自己PRを書くのなら、例文を見ながら書くのが普通です。しかし、いざ例文を見ながら書いてみたら、例文そっくりになってしまってオリジナリティが一切ないということも多いと思います。しかし、自己PR文はオリジナリティのものを使用するのが絶対条件です。
そこでここでは、オリジナリティのある例文を書くための方法をまとめ、自己PRの例文をまとめていきます。
目次
自己PR文の構造! どんな形で成り立っているか把握しよう【例文を読む前に】
自己PR文の例文を見る前に、自己PR文の構造を解説しましょう。ほとんどの自己PR文は同様の構造を持っており、この構造を知っておくことで、自己PR文で伝えたいことをブレなく伝えることができます。
具体的に、自己PR文は「自分の長所」「エピソード」「自分がどう活躍できるのか」という流れが自己PR文の一般的な流れです。ひとつずつ解説します。
「自分の長所」とは、「私の長所は〇〇です」という文章に収められる、自分がPRしたい、自分の良いところです。自己PR文の様式によっては、【困難な状況にも負けない忍耐力】というように、これからPRする自分の長所を【】を使って箇条書きにすることもあります。
どんな書き方をするにせよ、「長所」は自己PRをする上での主題です。自分のどんな長所を選ぶのかという段階で、自己PR文には大きな差が出ます。というのも、選ぶ長所は企業にとって魅力的に感じるものでなければならないからです。「個人の力が試される職場」に「協調性」をアピールしても、企業にとっては今一つなアピールポイントになるように、企業の求める人材に応じた長所をアピールしましょう。
「エピソード」とは、「自分の長所」で述べた長所を補完する経験や実績を述べることです。例えば、先述した「忍耐力」をアピールするのなら、いかに自分が苦しい経験に耐え、どんなことを得たのかを話します。
エピソードを話すときに大切なのは、「具体性を持って話す」ということです。エピソードでは、「自分の長所がどれくらいすごいのか」を説明します。そのため、どれだけ自分がすごいことを達成したのかを客観的に知らせるため、数字や地名を用いるのです。
忍耐力をアピールするために「多くのお客さんが来るレジ打ちをした」という経験をエピソードとして話すのなら、「どこで勤めて」「何人ぐらいのお客さんが来て」「どんなことがあったのか」を話しましょう。
可能なら、「店長に褒められた」「バイトリーダーに抜擢された」「みんなから頼られるようになった」などの実績も加えてアピールすると、より人材としての魅力があがります。実績がなくとも、その経験から自分が何を学び取ったのか、ということは付け加えるようにしましょう。
「自分がどう活躍できるのか」という点は、文章の総まとめとなる部分です。端的にいえば、「もし私を採用すれば、この分野でこのように活躍できます」ということを述べ、自分を採用する意義と魅力を端的に伝えるまとめの文章です。もちろん、これも自分の長所と関連して述べましょう。
忍耐力があるという長所ならば、「忍耐力を活かして、結果が出なくとも努力を続け、どうすれば結果が出るのかを考察し続けるような社員になりたいです」というように文章をまとめましょう。自分が志望している企業に入って活躍するのなら、どんな分野で活躍したいのか、具体的に述べるのも効果的です。
自己PR文の例文。完全未経験の場合
新卒の方や、別ジャンルの業種への転職を考えている方は、自己PR文を書くときにアピールできる実績がないと思います。しかし、そんなときは企業の「求めている人材」を見て、それに近い自分の長所をピックアップすれば問題ありません。
以下では、数ある長所の中でも、広範的に通じる例文をまとめていきます。
「努力家」をアピールする例文
私の長所は、地道に努力を続けることを苦に思わないところです。結果が出なくとも、積み重ねていくことに楽しさを見出すことができます。
学生時代に最も努力したのは数学の勉強です。私は中学校の時には数学がとにかく苦手で、高校受験の時ですら平均点が70点のテストで40点を取ってしまうほどでした。高校に入るとさらに数学が苦手になり、補講は当たり前になっていたのを覚えています。
そんな状況に危機感を覚えた私は、毎日1時間、必ず数学の勉強をすることにしました。そしてわからないところは、素直に先生に聞くようにしました。すると、テストの点数はみるみる上がり、大学受験の時には他の得意科目と遜色ないレベルまで点数をあげることができました。
また、大学に入ったときはTOIECの点数を少しでもあげられるよう、数学と同様に毎日の勉強をすることにしました。結果、TOIECの点数は500点から700点にあがり、それなりの英語力を身に着けることもできました。こうした経験から、私は日々の努力が自分の身になることを認識しています。
御社では、この認識を活かして日々の業務が自分を成長させる糧だと考え、いずれはプロフェッショナルとして胸を張れるような社員になりたいと考えています。
「協調性」をアピールする例文
私の長所は、人と人の間を取り持つのが得意なことです。自分のことだけではなく、常に周囲のことを考えて行動できます。
長所を自覚するきっかけになったのが、高校時代に入った演劇部での出来事でした。私自身は、演劇部の裏方で、舞台にあがることはありませんでした。しかし、部内の仲は良く、学園祭でやる予定の演劇もうまくいく目途が立っていました。
ところが、通しで脚本をやってみたとき、脚本の同級生が突然シナリオを変えると言い出してしまいました。学園祭1ヵ月前のことだったのでもちろんほとんどの人は反対したのですが、脚本の方はそこを譲らず、仲の良かった部がギスギスしはじめてしまいました。
そこで私は脚本の人に、「何が納得いかなかったのか」「どうして変更する必要があるのか」を聞きました。それを舞台の人たちに伝え、納得してもらえたらと思ったからです。
結果として、脚本の意志を最大限尊重する形で、しかも最小限の変更幅で舞台はできました。実際にセリフや振付を覚えなおしたのは舞台にあがった人たちですが、その姿をライトで照らしながら、私は変更してよかったと感じました。実際、舞台の評判はそれまでで一番よく、卒業前に最高の舞台ができたとみんなで喜びをわかちあったことを覚えています。
私は、この経験から周囲と協力することの大切さを理解しています。御社の元では、チーム内での協力を取り持つことはもちろん、ゆくゆくは営業としてパートナー企業との協力を取り持つ社員になりたいと考えています。
「責任感」をアピールする例文
私の長所は、「何事も最後までやり通すこと」です。与えられた仕事は、最後まで責任を持ってこなします。
実際にこの強みを発揮したのは、アルバイトでバイトリーダーを任されたときでした。バイトリーダーではシフト管理を任されたのですが、なかなかシフトの提出をしてくれない方がいました。
店長からは放っておいていいといわれていたのですが、私はその人の事情が気になり、直接会って話をすることにしました。話を聞いてみると、その方は他のアルバイトと掛け持ちをしており、向こうの人がなかなかシフト決めてくれないせいでシフトの提出が遅れていたのだそうです。
そこで私は、その人のアルバイト先に行き、向こうのバイトリーダーと掛け合って、その人にはなるべく早くシフトを渡してもらうようにしました。バイトリーダーの働きは逸脱しているとは思いましたが、その時の私を突き動かしていたのは責任感だったと思っています。
御社では、責任感を持って、与えられた仕事は滞りなく行いたいと考えています。
自己PRの例文。事業に役立つ実績がある場合
実績がある場合は、学生時代の経験を掘り出すよりもずっと簡単に自己PR文を作成できます。以下では、仕事に関連する資格がある場合と、すでに同業他社で働いていた転職者向けに例文を紹介していきましょう。
事業に役立つ資格がある場合
私は、昔から事務の仕事に興味があり、その夢を叶えるために簿記検定1級を取得しました。
事務の仕事は具体的にどのようなことをするのかわからなかったのですが、簿記検定の勉強をするうちにそれが見えてきました。実際に一級を取得した現在では、よりはっきりと事務の仕事をしたいと思っています。
また、簿記検定の勉強をする中で、私は何度も繰り返し勉強することの大切さを知りました。一級の試験は2回不合格になってしまったのですが、そのたびに間違えていた部分を復習し、より広い知識をつけられるように参考書の数も増やしました。
その中で、私は結果が出なくても続けられる、強い精神力を得られたと自負しています。御社では、この精神力を活かして、日々の努力を続けていきたいと思っています。そして、ゆくゆくはミスのない事務として御社に貢献していきたいです。
すでに同業他社で働いていた経験がある場合
前職で、営業職として5年間働いていた経験があります。そこで得た経験が、私の強みです。
最初の内はほとんど成果が出ず、何をしても契約を取ることができませんでした。同期の人間は徐々に契約数を伸ばす中、私は強い焦りを感じていたことを覚えています。
そんな私を見て、先輩の方が言ってくれた言葉は今でも覚えています。先輩が言うには、焦りがお客様に伝わり、それが不安定を印象を与えてしまうそうです。そのため、まずは肩の力を抜き、誠意を見せるのが大切だといわれました。
それからは先輩の言うことを聞き、営業の方法をひとつずつ真似していきました。すると徐々に結果が出てきて、ありがたいことに特別ボーナスを頂くまで成績が伸びました。
このときの経験は、例え環境が変わっても強みとして活きていくと思っています。御社でもこの時のノウハウを生かしながら、即戦力として活躍していきたいです。また、御社でも先輩方のノウハウを吸収し、前職を超えるような成果をあげたいと思っています。
まとめ
自己PRを考えるとき、例文を見ながら作成するのはかなり有効な方法です。しかしながら、自己PR文特有の文章の構造を理解していないと、例文をそのまま少し変えたような文章になってしまいます。
大切なのは、文章の構造を理解し、そこから自分の長所、経験、将来のビジョンを当てはめることです。例文に頼りすぎず、自分だけのオリジナルの文章を作成しましょう。それが、採用に至る道の第一歩になるはずです。