的な逸材として映るでしょう。
就活の軸に関する注意点
就活の軸を持つことには多大なメリットがありますが、自分の中で軸を設定する際、いくつか注意しておくべき点があります。以下では、就活の軸に関して特に注意すべき点をまとめていきましょう。
軸は1本に絞らなくてもいい
就活の軸と表現すると、まるで1本に絞らなければならないように感じるかもしれません。しかし、就活の軸に関しては、複数本用意しても問題はありません。なぜならば、就活をする上で意識することはひとつに限る必要はないからです。お互いに矛盾していなければ、軸を1本に絞る必要はありません。
例えば、「給料が高い」「将来性がある」「仕事場に仲間意識がある」という就活の軸は、それぞれ矛盾していません。一方、「給料が高い」「仕事が簡単」という軸は、矛盾してしまいがちです。
就活の軸を1本に絞ると企業選びが楽になりますが、その一方で視野狭窄になってしまい、自分の理想の企業とは少しずれたところに就職してしまう可能性もあります。よって、軸は1本に絞る必要はありません。
就活の間、軸は変わっていくもの
軸は真っすぐで曲がらないものと考える方も多いと思います。しかし、就活の軸に関してはいくらか曲がったり、変わってしまっても構いません。
例えば、「楽な仕事」という軸を持っていたけれど、実際にインターンで楽な仕事を経験してみた結果、考えが変わって「やりがいの持てる仕事」という軸を持つようになってもいいのです。もちろん、逆もまた然りです。
一切揺るがない軸を持てば迷うことはなくなります。しかし、経験を積む中で、壁に当たったように感じる場合もあるはずです。そんなときは自分の就活の軸を一度見直してみて、軸を変えてみたりしてもいいでしょう。
まとめ
就活の軸とは、自分が就職活動を行う上で、絶対に譲れない条件のことです。就活の軸がはっきりしていれば仕事選びで迷うことはありませんし、働き始めたら思っていたような企業と違う、というミスマッチも防げます。
就活の軸を見つけることで、面接やエントリーシートを書くときに有利にもなります。自分が納得できる就活の軸を持って、就活を納得のゆくものにしましょう。