真面目ことは、日本においては古来から美徳とされてきました。では、その真面目さは、効果的な自己PRの主題になるのでしょうか。
ここでは、面接をするときや履歴書を書くときに悩みがちな自己PRについてまとめます。中でも、特に「真面目さ」に主題を置いた自己PRを考えている方に向けて、注意点とポイントを詳しく解説します。
これから履歴書を書く方はもちろん、今から面接に行く方もぜひ参考にしてみてください。
目次
真面目なところを自己PRの主題にしてもいい?
企業にとって、真面目に働く人は歓迎すべき人材です。どれだけ優秀な人でも、不真面目な人材は扱いづらいですし、周囲のモチベーションも下げます。一方、スキル的には平均的な人材であっても、真面目でひたむきに頑張る人材は非常に扱いやすく、さらにその懸命な姿が周囲のモチベーションをあげます。
つまり、真面目であるという点は、企業にとっての魅力です。よって、自己PRのポイントとしては適切なもののひとつといえるでしょう。しかし、真面目なところをアピールする場合は、いくつかポイントを意識しなければなりません。
そうでなければ、「真面目なだけでつまらない人間だ」という評価を下されてしまいかねないからです。真面目なのは良いことですが、面接では「一緒に働きたい人材かどうか」という面も評価されます。ばかまじめ、という真面目すぎる人間をそしる言葉があるように、真面目なことは必ずしも評価に繋がるとは限らないのです。
そこで以下では、真面目なところをアピールする際に意識すべきポイントを紹介していきましょう。
自己PRの主題に真面目なところを定めるときのポイント
繰り返しますが、真面目なこと自体はよいことです。特に日本企業では真面目に働くということが評価されます。しかし、真面目という言葉をアピールするときは、その裏にある意味も知っておかなければなりません。というのも、真面目だということは反面、融通が利かない、考えすぎてふさぎ込んでしまう、相談ができないというデメリットも考えられてしまうからです。
また、真面目という言葉にはたくさんの意味があります。よって、まずは「真面目」の意味を絞りこむところからはじめるのがポイントです。以下では、具体的にどう「真面目」を絞り込んでいけばいいのか、その方法を解説します。
「真面目」という言葉を具体的にする
自分という言葉は、自分で考えている以上に、相手には抽象的に伝わります。「真面目な人」と言われて、想像する人物像が人によって違うからです。真面目な人間ですと言われて、やることは常にこなし、努力もする好意的な解釈をする人もいれば、規律を守ることを第一とし、曲げを許さないような人を想像する人もいます。
そのため、大抵は好意的に受け止められそうな「真面目」という言葉であっても、面接官の歩んできた人生によってはマイナスの意味にとられかねません。よって、自己PRをするときは「真面目」という抽象的な言葉ではなく、具体的に良い点を取り上げるようにしましょう。
例えば、「私の長所は、何事にも一生懸命に取り組み、良い結果を出そうと努力ができることです」といえば、真面目さをアピールできるでしょう。他にも、「人が嫌がるような仕事も積極的にこなすところ」なども、具体的な長所として想像できます。このように、自分の「何が」具体的に真面目なのか、抽象的にならない言葉で言えるようにするといいでしょう。
「真面目さ」の良い点を取り上げましょう
真面目さには、良い点もあれば、悪い点もあります。例えば、真面目だということが「柔軟性がない」と判断されることがあるでしょう。どんな長所にも共通することですが、真面目さという長所は多くの人に美徳とされる反面、その裏を取られやすい長所でもあります。
そこでおすすめなのが、「自分の真面目さの良い所を企業の求めているものに応じて取り上げる」ことです。例えば、事務職などであれば目の前の仕事をひとつずつ片付ける「真面目さ」が重視されるでしょう。クリエイター職であれば、自分で掲げた目標をやり遂げる「真面目さ」が評価されます。
このように、自分の持つ真面目さを、企業のニーズにあわせて使い分けることも大切です。どんな真面目さが企業に合っているのかわからないという方は、「どのような人間が企業に貢献できるのか」という視点から「真面目さ」を考えてみるといいでしょう。
真面目なところを主題に自己PRをするときの注意点
真面目だというアピールポイントは、裏をかかれやすいというのは何度も繰り返した通りです。そのため、真面目さをアピールするときは、いくつか注意点を意識しなければなりません。そうでなければ、せっかくのアピールが裏目に出て、採用が遠のいてしまうかもしれないからです。
自分でアピールしすぎないようにする
「真面目」だということは、身なりや受け答え、その他の所作でおのずと伝わるものです。そのため、真面目だということをアピールしすぎると、あつかましい印象を与えてしまいます。人によっては、真面目以外にアピールすることのない、魅力のない人物だという評価を与えられてしまうでしょう。
よって、真面目をアピールするときはアピールしすぎないようにしましょう。例えば、「私は真面目な人間です。学校を休んだことはなく、宿題も欠かしたことがありません」というアピールでは、「真面目なこと」だけをアピールしすぎてしまっています。
よって、「私は真面目だから、こんな行動をとれる」というように、真面目さと行動をワンセットにしたアピールを心掛けましょう。例えば、「私は真面目だから、真剣に役割に取り組める」「私は真面目だから、人の嫌な仕事でも積極的にする」といった、真面目の方向性を決定づけてアピールするようにしてください。
こうすることによって、人物像がより明確にわかりやすくなるからです。
真面目すぎて付き合いづらい人間と思われないようにする
真面目な人間と面白味のない人間はイコールではありません。真面目だけど、面白味のある人間はたくさん存在します。そして、就活において求められているのは、真面目で面白味のある魅力的な人材です。
よって、真面目さをアピールするあまり、付き合いづらい人間だと思われないようにしましょう。例えば、受験勉強を真面目に頑張ったというエピソードの補足として、「大学入学の前にも勉強を続け、高校の友人との卒業旅行も断って大学に入ってからの勉強をつづけました」という事実を付け加えたとしましょう。
一見、このエピソードは真面目さをアピールするのにぴったりなように見えます。しかし、ここまで真面目さをアピールしすぎると、むしろ「堅物」で「集団行動の苦手な人間」だと思われてしまいます。よって、エピソードを紹介するときは、真面目すぎてつまらない人間だと思われないように気を付けて下さい。
他の就活生と被る可能性も考えておきましょう
真面目さというのは、何らかの実績を必要としないので、比較的多くの人に選ばれやすいアピールポイントです。そのため、どうしても他の就活生とアピールポイントが被ってしまう可能性も考えなければなりません。ともすれば、面接官に「また真面目さか」とうんざりされてしまうでしょう。
そのために大切なのが、前述した「言い換え」です。真面目なことを真面目の一言だけに集約せず、自分なりの言葉で説明できるようにしてください。
真面目さを主題においた自己PRの例文を紹介
真面目さに主題を置いた自己PR文の例文を紹介します。それぞれ、第三者にアピールできるような実績がある場合と、そうでない場合の両方をまとめて紹介していきましょう。
なお、ここで紹介した例文は丸々コピーして使ってはいけません。企業であれば、コピペを見抜くことは非常に簡単だからです。あくまで例文は例文として使い、自分だけの言葉でまとめるようにしましょう。
特別な実績がある場合の自己PR文
私の長所は、目標が遠くとも、一歩ずつ努力を惜しまないことです。
中学生の頃、私は英語がひどく苦手でした。時にはテストの点数が40点を下回ることもあり、英語自体が嫌いになりかけていたことを覚えています。しかし、高校に進学した後、ALTの先生のおかげで英語が好きになり、いつかネイティブ並みに英語を話せるようになりたい、という目標ができました。
その目標を達成するため、私は英検一級を最終目標にして勉強をはじめました。最初の内は全く頭に入ってこなかったのですが、ひとつひとつ単語を覚え、毎日英語の勉強をしたことを覚えています。結果、私は大学三年生の時に英検1級を取得し、ネイティブスピーカー相手にもある程度話せるようになりました。
御社では、真面目に努力できるという長所を生かし、長期的な目標を設定し、毎日の業務を確実にこなしていきたいと考えています。
特別な実績が特にない場合の自己PR文
私の長所は、人の嫌がることでも進んでやれることです。学生時代に入っていたサークルや部活では準備と片付けを率先して行っていました。誰かに評価されることはありませんでしたが、キャプテンや同級生たちが面倒な思いをせずに練習に打ち込んでいる姿を練習しながら見ると、喜びを覚えました。
アルバイト先でも、率先してトイレ掃除を行っていました。自分が使ったときに嫌な思いをしたので、その思いをお客様に与えないためにやりだしたのが理由です。難しいことではありませんでしたが、知らない誰かが嫌な思いをさせないために、はやめに出勤するたびにトイレ掃除をしていました。
それを少し続けたあと、店長からトイレへのクレームが減ったことを聞かされて褒められ、喜びを感じました。
御社では、率先して行動ができる真面目さを活かし、縁の下の力持ちとして、他の社員の方が行動しやすいように努力していきたいと考えています。
まとめ
真面目さは、日本人と相性のよいアピールポイントです。真面目にコツコツ頑張ることは日本の社会的な価値観では概ね良いこととされているからです。しかし一方で、真面目過ぎる人間はつまらない人物だと思われてしまいます。
真面目さで良い評価を得られるよう、しっかりとアピールポイントを吟味してください。特に、「どんなことができる真面目さを持っているのか」という点は、自己PR文を考える上で重要です。その点を意識して、魅力的な自己PR文を書きましょう。